
今ではスーパーで買うのが一般的な加工食品だが、数十年前には味噌や漬物等を手作りしていた家庭も珍しくなかった。こんにゃくもその1つ。手作りの味を残し広めていきたいと、昔ながらのこんにゃく作りを続けるグループが大磯にある。こんにゃく芋と水、凝固剤だけを使ったその食感は、市販のものよりぷるんとしており特有のにおいもない。秋から春までの期間限定のこんにゃく作りの様子を覗かせてもらった。
この「大磯町こんにゃく生産グループ」は、大磯町内や平塚市内の主婦とこんにゃく芋生産者の14人。多くが農業に従事する傍ら、月2回ほど交替でこんにゃく作りに参加している。
原料として使うこんにゃく芋は、里芋に似た感じで大きさは大人のこぶしほど。会員が栽培する約100㎏に加えて、足りない分は日本一のこんにゃく産地・群馬から取り寄せる。10年ほど前から栽培している会員の宇野誠治さんによれば、こんにゃく芋は大きくなるのに3年かかり、途中で腐ることも多いため育てるのが難しいとのこと。
作り方は、まず芋の皮を剥き、小さく切ったものをゆでて水と一緒にミキサーにかける。「生の芋をすり鉢ですっていた頃に比べたら、ずっと楽になりました」と、数十年前のこんにゃく作りを知る人は話す。標準的な分量は決まっているものの、芋により固さが違うため、水の量で調節しなければならない点が難しいという。どろどろになった芋に凝固剤の炭酸ナトリウムを入れ、手でかき混ぜ、バットに広げて板状にする。この時も、中に空気が残らないようにのばすにはコツがいるので、経験の長い人が教えながらやっているそう。
固まったこんにゃくを切り分けて、アクを取りながら茹でること30分、その後流水で冷ませば完成。13㎏の芋から約120枚が出来る。
あさつゆで販売、給食にも
このグループによるこんにゃく作りは20数年前から行われ、地域のイベントやJAの施設等で細々と販売されてきた。6年前、平塚市にJA湘南大型農作物直売所「あさつゆ広場」がオープンしてからは量を増やして週1回の生産に。ただ最初はその良さを分かってもらえずなかなか売れなかったという。そこで買い物客への説明や試食など地道にPRを続けたところ、今では完売するようになった。
また町内の小学校の給食にも登場する。平均して月2回、汁物等によく使われるという。
これからも作り続けたい
朝8時半から午後1時2時まで作業はほぼ立ちっぱなし。メンバーが農作業で忙しい時には、夕方5時から9時10時まで行われることもあるという、決して楽ではないこんにゃく作り。彼らが参加するのはなぜだろうか。
20数年前から続けている中心メンバーの1人、鈴木佐智子さんは「作業しながらいろんな人と話せて楽しい。人とのつながりで続けられています」と語る。
また1年ほど前に入った岡部道子さんは、山梨の嫁ぎ先で家族が芋をすり鉢ですってこんにゃくを作っており、同じようなものを食べたいと思っていたところ、グループを知り参加したという。
皆さんが勧める食べ方は、ぷるぷるの食感が一番味わえる生。岡部さんは「甘めの味噌を付けると1枚ぐらいぺろっといけます」と話す。煮物にしても味がよくしみ込むとのこと。
中には高齢のために辞めてしまう人もいるが、新しい人に入ってもらってこれからも続けていきたいと願う同グループでは、随時メンバーを募集中だ。今後も会員たちは、食べた人からの「おいしい」という声を励みに、仲間と共に昔ながらの味を引き継いでいく。
◇問い合わせ=代表の古正さん☎71-2793
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