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自家製餡と彩り豊かな和菓子で楽しむ「吉祥庵」

2026.3.6号 湘南のスイーツ

自家製餡と彩り豊かな和菓子で楽しむ

JR相模線・倉見駅から徒歩1分のところに店を構える「和菓子處 吉祥庵」。
定番のどら焼き「吉祥の月」や朝生菓子、季節の上生菓子を中心に、昔ながらの味わいを大切に守り続けている和菓子店です。

そんな吉祥庵の味の礎となるのは、豆から丁寧に炊き上げる自家製餡。
その製法は曽祖父の代にまでさかのぼります。曽祖父が学び身につけた餡づくりの技をもとに、代々受け継がれてきたその味は、いまも二代目・黒田氏の手によって息づいています。
二代目・黒田氏は、関西の老舗和菓子店で四年半修行を積んだのち吉祥庵に戻り、父のもとでさらに研鑽を重ねて店を引き継ぎました。修行で磨いた技と家業の技とを重ね合わせながら生まれる確かな職人技が、地域に親しまれる吉祥庵の菓子を支えています。
この歴史を経て、時間を惜しまぬ仕込みから生まれる餡は、上品で澄んだ甘さと軽やかな口どけが特長で、余韻は優しく決して重くならない。吉祥庵の味を支える大切な存在。定番のどら焼き「吉祥の月」や草餅は、その餡の魅力を最も素直に味わえる代表的な菓子です。

もともとは、どら焼き「吉祥の月」が人気の商品でした。そんな吉祥庵に大きな転機が訪れたのはコロナ禍。客足が遠のいた時期に生まれたのが、遊び心あふれる上生菓子でした。最初に大きな反響を呼んだのは”フグ”。その愛嬌のある姿がSNSで話題となり、それに続いて誕生したのが、鳥。瞬く間に人気を集めました。
鳥好きでもある黒田氏が手がけたオカメインコをきっかけに、文鳥、セキセイインコへと種類は広がり、いまでは100種類以上の鳥を生み出せるまでになりました。現在は、常時4種類ほどのレギュラーの鳥に加え、週末にはその日その日の黒田氏の気分で1〜2種類の野鳥が登場します。SNSで見かけた鳥の写真や、ふと耳にしたさえずりが、上生菓子の鳥を生み出すきっかけになることもあるのだとか。
あえて予約は受け付けず、「鳥好きの同人誌のように楽しんで欲しい」と語ります。二代目・黒田氏のSNSにも、日々和菓子の様子が発信されており、そちらをのぞくのもまた楽しみの一つです。

フグやインコちゃんズのみならず、四季折々の情景を映し取った小さな菓子が店頭を彩り、訪れるたびに新たな出会いがあります。
また、インコちゃんズをはじめ上生菓子は要冷蔵なので、保冷バッグ・保冷剤を持ってお迎えに行くのがおすすめです。

これら上生菓子をはじめとした和菓子の意匠はあくまでシンプルに。色は練り込んでから形を整え、後から装飾を重ねすぎません。丸みや配色の重なりによって豊かな表情を生み出します。練り切りは口の中で優しくほどけ、年齢を問わず楽しめる味わい。可愛らしさの奥には確かな職人技が静かに輝きます。

伝統の餡を軸に、季節や時代の感覚をすくい取る。


いまの吉祥庵の和菓子は、受け継がれた技と二代目の感性が重なり合って生まれています。駅前の小さな和菓子店から広がるその世界は、今日も多くの人にやさしい笑顔を届けています。

小さな和菓子の芸術

 上生菓子は、一見シンプルな形ながら、その奥には深い職人技が宿っています。レイヤーや飾りは最小限に抑え、色を加えてから形を整えるのが重要。練り切りの絶妙な丸みや色の重なり、軽やかな口どけから上生菓子の世界が感じられ、季節の物語に触れられます。
 洗練ながらも豊かな表情を生み出し、大人も子供も笑顔にするのが吉祥庵の上生菓子の魅力です。

和菓子處 吉祥庵(ワガシドコロ キッショウアン)

神奈川県高座郡寒川町倉見3830-7
TEL 0467-74-8247
営業時間 10:00〜17:00
㊡ 月曜、第2・4火曜
Instagram: https://www.instagram.com/kurokazu0714


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