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|2021.01.06

新春特別インタビュー
河野流“改革”が目指す未来

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2020年9月に発足した菅義偉内閣で行政改革担当大臣、国家公務員制度担当、内閣府特命担当大臣(規制改革・沖縄及び北方対策)に就任した地元平塚出身の河野太郎大臣。早速無駄な押印の廃止、いわゆる「脱はんこ」を打ち出し、着実に改革を進めている。規制改革・規制緩和が目指す未来を改めて聞いた。

 

【河野大臣インタビュー ここがポイント!】
・無駄な押印の廃止は99%以上を達成し、1つのメドがたった
・さまざまな規制改革、規制緩和は「温もりを大切にする社会」のため
・地方行政だけで変えられないものは、国が後押ししていく
・Twitterのエゴサーチは念力によって行なわれている!?

 

「温もりを大切にする社会」の 実現に向け新しい価値を創る

河野太郎

現・行政改革担当、国家公務員制度担当、内閣府特命担当大臣(規制改革・沖縄及び北方対策)。1996年衆議院議員選挙で初当選。2015年、国家公安委員会委員長、行政改革担当、国家公務員制度担当、内閣府特命担当大臣(規制改革、防災、消費者及び食品安全)として初入閣。以降、外務大臣、防衛大臣を歴任

https://www.taro.org/

 

──河野大臣が最後に本紙に大きく登場したのは2018年でした。当時は外務大臣として各国を飛び回っていらっしゃいましたが、その後、防衛大臣に、そして今は行政改革担当大臣に就任されました。まずは外務大臣、防衛大臣時代の振り返りをお願いいたします。

 G7のなかで、我が国はユニークな立ち位置にあります。唯一、欧米のキリスト教的文化圏の外にありながら、民主主義、自由主義、資本主義といった価値観を共有しています。民主主義や法の支配、人権の尊重は、万国共通の価値観であるべきです。
 しかしそれを実現する道のりは、国や民族によって異なります。それぞれの歴史や成り立ちを尊重し、寄り添っていこうと説得するのが日本の役割と考え、アジアや中東、アフリカといった非欧米国の視点をG7の議論にもち込もうと努力してきました。

──日本にしかできない役目ですね。

 我が国は、世界第3位の経済大国ではありますが、国連常任理事国でもなければ核保有国でもありません。軍事力を背景にした外交を行なうことはしません。そういう意味で日本は、米露英仏中ではなく、そのほかの国と同じなのです。戦後の荒廃を乗り越え、欧米に比肩するまでに経済を成長させてきた日本の歩みは、多くの国々の参考になるはずです。

──外務大臣として延べ123カ国・地域を訪問した先にはそういった思いがあったんですね。防衛大臣時代はいかがでしょうか?

 一番明るい話題として印象に残っているのは昨年5月29日に都心上空をブルーインパルスが飛んだことです。
 2020年は新型コロナウイルス感染症の年になってしまいましたが、感染が広がるなか、医療従事者への敬意と感謝を示すためにブルーインパルスを飛行させることができないか検討するよう、航空幕僚監部に指示を出しました。一度の飛行で、全国の医療従事者に敬意と感謝を表すためには、首都東京の上空を飛行させることにしたいという案が報告され、そのとおり実施するように指示しました。都心上空を飛んだのは、1964年の東京五輪、2014年のSAYONARA国立競技場プロジェクトに次いで3回目でした。

──昨年9月には菅義偉内閣が発足し、2015年以来、2度目の行政改革担当大臣に就任されました。早々に行政手続きにおける無駄な押印の廃止を打ち出しましたね。

 10万円の特別定額給付金の支給にとてつもなく時間がかかったり、新型コロナ感染者数の集計をFAXで行なっているために即時性や正確性に問題があったり、行政のデジタル化の遅れがコロナであらわになりました。行政手続きが個人の証明にならない認印の押印や署名を求めていては、デジタル化はできない。今回、民間から行政機関に対して行なう申請手続きのうち、銀行などへの登録印などを除いた押印を廃止しました。具体的には1万4,992種類のうち1万4,909種類、99%以上が廃止されます。

──合理化という物差しのみで物事を判断するのか、という声もあります。

 デジタル化最大の目的は、国や地方の行政の職員が、人にしかできない仕事に集中できるようにするためです。人口減少社会のなかで、例えば虐待にあっている子どもや、見守りや介護が必要な高齢者にもっともっと寄り添わなければならないケースは多いはずです。人間がやらなくてもいいものはロボットやAIに任せて、真に必要なところを人間がやるようにする。究極的にはいかに「温もりを大切にする社会」にできるかだと考えています。

──具体的に、寄り添うべきところに寄り添えていないケースがあったのでしょうか?

 例えばこれまで行政がどのように児童虐待を認知していたかというと、児童相談所への通報や、健康診断で校医の先生が「この子、アザが多いぞ」と気づくといった「現象」からでした。ですが東京の足立区などでは、子ども子育てに関する部局を全て教育委員会に寄せて、子どもに関するデータベースを一元的に構築・分析できるようにしました。そうすると例えば健康診断の結果を見て、成長曲線がずっと横ばいであれば「この子は食事を食べられているんだろうか、栄養を取れているんだろうか」となり、問題に直面していそうな子を行政の方からすくい上げることができるようになります。ですが自治体ごとの取り組みなので、市区町村をまたいで転校するとデータが追いかけられないのです。

──個々の地方行政における改革だけでは横のつながりは構築できないですね。

 茅ヶ崎と平塚は同じくらいの規模ですが、コンピューターシステムは全く別物です。何かルールが変わると、それぞれがシステム改修することになります。こうして全国約1,700の自治体が莫大なお金をかけていることを1つのクラウドにすることで節約もできるし、横の連携も可能になります。こういったことは自治体ごとに個人情報保護条例を制定しているがために、なかなか話が進まなかった。プライバシー保護の名の下に縦割りでしか活用できなかったわけです。法改正をして1回きちんと整理をして、国が後押ししていくべきだと考えています。

──国が道筋を立てることで実現に近づくのですね。地域行政独自の取り組みで注目するものはありますか?

 平塚でデジタル商品券(ひらつか☆スターライトポイント)を販売しましたよね。「平塚は先進的だね」という声もあって「ふふん」と思っています(笑)

──売り上げが15億円以上でした。

 それだけ便利ということかもしれませんね。昔、平塚でビットコインの社会実験をやりましたよね(2014年に河野大臣が主導して「平塚ビットシティプロジェクト」という実証実験を行なった)。今になってキャッシュレス化の流れが加速していますが「もっと早く注目してよ!」と思いました。

──そういった流れの中で、国政において目指すものは何でしょうか?

 安倍内閣時代は、行政の無駄をそぎ落とす“行政改革”に力を入れました。今年はさまざまな“規制改革”を行ない、経済の活性化につなげたいです。
 今日(12月18日)たまたまドローンの規制改革で合意したのですが、山小屋に人力ではなくドローンで荷物を運ぼうとしたときに、山の稜線に沿ってアップダウンしながら飛ばないといけないとか、山林の上を飛ぶ際に目視できなきゃいけないとか、荷物を上空から落としてはいけないとか無駄なルールが多かったのです。あるいはTVの地上波放送をインターネットで同時配信しようとすると、Eテレでは著作権の関係で6割ぐらいしか配信できない。それじゃ同時配信にはならないですよね。こういったことが緩和されれば、新しいビジネスが生まれてくる。世の中、国民の側から見て必要とされる、新たな価値を創り出すような改革に注力していきます。

──最近は地元(神奈川15区=茅ヶ崎、平塚、大磯、二宮)に帰ってきていますか?

 月1ぐらいですね。でもコロナで移動するなというご時世ですから。緊急事態宣言の時は家族からも「帰ってくるな」と言われましたし……。イベントも中止で街中をプラプラ歩くぐらいですが……それにしても商店街のダメージは大きいですね。

──コロナ禍において、平塚周辺はテレワーク移住にも適していそうですが。

 1980年代に日本で最初のサテライトオフィスの現場責任者を埼玉県志木市でやりました。そのときから「テレワークは実現できる」と言ってきたのですが「そんなの無理でしょ」と言われていました。ようやく時代が私に追いついてきたなと思っています(笑)平塚は東京から遠すぎもせず、住環境も良いのでニーズはあると思います。もっと「平塚でテレワーク」を打ち出してもいいかもしれませんね。

──さて、大臣といえばTwitterですね。幅広い世代の関心を集め、フォロワー数もうなぎのぼりです。じつは何より気になるのがエゴサーチ(自分の名前などで検索し、自身の評価などを確認する行為。河野大臣は名前だけでは検索できないような話題まで拾うことから、ネットを中心に話題になったことも)をどのようになさっているか、なのですが……。

 念力。

──ぜひそれ以外の答えでお願いします(笑)

 念力だよ(笑)暇つぶしですからね。とはいえ、自衛隊のPRや、規制改革について知ってもらおうという思いで情報発信しているという側面はあります。時にはツイートした内容がメディアに取り上げられもしますが……。メインは暇つぶしです(笑)

──そうですか(笑)さて、遅くとも今年秋には衆院選が行なわれます。

 しっかりと地元の皆さまにご支持いただけるように頑張っていきます。

──ちなみに総裁選への意欲は?

 いずれやります。

──その“いずれ”を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

 

写真/山中 基嘉

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