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ヘッドライン |2018.10.15

本の楽しさを多くの人に届ける平塚市内を巡回して36年の移動図書館・あおぞら号

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 読書の秋、面白い本を探そうと多くの人が図書館を訪れる。ただ、そうしたくても近くに図書館がなく利用しづらいという人もいる。そんなときに味方になるのが、平塚市のあおぞら号。子どもからお年寄りまで幅広い世代と直接ふれ合いながら、本を読む楽しさを届けている。
 あおぞら号は市民による公募で命名され、36年前の1982年4月に誕生した。多くの本を積めるようマイクロバスの車体を改造して外側と内部に棚を設置。現在、2006年に更新された3代目が運行している。
 4つある図書館から離れた地域の小・中学校や公民館など15カ所のステーションを、基本的に2週間に1度巡回する。棚には、小説やエッセー、料理本や健康に関する実用書、雑誌などと、児童書・絵本を合わせて約2500冊が並ぶ。図書館で予約すると数カ月待つような人気作家の新作が棚に並んでいたり、図書館では貸し出ししない雑誌の最新号が借りられたりするといった特徴がある。
楽しみにする利用者
 利用する人たちは、月に2回の巡回を心待ちにしている。
 一番近い図書館まで車で20分ほどの市立みずほ小学校。昼休みになると大勢の児童があおぞら号に駆け込んでくる。学校の図書室と比べ新しい絵本や児童書が多く並び、幅1mもない車内は本を選ぼうとする子どもたちですし詰め状態。ファンタジーが好きだという6年生の女子児童は「あおぞら号は来てくれるから(図書館に行くのに)親に頼らなくてすむ」と話しながら7冊を借りた。
 担当の職員・中村春菜さん(27)は「利用する小学生の中には、中高生になってから図書館の仕事を体験する『1日図書館員』に積極的に参加する生徒もいて、あおぞら号が図書館に接するきっかけにもなっている」という。
 岡崎地区の福祉村「おかざき鈴の里」も、利用者が多いステーションの1つ。あおぞら号が到着する前から待つ人もいて、時間になると何人もの人が人気作や好みの本がないか棚をチェックする。車を運転しないという女性は「平塚の図書館はバスを乗り継がないと行けない。前は伊勢原の図書館まで歩いていたが、年でもう歩けないので助かります」と笑顔で話していた。「鈴の里」では、体調を理由にステーションに来られない利用者に代わって、予約した本をボランティアが受け取り自宅まで届ける活動も独自に行い、見守りにもなっている。
借り手のニーズに応える
 あおぞら号の大きな特徴の一つに、利用者と職員の距離の近さがある。職員の中村さんは2年前から担当。読みたい本がある場合に提出する「リクエストカード」や会話を通して、毎回のように来る「常連さん」の名前と顔を少しずつ覚えてきた。今では約30人分の好みのジャンルが頭に入っていて、そうした人が読みたいと考えそうな本を購入することもあるという。毎回出発前にはリクエストがあった本に加えて、高齢者が多い場所を回る日は時代小説、子育て世代がよく来る所には育児に関する書籍など、各ステーションのニーズを考えて本を積み込む。こうしたサービスは、借り手と職員が話す機会の多い「あおぞら号ならでは」と中村さんは話す。
 同号は月に数回、市内の幼稚園・保育園やろう学校、高齢者施設などに出向く「出前図書館」も実施し、本を選ぶ機会の少ない人にも喜ばれている。高齢化がさらに進み、運転できずに図書館を利用しづらくなる人が増えれば、移動図書館の必要性は今後ますます高まっていく。
◇問い合わせ=平塚市図書館☎︎31-0415
「平塚 あおぞら号」検索

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