
自宅の庭を一般に公開するオープンガーデンは、1927年のイギリスでチャリティーイベントとして始まったとされる。大磯では近年、町を代表するイベントとして「大磯オープンガーデン」が毎年開催されてきた。今年で10年の節目の年を迎えることを記念し、バラの季節に合わせて開催される15日(金)〜17日(日)のイベントではアフタヌーンティーという新企画も登場。大磯のオープンガーデンはいかにして地域に根付き、成長してきたのか。紐解く先には大磯が目指す観光の“カタチ”も垣間見えてくる。
大磯町商工会によるまちづくりの一環として2006年に始められた同イベント。元々は開催期間に限り、文字通り門戸を開いて庭を見学しあえるように、という“町民の交流”が主なコンセプトだった。当時は参加庭園数も14件と小規模で、初回から企画に携わり、現在も運営委員を務める大倉祥子さんは「出来はイマイチで、継続は難しいと感じた」と振り返る。そこで同年末には開催継続に向けて庭の手入れを支援する大磯ガーデニング倶楽部を設立。翌年には、2001年から独自にオープンガーデンを開催していた石神台花倶楽部と協力関係を結び、第2回の開催に漕ぎ着けた。その後も徐々に参加庭園を増やしながら開催を続け、2011年、おおいそオープンガーデンホーム運営委員会(長嶌 進会長)が立ち上がり、イベントもおおよそ現在と同様の形になる。10周年を迎え今までの延べ参加庭園数は100カ所以上。大倉さんは「参加するしないに関わらず、町全体が華やかになってきたように感じる」と笑顔を見せる。中には庭を公開したいがために大磯に越してきた“ツワモノ”もいるという。
新企画・アフタヌーンティー
毎年4月末と5月中旬の2回行われる大磯のオープンガーデン。今年5月のイベントでは、町内のカフェやレストランがオリジナルメニューを提供し“くつろぎや交流の場”を設けようという新企画「大磯アフタヌーンティー」が開催される。今回アフタヌーンティーを始めることになった経緯は大きく3つ。町商業観光課の磯﨑清彦さんは「1つは『観光の核づくり事業』が背景にあります。事業の推進協議会には東海大学観光学部の学生が参加しており、オープンガーデンに付随するイベントとしてアフタヌーンティーが提案されました。2つ目は単純に散策中に休憩やできる場所が欲しい、という参加者の声があったことですね」と話す。そして3つ目の理由は──。
大磯の目指す「観光」のカタチ
「ある意味、これが一番大きいのですが」と磯﨑さん。「『観光の核づくり』というと町に対して外から人がドッと来る、みたいなイメージ。でも話を聞くと地元を観光地化させたい訳ではなく、静かに暮らしたい町民も多い。庭園文化のある町とはいえ、京都や鎌倉を目指すのかというとそれは違うんじゃないかという話になりました」。住民の気持ちと、いわゆる“観光”のイメージとのギャップ。これを埋めるべく3年程前から検討を重ね、去年までにおおよその方向性が出た。
「ランドマークではなく、町民の暮らしの楽しさそのものに触れてもらうのが大磯の魅力なのではいか、大磯での生活に触れて、ファンになって、四季毎に訪れてもらう、あるいは将来的に住んでもらう、そういうのが大磯が打ち出すべき“観光”のカタチなんじゃないかと」。続けて「じゃあ楽しさっていうのが何かというと、その1つがまさにオープンガーデン。それを彩る要素がアフタヌーンティーなんです」と力を込める。
内側から生まれるもの
大磯のオープンガーデンは出発点からして、各家庭が自分たちの手の届く範囲で庭作りを楽しんでいたものを、できる範囲で公開するというものだ。行政のトップダウンではなく、個々の家庭から広がったボトムアップの繋がりがそこにはある。磯﨑さんは「町としても必要に応じた最低限の調整をするだけ」と言う。町民が自由に取り組んでいる点と点、それに冠をつけて線で繋ぐ、町が携わったことはそれだけだが、それでもこのオープンガーデンは成長してきた。磯﨑さんは「観光というとモノやサービスにお金を使う感覚ですが、大磯では人の繋がりにお金を使う。そこで生まれた人と人との絆が観光の、町の財産になると思っています」と真剣な眼差しを向ける。
町全体に蒔かれた種が芽吹き枝葉を広げつつある同イベント、まずは深いことは考えず、のんびりと散策して初夏の大磯を満喫してみては。
◯大磯オープンガーデン2015
問い合わせ:大磯町商工会☎61-0871・大磯町観光協会☎61-3300
【写真上】オープンガーデンの様子
【写真下】アフタヌーンティーの一例(写真提供=運営委員会)

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