平塚市教育委員会は3日、市指定重要文化財としてあらたに「東川斎桂山筆 不動明王二童子像」と「佐波理匙他 山王A遺跡第4地点1号掘立柱建物跡出土 埋納資料一括」の2件を指定した。今回の指定で市の指定重要文化財は合計45件となった。
燃えさかる火炎を背に、右手に剣、左手に羂索(縄状の仏具)を持つ不動明王を描いた「東川斎桂山筆 不動明王二童子像」(縦110.6cm、横42.8cm)は、上吉沢の旧家で約30年前に発見されたもの。東川斎桂山藤原美信とは、江戸時代末期の天保9年(1838)から10年前後、平塚市に逗留し、主に仏画を中心に制作していたとされる絵師。他の作例との相似性から、今回指定の図もほぼ同時期に制作されたものと推定されている。担当の社会教育課は「不動明王二童子像の近世的展開を跡づける典型例として貴重であるとともに、江戸時代末期における平塚市域の文化状況を伝える資料として貴重である」としている。
一方、銅にスズと鉛を加えた合金である佐波理製の匙(全長264mm、匙面長60mm、匙面幅45mm、重量37.8g)は平成4年、集合住宅建設に伴い発掘調査が実施された四之宮の山王A遺跡から出土したもの。8世紀末から9世紀初頭のものと考えられている同遺跡からは比較的大型の掘立柱建物跡が発見されており、ここから出土した「佐波理匙と須恵器片の一括資料」が今回指定された。これらは置かれていた配置から、建物の地鎮に伴い一括して埋納されたものと推定されている。同課によれば、佐波理匙が遺跡から出土することは「極めて稀」とのことで「相模国府推定地内の山王A遺跡が地鎮を要する寺院または官衙(役所)の重要施設の一角であることが示唆される」という。また「朝鮮半島新羅からの舶載品と考えられる佐波理匙が中央からもたらされたことは確実で、古代律令体制下の中央と相模国府の関係を示す資料として重要。古代平塚を考究する上で欠くことができない資料であるとともに古代官衙・地方寺院研究にとって貴重な資料である」としている。
なお佐波理匙は平塚市博物館で常時展示中。不動明王二童子像は、3/26(土)~5/8(日)に同館情報コーナーで一般公開を予定している。◇問い合わせ=社会教育課文化財保護担当☎︎35-8124
【写真1】不動明王二童子像
【写真2】佐波理匙
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