
大磯町に、海を望める所に青々とした松林の広がる「大磯こゆるぎ緑地」(西小磯82-3、滄浪閣そば)がある。元々は手入れもされず荒れていたこの一帯を復元したのは、NPO法人「大磯町内の松並木敷地を大切にする会」の代表・岡田豊太郎さん(78)たち。町の木であり町の歴史の象徴の一つとも言える松を次の世代に引き継ぎ、ゆくゆくは白い砂に青々とした松林の続く「白砂青松」を復活させたいと地道に活動を続けている。
松並木の近くに50年以上住む岡田さん。年々木が弱っていくのを見ているうち徐々に松への関心が高まったという。そこでいろいろ知りたいと数冊の本を読み、出会ったのが菌類学者の小川 眞氏の著書。松と共生する菌根菌という菌類や炭を使って松を元気に出来る方法が、一般の人にも分かりやすく紹介されていた。「本当にそんなことが可能なのか」と驚いた岡田さんは、自分でやってみようと平成20年に同会を立ち上げた。
1人で始めた再生
そこに、松の保全を行いたいと考えていた大磯町から声がかかり、現在の「大磯こゆるぎ緑地」の再生を依頼された。町では、海沿いの松が開発により減少すると共に、残っている木も生育状態が悪化していることに危機感を抱き、保全のため松林の一部を平成15年に県と共同で購入。しかし手入れをする余裕がなくそのままになっていた。そこで岡田さんが、平成21年から1人で手入れを始めた。
まず松以外の木を抜き、灌木の茂みや地面をはう蔓などを取り払う。そして自ら育てた松の苗を、炭と菌根菌と共に植えていった。途中から2人の仲間が手伝いに加わり、試行錯誤しながら作業を続けて6年。以前とは見違えるほどの心地よい場所になった。近所の人が犬と散歩したり、町外からウォーキングで訪れたりする人も。岡田さんにとってもここが「一番の宝物」だと言い、もっと多くの人に知ってほしいと願っている。
そして今、主に活動を行っているのは町立大磯中学校の校庭。ここでも松林を再生させようと、78歳の岡田さんが「後継者」と呼ぶ斉藤恒之さん(65)らと共に黙々と作業を続けている。「松は手入れして2年もすれば元気になるから、またやろうという気になる。松に関わるのが好きだからやれるんです」と、岡田さんはそのやりがいを語る。
いつか「松林のベルト」に
こうして活動を続ける中、少しずつその輪が広がりを見せている。「大磯こゆるぎ緑地」の掃除中、通りかかった近くの住人が活動に関心を持ったことをきっかけに、住人が協力して松林の手入れができないか模索する動きも始まった。また大磯中学校の作業では、伐った木を薪ストーブに使いたいという人が週末などに手伝ってくれ、「ありがたい」と斉藤さんは話している。
岡田さんは「民有地にこうした活動が広がって、みなさんが松林を手入れしてくれるようになるといいですね」と話す。斉藤さんも、「そうした場所が繋がって『松林のベルト』ができたら」と願い、そんな日を夢見ながら、今日もまたノコギリや枝切りばさみを握り、黙々と力仕事に汗を流す。
岡田さんたちの他、こうした活動を各地で続ける団体などが集まり活動報告を行う「第11回『白砂青松再生の会』大磯大会」が今月10日(金)に開催される。一般の人も参加可能。11日には、東日本大震災の際津波に耐えた陸前高田市の「奇跡の1本松」にルーツを持つ松の植樹も行われる。
◇日時:3月10日(金)13時30分〜
◇会場:大磯町福祉センターさざれ石
◇定員:50人(申し込み不要)◇問い合わせ=大磯町都市計画課☎61-4100(代表)
【写真TOP】「ここが一番の宝物」と話す岡田さん
【写真下左から】
現在の大磯こゆるぎ緑地/以前の同緑地の様子(大磯町提供)/大磯中学校で作業をする斉藤さん
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