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地域で創生した「故郷の桜」 不法投棄の川から桜咲く渋田川へ

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 桜の季節。伊勢原より湧きて流れる渋田川の鷹匠橋(平塚市西真土)付近では600本を超えるソメイヨシノが一斉に咲き、散った花弁が川面を染める。毎年4月5日開催の「渋田川桜まつり」には数多くの来場者が訪れ、昨年12月には約90本の桜並木が市の「景観重要樹木」にも指定されるなど、今や市内では湘南平、金目川、総合公園と並び紹介される桜の名所。ただ、今でこそ広く知られているもののほんの20年前までは何もない場所だった。むしろ不法投棄された車が何台もある、という荒れ果てた土地だった。ではなぜ、どのようにして、短期間でここまでの変貌を遂げたのか。
 
この記事は湘南ケーブルテレビ局(SCN)との共同企画により制作しました。同局で放送中の「情報カフェ! 湘南館ワイド」では、お花見をテーマに桜にちなんだお酒やお花見弁当、総合公園のお花見マナーなどを紹介しています。※放送日程は文末に記載
 春になっても桜は咲かず、見られるのは背丈以上に伸びた雑草、捨てられた自動車、バイク、家電製品、生ごみなど不法投棄のオンパレード。年々酷くなる有様に、この地を故郷とする地元の有志たちは心を痛め、平成6年に「真土桜堤協力会」を結成。雑草の刈り取りや不法投棄物の引き上げ、開墾などに汗を流し、113本のソメイヨシノを植栽した。
 平成8年には渋田川流域に隣接する各地域の連合自治会にも呼びかけが行われ、さらに500本が植栽された。これを元に現在桜並木の維持管理や桜まつりを主催している「21渋田川プロムナードプラン推進協議会」(岸 文雄会長)が組織された。ではそもそも、なぜ「桜の植栽」だったのか。そこには「ふるさと」というキーワードが深く関わってくる。
桜植栽の誕生秘話
 当時、故郷の川を再生、創生する為に集まった地元の有志たちは「ふるさととは何か」というテーマで議論した。そこで現在の同協議会前会長・伊藤栄雄氏により提案されたのが、桜の植栽だった。
 なぜ「桜」だったのかというと、前会長が終戦後にシベリアで抑留されていた友人から聞いた「富士山と桜を見るまでは何としても生き延びるぞ」という言葉に由来する。そしてなぜ「植栽」だったのかというと、前会長が体験した「終戦直後に渋田川河川敷から外国の歌が聞こえてきた」というエピソードに由来する。歌の主は、横内地区に住む外国人だったそうで、「彼らもきっと故郷を懐かしんでいるのだろう。彼らにも第2の故郷を」との思いに駆られたという。
 このようにして「故郷の創生」=「桜の植栽」が提案され、実現した。
後世へ
 そしてそれぞれの各地域で整備を行い、人が散策できる場所へと変貌を遂げた。平成12年には「とりあえずやってみよう」と第1回の桜まつりを開催した。初回にも関わらず6000人という人出を数え、平成15年頃より始められた5日間の夜間ライトアップや年々賑わっていくライブイベント、模擬店なども手伝ってか今日では延べ約5万人が訪れるとも言われるほど、大きなイベントとなっている(今年は電気器材盗難の為、中止)。
 だが、桜まつりで賑わう4月5日がゴールではない。手入れは常に必要だ。その広さは約10万平方メートルと、ShonanBMWスタジアム平塚およそ3個分。6年前に導入した大型草刈り機の導入で幾ばくかは楽になったが、今でも年に複数回は手作業による草刈りが続けられ、年間延べ約1000人が汗を流しているという。
 今の課題は、維持管理も含めて「次の世代へ引き継ぐこと」だ。20年前当時、”若手”の働き盛りだった現会長の岸さんも今は72歳。終わりのない故郷づくりにおいて、次の10年をどうするべきか、今まさに考えている最中だ。
湘南チャンネル(CATV002ch)「情報カフェ! 湘南館ワイド」は3/31(月)まで放送中(12時~12時40分、19時~19時40分ほか)。
第16回渋田川桜まつり
◇日時:4/5(日)10時~15時(小雨決行)◇会場:渋田川鷹匠橋~上流400m両岸(西真土~豊田内間木)◇平塚駅北口からバス:田村車庫行き大島経由または伊勢原駅南口行き平間・大島経由で約10分「湘南車検場前」下車、徒歩約2分。◇駐車場:湘南車検場110台、平塚市保健センター50台、臨時駐車場100台。
【写真】昨年の桜まつりの様子(協議会提供)

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