『里見八犬伝』(1983/日本)
監督:深作欣二 脚本:鎌田敏夫
出演:薬師丸ひろ子/真田広之/夏木マリ/千葉真一 他
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近年の時代劇映画復活の嚆矢は、02年の山田洋次監督『たそがれ清兵衛』であろう。以降、『十三人の刺客』、『のぼうの城』、『超高速!参勤交代』、『駆込み女と駆出し男』など、コンスタントに名作、ヒット作が生み出されているが、このジャンルで未だ復活していない土壌が伝奇時代劇である。史実に幻想的な要素や人物を織込んだ世界といえばいいだろうか。本作はその最たるもの。里見家の姫を奉じて妖魔と戦う八つの玉を持つ剣士たちの冒険譚。僕が中学の頃、角川映画の戦略で先行発売されたノベライズ(滝沢馬琴ではなく、脚本家自身によるオリジナル)のあまりの面白さに熱狂し、初日に劇場に駆けつけたものだ。当時は、ノベライズをダイエットした内容が物足りなく感じたが、いま観ると、薬師丸、真田をはじめ昭和の名優が演じる個性豊かな剣士たち、ダイナミックでけれん味たっぷりの深作演出が心躍る、青春伝奇活劇である。この土壌を再び切り開かねば!
文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。
現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。