
平塚八幡宮の参道、大門通りで毎年11月末に行われる「大門市」。4年前から始まり、地元産の野菜や花、軽食、和洋スイーツなど約50店舗が出店するこのイベントの中でも、尺八や琴など日本古来の楽器が共演するステージ「大門和奏」が好評だという。それをプロデュースし、自身も尺八を演奏する平塚市在住の若者がいる。大山貴善さん(本名・大山潤一、30)。伝統的な音楽と新しいものを融合させて平塚を盛り上げたいという大山さんの想いを聞いた。
尺八との出会いは生まれる前から。元々父親が趣味でやっており母親のお腹にいる時から聴いていたが、子どもの頃はメロディーもリズムもない尺八の音を好きになれなかったという。
しかし20歳になった時、新しい世界を見たいと思うようになり、それまで心に引っかかっていた尺八をやってみようと父に弟子入りした。始めてみると、尺八は1本1本個性があり、尺八ごとに、また天候によって吹き方を変えないとうまく吹けない「人間くさい」楽器であると分かって、その面白さに気が付いた。そして1つの音が生まれて虚空に消えていくまで、音色の変化をどう奏でるかといった尺八ならではの「一音の魅力」に取りつかれたという。
古典からコラボまで幅広く
それから大学卒業後も日雇いの仕事をしながら尺八の修行を続けて10年。古来、尺八を演奏して諸国を行脚していた虚無僧の曲や、琴・三味線と共に演奏する古典音楽を活動の軸にすえ、出雲大社等の式年遷宮で奉納演奏も行った。最近は海外へも活躍の場を広げ、ドイツや韓国でも演奏を披露した。 一方で、尺八をより多くの人に知ってもらうため、ポップスやロック、各国の民族音楽など幅広い分野のアーティストとの演奏活動も積極的に行っている。中でも琴や横笛、鼓の奏者と結成した和楽器ロックバンド「AKARA」では迫力ある演奏を聴かせ、各地でライブを行いCDも発売した。
都内での活動も多い大山さんだが、現在も平塚在住。その理由を尋ねると「海、山、川があり穏やかな平塚の空気を吸って吹くと、いい音色が出る」と語る。そして「湘南には昔ながらのものを残しつつ新しいものを取り入れる風土がある。自分も古いものを大事にしながら新しいことに挑戦していくのが湘南の尺八吹きとしての個性だと思う」と自分のバックグラウンドを大切にしている。
大門市との出会い
そんな大山さんが大門市と大きく関わるようになったのは2年前。市を開催する「大門会」のメンバーと知り合ったのがきっかけだった。市の会場が平塚八幡宮の参道として歴史があることから、大山さんは大門通りに和の調べを響かせたいと考え、琴や三味線など和楽器を演奏するイベント「大門和奏」を始めることにした。伝統と現代の融合というテーマのもと、古典的な音楽と共に新しい活動にも取り組んでいる琴や三味線の演奏家を集めたところ、来場者に好評だったという。
その声に応えて3回目を迎える今年は、大山さんの尺八と津軽三味線「寂空-Jack-」さん、琴の谷富愛美さん、篠笛の紅桜ゆとさんに加えてギタリストKazuさんが参加する。ちなみに寂空さんとKazuさんも共に平塚出身だ。大山さんは「常に新しいものを吸収しており、ステージではそれを出し惜しみせず全力投球で演奏できたら」と語っている。
大門市で混じり合う和洋の音色。昔の日本に思いを馳せつつも、時代が変わっていく中、新たな音楽を創っていきたいという若き奏者たちの迫力あるステージは、きっと見応えがあるに違いない。
◇第5回大門市=11/29(日)11時〜15時(ステージは開催中に6〜7回を予定)。問い合わせは東曜印房☎︎21-0181
【写真TOP】大山貴善さん
【写真下左から】「寂空-Jack-」さん/谷富愛美さん/紅桜ゆとさん/Kazuさん
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