
イノシシをはじめとする野生鳥獣による農作物等への被害、いわゆる「鳥獣害」が近年増え続けている状況を受け、大磯町では先月、町主催としては初の鳥獣害対策講習会を開催した。意外と身近な所で発生し、他人事ではない鳥獣害。何が原因で、どのような対策が効果的なのか。担当の産業観光課に話を聞いた。
害獣と呼ばれているのはそもそも、イノシシ、シカ、カラス、ハクビシンなどのこと。大磯町におけるイノシシの捕獲頭数は平成24年度が77頭、25年度が62頭、26年度が78頭と、一定して数多く捕獲されており、担当課も「ここ10年くらい被害が止まらない」と頭を悩ませている状況だ。さらにここ数年は、里山だけでなく住宅のある市街地にも現れ、線路に入ってしまったり、マンションロビーに侵入したり、という事例もあるなど農作物被害に止まらず住民の安全をおびやかす存在ともなっている。ではなぜそれほど、害獣が増えているのか。
単なる捕獲でなく、根本を
その大きな理由は「餌と隠れ場所の増加」と考えられている。そしてその背景には日本人の生活環境や生活様式の変化であったり農業のやり方が変わったことが関係しているという。例えば、餌となる作物残渣(残りかすなど)は品種改良で生産性が高まれば必然的に増え、耕作放棄地が増えれば自然と害獣の隠れ場所は多くなる。そういった時代の変化の影響もあり、近年は「知らず知らずのうちに害獣に餌をあげてしまっている状況」なのだという。
もちろんこれまでにも町では対策を取ってきた。具体的なものとしては「猟友会による捕獲」「田畑を囲う資材や狩猟免許取得費用の補助金」などが挙げられるが、根本的な解決には繋がっていなかった。そこで今回、同課では害獣対策のスペシャリストを招き、根本解決に向けた講習会を実施した。
対策は楽しみながら
講師に招かれたのは、害獣対策の著書も複数出版するなどその分野に明るい元・近畿中国四国農業研究センターの井上雅央氏。
講義では、対策の順序として「守れる田畑や集落に改善すること」や「囲い・追い払いを設置すること」以前にまずやるべきことは「地域のみんなが勉強すること」が重要であるとした。また、イノシシの肉を特産品にしたり皮をなめして革製品を作って販売することで「過疎化・高齢化が進んでいたが害獣対策で元気になったまち」の事例なども挙げられた。
担当の産業観光課では「害獣対策という視点だけではなく地域の活性化に繋がるというメリットも同時に考えていきたい」とし、「被害対策というのは基本的には面倒な作業ですので、いかに楽しくみんなで地域づくりをしていくか、というのがポイントになってくると思います。近隣自治体と協力するなどして、今後も積極的に講習会を開いていきます」としている。
◇鳥獣害に関する問い合わせは同課☎︎61-4100(代表)へ。
写真提供=大磯町
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