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バニューシネマパラダイス:シーン107『パンク侍、斬られて候』

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0713映画連載
『パンク侍、斬られて候』(2018/日本)
監督:石井岳龍 脚本:宮藤官九郎
出演:綾野剛 / 北川景子 / 豊川悦司 他
シネプレックス平塚ほか全国公開中。
朝ドラ「半分、青い。」での怪演も話題だが、最近、トヨエツが面白い。『のみとり侍』では、嫉妬深い女房に浮気防止のうどん粉を股間に塗り込められ、浮気がバレると褌一丁に番傘さして出奔する、大店の婿養子を軽妙かつ助平に演じていた。本作でも怪演はさらにエスカレートしている。彼の役は、とある小藩の筆頭家老でちょっと男色の気もある、内藤帯刀。綾野剛演じる浪人、掛十之進からこの地に新興宗教“腹ふり党”の魔の手が及んでいると知らされた帯刀は、“腹ふり党”征伐の指揮をとることで、ライバルの次席家老を追い落とそうと目論む。ところが、待てど暮らせど、“腹ふり党”は来やしない。帯刀は、掛に命じて自作自演の騒ぎを仕組むが、これが思わぬ暴動へと発展する。浅知恵と言い訳と言い逃れを繰り返し、好みのタイプの掛には色目を使う一方、殿様にまで逆ギレしてみせる暴走っぷりをトヨエツは嬉々として演じる。歳を重ねて、二枚目の主役というポジションから解放されたせいもあるのだろう。のびのびと役を遊んでいるかのような彼の自由さから、僕はこのところ目が離せない。
kiyoto01
文とイラスト:竹内清人
1968年生まれ。映画宣伝を経て、『戦国自衛隊1549』で脚本家デビュー。現在、平塚の片隅(馬入あたり)で執筆活動をつづけている。オリジナル小説『躍る六悪人』全国書店にて絶賛発売中!
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