
二宮町の吾妻山で開催中の「菜の花ウォッチング」に合わせ、今月14日から始まる「雛の吊るし飾り展」。ここ数年由緒ある川勾神社(山西2122)と知足寺(二宮1091)で行われてきたが、今年は築約130年の古民家・(旧)ふるさとの家(一色432)も会場に加わる。町を訪れる人へのおもてなしの心、また手仕事が楽しいという気持ちなど作る人の様々な思いが込められた同展は、どのように始まり続いてきたのだろうか。
鶴やや鳩などの鳥に、花や果物、鞠といった色とりどりの飾りを作ったのは、主に町内に住む女性たち。主催する「グリーンにのみやプロジェクト」(GNP)(松本篤子代表)では、地域の施設や手芸店などに集まって飾りを作るグループや個人から毎年飾りを借り受ける。これにGNPの女性メンバーが作った分も加えて今年は約90人分、200棹近くが雛人形と共に展示される。
これは元々吾妻山山頂での「菜の花ウォッチング」に訪れた人たちに、他にも見てもらえるスポットを作ろうと始まったもの。町内でつるし雛を作っている人がいたことから、それを集めて古民家「(旧)ふるさとの家」に飾ってみようと10年前に1度行われた。
その後つるし雛にふさわしい情景を求め、2年後には会場を町内の川勾神社と知足寺に移した。川勾神社は寒川神社につぐ旧社であり、知足寺は『曽我物語』に登場する曽我兄弟の墓と言われる墓石のある旧跡。飾りと一体となった雰囲気を味わってもらおうと、会場にはこだわっているという。
材料には、本物の素材をとの思いから飾りのほとんどで正絹が使われている。自分の娘時代の着物や帯をほどいたり、骨董市で見つけたり。中には、以前見た人が「自分の着物を使って下さい」と持ってきたものもある。同じ布はないため、同じ形のものを作ってもそれぞれ表情の異なった仕上りになっている。
継続が危ぶまれた時も
好評を得た「吊るし飾り」展だが、6年前の東日本大震災の後はみんなの気持ちが落ち込み、華やかな布を手に取れない時期もあったという。ならば被災地で見てもらおうと考えたものの、飾ってくれる受け入れ先が見つからなかった。中止も検討されたが、「被災地の人たちに寄り添いたいという自分たちの思いを表現することが大事じゃないか」との声が上がった。そしてテーマがあれば何とか作れるかもしれないと、願いを象徴する「鶴」をテーマに決め、また一針一針、飾り作りを再開。楽しみにしてくれている人の声も励みにして、開催にこぎ着けた。
その後も「花」「実り」「子ども」、そして今年は「雅」。「テーマがあるから作るのをやめずに済んだ」と作り手の一人は話す。
今では外国人観光客も
会場への設置やチラシ配りなどはGNPの男性メンバーが引き受け、共催の二宮町観光協会と協力して、このイベントを育ててきた。
最近はリピーターや外国人観光客も少しずつ増えているとのことで、松本代表は「みんなが頑張ってくれるから続けられている。会場となる寺や神社の木の温もり、飾りのモチーフである自然の恵みといった日本の文化を集大成したこの催しで、良い文化があることを広く知ってほしい」と思いを語っている。無数の色鮮やかな雛が飾られる様には心が浮き立つような気分になる。菜の花とともに一足早い春の訪れを楽しんでみては。
◇雛の吊るし飾り展
◆1月14日(土)、15日(日)
21日(土)、22日(日)
(旧)ふるさとの家
◆1月28日(土)、29日(日) 知足寺
◆2月10日(金)~13日(月)
川勾神社
時間はいずれも10時~15時30分
◆問い合わせ=二宮町観光協会
☎73-1208
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