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ヘッドライン |2017.01.21

介護福祉士を目指す"外国人" 社会福祉法人伸生会が市内初の候補者受け入れ

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 日本ではインドネシアとの間で結ばれた経済連携協定(EPA)に基づき、平成20年度から年度ごとに外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れを実施している。平成21年度からはフィリピン、平成26年度からはベトナムからの受け入れも開始され、3国を併せた全国での累計受け入れ人数は3,800人を超えた(平成28年9月1日時点)。平塚市にある社会福祉法人伸生会(平塚市御殿、大畑直裕理事長)は昨年12月から、市内では初めてこの制度を利用し2人のインドネシア人候補者を受け入れている。

 この枠組みは、原則として外国人の就労が認められていない分野(看護補助分野・介護分野)において、母国で看護師資格を取得するなどした外国人が、日本の国家資格の取得を目的とすることを条件として、一定の要件を満たす病院・介護施設(受入れ施設)において就労・研修することを特例的に認めるもの。看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、あくまで各国との経済連携の強化が目的だ。
2人の候補者
 先月13日から伸生会で働くティチェ・プトリさん(24)とメイサリ・パンジャイタンさん(25)はこの制度を利用してインドネシアから日本にやってきた。「インドネシアで仕事を見つけるのは大変。家族を養うために日本に来た」と話す2人は、母国の大学を出ており、看護師の資格も持っている。それでもなお働き口を探すのは難しいという。彼女たちは母国で6ヶ月間、日本語を学び、EPAの制度を利用して来日した。
 彼女たちは当面、施設での実務経験を積みながら日本の国家資格である介護福祉士の取得を目指す。介護福祉士国家試験の合格率は近年60%程度で推移しており、直近に行われた第28回試験の合格率は57.9%と60%を下回った。国家資格の中でも司法試験などに比べれば高い合格率ではあるが、これは制度の候補者に限らず全体の数字。当然、EPA候補者に限らない日本人も対象とする試験のため、内容はすべて日本語。彼女たちは福祉の勉強と並行して慣れない日本語も学びながら3年後の試験合格を目指している。
将来と課題
 将来的には日本で継続的に働きたいという2人。同法人の特別養護老人ホームで施設長を務める大畑 直さんは2人について「真面目で親しみやすい。今後実際に利用者さんと接する中でコミュニケーションをしっかりとれるようになってもらいたい」と評価し、将来性にも期待をかけている。受け入れ前には「言葉の壁や気配りや気遣いなど、日本との違いがトラブルにならないだろうか」という不安もあったが、目立った問題はないという。もちろん、宗教的な部分であったり文化的な部分であったり隔たりはある。だがそこは相互理解の中で解決できるものと考えている。「何より福祉介護の仕事は人と人との繋がりであってコミュニケーションが最重要」と話す大畑さん。「2人とも日本の文化などに理解を示してくれているし、もともと働いている同僚の日本人とも切磋琢磨してお互いにいい関係を築きたい」という。
 一方で離職率の高さをはじめとした介護職全体の課題というのは外国人を受け入れても万事解決というわけにはいかない。制度上、3年後の国家試験に合格しなければ原則として帰国を余儀なくされる上、合格後の日本の職場への定着率も決して高くはないという。生きている以上、誰もが介護の問題に直面する可能性はある。彼女たちのような外国人候補者の存在は、介護職を取り巻く環境をどう変えていくか。一人一人が当事者として考えていきたい。

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