
昨年初入閣した河野太郎大臣と落合克宏市長が平塚市の防災施策について対談しました。落合市長は防災を最重視した市政運営に取り組んでおり、河野大臣は防災担当の内閣府特命担当という立場から、津波避難タワー整備などについて意見を交わしました。国務大臣室で、市内ローカルメディアの湘南ジャーナル社とタウンニュース社が共同取材しました。
※2月11日発行の『タウンニュース 平塚版』でも対談の模様を掲載。「護岸整備」や「『近助』の仕組み」などについて語っています
津波避難タワーの検討を
落合 大臣就任おめでとうございます。今後は国家事業を担う政府の一員となるわけですが、地元である平塚の課題も共有して、一緒に歩んで頂ければありがたいと思います。
河野 ありがとうございます。防災では、国にとって南海トラフと首都直下型の2つの大規模地震への対応が大きな課題です。平塚市は南海トラフの対策強化地区で、首都直下型の影響も受ける所です。高知県では、南海トラフ地震による津波最大高を34mと想定していますが、県知事が地元自治体の負担をゼロにするから津波避難タワーを建てようと呼びかけた所、視察した南国市では数百m置きにタワーを建て、大体必要な所はカバーできました。
落合 神奈川県は昨年、東日本大震災を受けた地震津波浸水予測について、平塚海岸の最大津波高を6.9mから9.6mに引き上げました。高さ8mの国道134号を越える想定になるため、何とかせねばなりません。さがみ縦貫道路開通などにあわせ、平塚の魅力を発信する拠点づくりに龍城ヶ丘プール跡地も活用しようと考えていますが、津波避難タワーの機能を持った建物として整備しようと検討しています。跡地は風致地区ですが、8mまでの建造物が建てられます。
河野 国道134号が8mですから、16mの高さのタワーになるわけですね。
落合 ビーチパークは年間33万人の利用がありますが、ビーチパークと湘南海岸公園の間の上空に、幅の広い歩道橋をかけて津波避難タワーを兼ねる案も考えています。利用客の避難場所が確保でき、ビーチパークと湘南海岸公園の一体化も図れます。静岡県吉田町で整備事例があったのですが、費用は約10億円くらいかかります。国の交付金を活用できないか、検討していきたいと思います。
河野 社会資本整備総合交付金というのがあって、事業費の2分の1を補助するのですが、平塚は南海トラフ特措法の強化地域になっています。ここで何らかの対応ができるかもしれません。また、南国市では津波避難タワーを普段の散歩のコースの中に組み入れ、タワーの上で景色を見てもらっています。だから、どこにいても、どのタワーに、どれ位の時間で辿り着くというのを散歩しながら分かるようになるんです。
落合 国道134号の上も、富士山も見えるし眺望は良いですからね。本市では、JR東海道線以南にある3階建て以上のビルや公共施設について、所有者と自治会、市が3者協定を結んで津波避難ビルに指定しています。東海道線以南には約4万人が住んでいますが、現在まで約6万人を超える市民が避難できるスペースを確保しています。津波避難タワーとあわせ、避難ビルの協定も引き続き取り組んでまいります。
防災ラジオの導入へ
河野 常総市の豪雨災害の時は避難指示が遅れた部分がありました。防災大臣として、地域の首長さんには少し早めに勇気を持って避難指示や避難勧告を出してくださいとお願いしている所です。
落合 全国の首長の間でも空振りを恐れずに出そうという気運が高まっています。しかし、平塚市には防災行政用無線はあるのですが、豪雨の際に家の中では聞こえないという声も耳にします。そこで今、災害時情報伝達防災ラジオシステムの整備を検討しています。「V‐Low」というアナログ放送の空き電波を利用した仕組みで、平塚・大磯・二宮あたりの広域エリアで取り組んでも良いと思います。耳で聞いて、目で見えるような情報配信を普及させることが必要です。FM東京が来年度から、仕組みづくりをしてくれると聞いています。
河野 「V‐Low」は消防庁とも相談し、自治体が整備する時に支援ができるようにはしていきたいと思っています。
落合 地震の予知は難しいかもしれませんが、豪雨の前触れや津波に関する情報が発信され、各家庭に届くのが一番良い。逃げ遅れるということのないよう、迅速な情報伝達は大事です。
河野 津波の恐れがある時には、早く高い所へそれぞれ逃げてもらって、家族で落ち合う場所だけ事前に決めておいてくださいと。そこだけは命を救うことになりますので、各家庭でぜひ決めておいてもらいたいと思いますね。
落合 平塚市は、自治会・町内会の自主防災組織が100%整備されている全国でも進んでいる自治体で、津波避難訓練も定期的に開いてもらうなど、防災訓練を盛んにしてもらっているんです。
スペシャリストの育成
河野 防災のソフトウェアで言うと、平塚市は平成25年~27年、「内閣府本府行政実務研修」(防災スペシャリスト養成研修)に消防と防災危機管理部の職員を派遣し、政策統括官(防災担当)付け参事官(被災者行政担当、地方・訓練担当)付けの職員として仕事の手伝いをしながらトレーニングをしてくれています。県内で毎年派遣している他の自治体は大和市だけで、いざという時の対応をする人材も育ててくれているという意味では、内閣府では平塚市を評価しているんです。
落合 そのようにスペシャリストを育成するといったソフト面も含め、津波避難タワーの整備や防災ラジオの仕組みづくりなどハード面も、多角的に安心安全対策をしっかりとやっていきます。今日はありがとうございました。
河野 こちらこそ、どうもありがとうございました。
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