
平塚市に残る民俗芸能のひとつ、人形浄瑠璃の一人遣い。この芸を部活動の中で40年以上にわたり受け継いでいるのが県立高浜高校の文楽部だ。部員の減少から平成23年に一度は休部状態となった同部は、ある1人の生徒によって2年前、活動を再開する。現在4人の部員で活動する彼らは20日(日)、平塚市中央公民館で行われる「第40回ひらつか民俗芸能まつり」の舞台に立つ。
高校の部活では珍しい文楽に取り組む高浜高校文楽部は1970年代から続く歴史と伝統ある部活。だが5年前、部員の減少から一時休部状態となってしまう。復活のきっかけは2年前、当時2年生だった同部OGが七夕郷土芸能大会で見た人形浄瑠璃に魅了されてのことだった。その直後には現在唯一の3年生の原田達海さん、翌年4月には和の文化に興味があった金子和樺さん、日本舞踊の素養があった藤間ゆきのさん、そして45代目となる現部長の飯島 萌さんらが入部し、再び本格的に活動が動き出した。
寿式二人三番叟
民俗芸能まつりで彼らが演じるのは「寿式二人三番叟」というもの。五穀豊穣を願うと共に、その日の舞台が無事に成功するように祈る祝言舞踏だ。同部の文楽は「一人遣い」という1体の人形を1人で動かす芝居。一般に3人で1体の人形を動かす文楽とは違い、10kg近い人形を身体に固定して演じる。今回メインで出演する飯島さん・金子さんの2人は「日頃の成果を精一杯出せるように」と練習に熱を入れる。
日頃の稽古では、同部の卒業生を中心に組織された「湘南座」の面々が指導にあたる。覚えるべきことも多く「練習は大変」と部員らは口を揃える。「でも地域のイベントや老人ホームの慰問で演じた時に喜んで声をかけてもらえたり手紙を渡されたり。やりがいも大きい」と飯島さん。藤間さんは「文楽部を見るためだけに足を運んでくれる人もいる。それは責任を感じると同時に力にもなる」と語る。
将来へ受け継ぐ
和気あいあいと練習に臨む部員らだが今年の新入部員は0人。それでも伝統の灯を絶やすまいと、それぞれが懸命に試行錯誤している。彼らにとって1番の願いは後輩が入ること。サッカーや野球といった体育会系の部活に比べればマイナーなものだと自覚はある。だが「伝統芸能っていうとハードルが高く感じられてしまうでしょうが、1回体験してもらえれば良さが伝わると思います」と飯島さんははつらつと話す。飯島さん自身、入部のきっかけは部活動紹介のビデオを見て興味を持ったから。それを実際に体験したり、演技を見たりするうちにのめり込んでいった。そして「いつかは湘南座の助けを借りないような、高浜高校だけの演目ができれば」と夢を描いている。
この他、ひらつか民俗芸能まつりには高浜高校文楽部を指導する「湘南座」、県の無形民俗文化財に指定される人形浄瑠璃芝居一座の「相模人形芝居前鳥座」、市内田村地区に伝わる祭り囃子の「田村ばやし保存会」、招待芸能として「柳島エンコロ節保存会」が出演する。魅力溢れる伝統芸能を身近に感じるチャンス。足を運んでみては。
第40回ひらつか民俗芸能まつり
日時:11月20日(日)12時30分開演
会場:平塚市中央公民館
入場料:無料
定員:700人(当日先着)
問い合わせ:市社会教育課 文化財保護担当☎35-8124
【写真TOP】
2体の人形による寿式二人三番叟
【写真下】
人形は自分たちで繕いながら使用している/左から原田さん、金子さん、飯島さん、藤間さん
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