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コネクト |2016.03.18

コネクト:さようなら、真土の「駐在さん」

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0318 コネクト
 長きにわたり地域の為に働き、地域の子どもから大人まで多くの人に親しまれてきた「駐在さん」がこの春、定年退職により勇退する。平塚市の真土地区を管轄とする平塚警察署真土駐在所に35年間勤めた佐山義則警部補(60)。地域で暮らし、地域と共に生きてきた。
 出身は北海道の知床半島に位置する斜里町。高校卒業後の昭和50(1975)年、神奈川県警に採用され、平塚署の四之宮交番、代官町交番、パトカー勤務を経て昭和56(1981)年2月、真土駐在所に入所した。それまでは茅ヶ崎市内のアパートを借りていたという佐山さん。「新築一戸建て、庭付き。畳も新しく、我々夫婦も若かった(笑)」と当時を思い出す。「光陰矢の如しと言いますが、本当にあっという間でした」。35年間。振り返れば、色々なことが思い出されてくる。
 猿が出た。子鹿がいるとの通報もあった。蛇が逃げたので捕まえて。カミツキガメもあった。「犬猫探して」は日常茶飯事。だからケージも常備していた。春先には地域の子どもたちが、巣から落ちたツバメの雛を持ってきた。犬猫の事故死があった時は子どもたちに見せぬよう、登校前に道路をきれいに掃除した。もちろん動物関連だけではない。自転車盗や空き巣、全国ニュースになった事件もあった。最初で最後、自分が手錠をかけたのは、逃げていた空き巣を追いかけて捕まえた時。その時は「もし間違えて、この人が犯人じゃなかったらどうしよう」という不安も大きく、手が震えていた。だが結果的には合計121件・総額690万円余りに上る空き巣の常習犯。後に県警本部長から表彰されたのは良い思い出だ。
 「毎日地区内を見ていればどこに何があるかも分かるし、少しでも異常があれば気が付ける」と、毎朝3時~4時頃には管内を巡回し始めていたが、これは勤務時間外。そのため私服で活動しており、妻・静枝さん(61)曰く「本人は変装してやっているつもり(笑)」だったというが、地域の人々には分かっていた。謹厳実直、温厚で誠実な人柄を地域住民は信頼した。「警察官として当たり前に、当たり前のことをやってきただけです」と謙遜するも「皆さんからの感謝の言葉はすごく嬉しい。『ありがとう』の一言が支えになっていた」と言う。
 家族で移り住んだ当時、長女(37)はまだ2歳だった。長男(33)も次女(31)もまだ生まれてはいなかった。35年の歳月の中で佐山さんもまた、真土地区の住民であった。ここから数えきれぬほどの子どもたちが成長していく姿を見守り、地域から数えきれぬほどの「ありがとう」をもらった駐在さん。この春役目を終え、彼もまた「ありがとう」を地域に返し、ここを去る。

【写真】
35年間「住んだ」真土駐在所の入口に立つ佐山警部補と妻の静枝さん

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