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バニューシネマパラダイス:シーン67『太陽の蓋』『シン・ゴジラ』

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0819 映画
『太陽の蓋』(2016/日本)
監督:佐藤太 脚本:長谷川隆 
出演:北村有起哉/三田村邦彦 他
8月22日より、ユーロスペースにてアンコール上映。全国順次公開。
『シン・ゴジラ』(2016/日本)
脚本・編集・総監督:庵野秀明 監督・特技監督:樋口真嗣准監督・特技統括:尾上克郎 出演:長谷川博己、石原さとみ 他。
シネプレックス平塚他にて、全国公開中。
 今回は、変則的に2作同時に紹介したい。『太陽~』は、3.11の福島原発事故の渦中、事態の収束にあたる官邸の混乱と福島の地で原発被害と震災に立ち向かう市井の人々のドラマを交錯させたドキュメンタリータッチの作品。佐藤監督以下スタッフの視点は、当時の政権擁護に偏ることなく、市民が感じている不満や不安をも叩き込むことで、あの出来事が現在も継続中の危機なのだということをあらためて観客に突き付けてくる。巧みな群像描写と緊迫感漲る、日本では希有なポリティカル・スリラーでもある。実は、本編のスピンオフ(HP公開の第2話)で、僕もお手伝いさせていただいている。そして、本作と相似形を為すのが『シン・ゴジラ』である。こちらでは、3.11は起きておらず、代わりに大量の放射性廃棄物を体内に宿した〈歩く原発〉ともいえるゴジラの脅威に対処する、官邸と自衛隊の動向が綿密なリサーチに基づくリアリスティックなタッチで展開する。出来れば両作共観て欲しい。ここには、「もしも」ではなく、「もはや」の日本への危機意識と、怒りと、切なる願いが込められている。

kiyoto01
文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。
現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。
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