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大磯で黒毛和牛の飼育に挑む将来は肉の販売から飲食まで

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 緑深い山あいで、今年1月から牛の飼育を始めた「大磯なごみ牧場」の渡辺紗緒里さん(29)。町内には乳牛の生産者はいるが、肉牛を育てる人は他にいない。年々畜産農家が減る中、若い女性がどのような思いを持って始めたのか、話を聞いた。

産業を営む伊勢原市の家庭で生まれた渡辺さんは、当初家業に関わるつもりはなく、高校卒業後会社勤めをしていた。
 しかし国内でいわゆる狂牛病(BSE)が発生した影響で父親の農場の経営が厳しくなったため、8年前に仕事を辞めて手伝うことに。その中で、手間ひまかけて健康な牛を一生懸命育てている父親の仕事の素晴らしさが分かるようになったという。そこへ平成26年から新規就農者への融資制度を始めていた日本政策金融公庫から、彼女に独立の話が来た。迷ったものの、育てた肉を食べてくれる人だけでなく、出産時に小学生の見学を受け入れてきたことから繋がりができた地域の人たちからも勧められ、「やれるだけやってみよう」と独立を決めた。
大磯との出会い
 それから候補地探しをスタート。いずれは育てた牛の肉を販売し、焼肉店を経営して食べてもらうという目標があり、消費地の近くでの開業を希望した。そして、高齢化などのため借り手を探している牛舎の情報を集めていく中で、大磯町が新規就農者の受け入れに好意的だったことと、住宅地から離れていて騒音やにおいの心配が少ない牛舎が見つかったことから、現在の場所に決めたという。
 去年秋から牛舎の改築を進めて今年1月に飼育を始めた。現在、同牧場では繁殖農家として種付けを行い、生まれた子牛を約10カ月間育てた後に出荷。父親の農場へ委託している分も含めて、繁殖用の母牛と子牛の計77頭の黒毛和牛を飼育している。
志を持って
 こだわっているのは、健康な牛を育てること。ストレスが病気に繋がりやすいことから、牛舎の中でストレスを少なくするため牛が自由に動き回れるようなゆったりしたスペースを確保した。またエサの稲わらは、茨城や栃木まで質の良いものを買いに行っている。それにビタミン、乳酸菌、納豆菌、酵素、アミノ酸などを混ぜて免疫力を高め、病気になりにくい牛に育てることで抗生物質などの薬をできるだけ使わずにすむようにしている。 
 育て方にこだわる分、手間も費用もかかり大変だが「おいしくて安全だからと、うちで育てるような肉を選ぶ人が増えて、世の中の牛肉に対する意識が変わっていけば」と話し、「先陣を切ってやりたい」と意気込んでいる。
 ゆくゆくは人手を増やして、生まれた子牛を30~40カ月まで育てる「一貫肥育」を行い、自分で育てた肉を消費者に食べてもらうことを目指す。それと共に、現在近隣の農業高校や大学から畜産を学んでいる生徒・学生の実習を受け入れている。自分の牧場を見てもらうことで、独立を目指す若者が増えてほしいと考えている ためだ。加えて今後、地域の幼稚園や保育園などからの見学も受け入れて、「食育」に力を入れていきたいとも語る。渡辺さんの挑戦は始まったばかりである。
◇大磯なごみ牧場
e-mail:oiso_753@yahoo.co.jp

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