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ヘッドライン |2021.03.03

東日本大震災から10年

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あの日、あなたはどこで何をしていただろうか。2011年3月11日、東日本大震災。地震による大津波と福島第1原発事故という未曾有の大災害は関連死を含め全国で約1万9,600人(※1)の命を奪い今なお2,527人(※2)の行方が分からず、4万人(※3)を超える人が全国各地へ避難している。当たり前にあった営みが、変わらないと思っていた暮らしが奪われた“あの日”から今年3月11日で10年を迎える。

 
 
※1 2020年12月10日警察庁発表・2020年12月25日復興庁発表の合計
※2 同警察庁発表
※3 2021年1月29日復興庁発表
写真出所 東日本大震災アーカイブ宮城(石巻市)
提供者:石巻市、東部地方振興事務所、石巻市社会福祉協議会、一般社団法人みらいサポート石巻、大井川 修氏

節目の10年
平塚から見た震災

 戦後日本を襲った未曾有の大災害は、 本紙発行エリアにも大きな影響を与えた。 当時、現在のタブロイド判ではなく、 日刊紙などと同じブランケット判で発行していた 本紙記事から、“あの日”を振り返る。

 本紙では2011年3月18日号で初めて関連ニュースを扱った。それによると平塚市では震度5弱を観測。軽傷者1人があったほか、旭小学校の本館渡り廊下の柱と土台にヒビが入るなどの建物被害が5件、民家のブロック塀の倒壊などがあったと伝えている。避難所は18カ所が開設され598人が避難。帰宅困難者は526人いた。翌3月25日号では被災地へ派遣された消防隊員らの動きを特集。「がれきにぶら下がっている遺体や、小学校のがれきの中に埋もれた小学生の女の子の遺体もありました」と生々しく語った、仙台市宮城野区で任務にあたった平塚市消防本部第1隊の声のほか、被災地からの一時避難者受け入れ施設の開設、節電状況、市内企業の支援活動、諸団体や有志市民による義援金活動などを伝えている。この後も、毎週のように被災地支援についての記事が掲載された。
 3.11を境に、国民の考え方や行動基準は大きく変わった。もちろん、阪神淡路大震災の時、そのほかの災害の時、折につけ考え方や意識はアップデートされていったはずだ。だが、その比ではないほどに、人々の生活を変えたのが東日本大震災だ。2020年、世界中を席巻した新型コロナウイルス感染症が人々の暮らしを変えたように、多くの人が自分ごととして天災に向き合った。今年2月13日には、あの日の記憶を呼び覚ますかのように、福島県沖で最大震度6強の地震が発生し平塚市内で停電も発生した。街灯が消えた通りを、仕事をしなくなった信号機を見て、当時を思い出す。あの日の教訓を今、もう一度胸に刻みたい。

被災地を見た平塚市職員
復興への道のりは今

震災遺構の1つ、旧門脇小学校。凄惨な津波の被害を今に伝える

震災以降、平塚市は「災害時相互応援に関する協定」を結んでいる宮城県石巻市へ 職員を派遣し続けている。その数延べ77人。石巻を見てきた市職員が語る被災地とはー。

 

震災伝承推進室 小貫奈保さん(33)

 2020年4月から石巻市役所で勤務する小貫奈保さん。「復興に携われる、今しかできない仕事を」と志願して被災地に向かった。彼女の職務は震災の記憶・教訓・思いを後世に伝えること。震災遺構や慰霊碑の整備などに携わっている。「普段の生活で、ここが被災地だと感じることはないです。でもメディアでは毎日震災のことを取り上げています。平塚では3.11が近づけば目に触れるようになりますがそういうレベルではなく、市民も日常的にとても高い防災意識を持っています」という。
 今年3月、石巻市の南浜地区に「石巻南浜津波復興祈念公園」が開園する。公園の隣接エリアの旧門脇小学校は震災遺構として当時の姿を今も残している。だが遺すことには「反対の声もありました」という。10年経ったとは思えないほど、生々しい当時の姿を残す校舎。それでも前を向くために、石巻市は伝承を決めた。「日常的には、被災の影響の多くは解消されていると思います。ですがそうではない心の部分、そしてそれを伝えていくという部分では10年で一区切りとはいかないと感じています。被災者に寄り添いたい気持ちと、仕事ですべきことの間に葛藤もあります」
 平塚の人に知ってほしいことは。「今はコロナ禍で難しいですが、一度はここに来てほしいと思っています。メディアを通じた情報だけではなく、自分のこととして取り入れてほしい。整備は進んでいますが、当時の様子を残すものも多くあります。きっとTVや新聞などだけでは伝わらないものを肌で感じると思います。あと、純粋に海の幸や地酒がおいしいんです。そういったことも知ってほしいです」。まっすぐに、最後には笑顔で石巻への思いを語ってくれた。

 

道路課(当時) 小野 力さん(30)

 小野 力さんは2016年4月から2018年3月までの2年間、石巻で勤務した。業務は事業を行なうために必要な土地取得や建物補償などで、その職務範囲は道路や河川、下水道など多岐にわたり、多くの地権者と直接言葉を交わしてきた。
 「震災直後は合意形成とか、青地図を作る仕事だったと思います。ですが私が携わったのは実務の段階。司法書士や元銀行員などスペシャリストに囲まれたチャレンジングな職場でした」と振り返る。「土地にゆかりのある、いろいろな人と話ができました。時には何百年も続く家柄の人と交渉することもありましたし、何度も何度も足を運ばないといけなかったです」という。一方「職員も被災者ですから、親族を亡くされてる方も少なくない。返答に窮するような話をされることもありました」とも。「復興のためには必要なことでも、視点によって考え方は違います。一人ひとりとゼロから関係を作っていきました。仕事柄、時にはお叱りを受けることもありましたが、感謝されることも多かったです」
 「今は無理ですが、本当は現地で経済を回してほしいです」と小野さん。「でも平塚でできることもいろいろあるので、3.11のタイミングでは当時を思い返してほしいです。被災地への支援というだけでなく、教訓を生かして、備蓄を考え直すとかでもいいんです。私はこの経験を、平塚市に還元できるようにしていきたいです」

 

観光課(当時) 秦野真樹さん(30)

 2018年度から2019年度まで石巻で勤務した秦野さん。「正直言って、被災地を訪れたこともありませんでしたし、自分に務まるだろうかという不安はありました」と振り返るも「レベルアップという意味でいいことかなと思い飛び込みました」と笑う。
 職務は「観光振興」。「震災でかなりの風評被害がありました。僕が行っていた時も観光客は減っていたので人を呼ぶ仕掛けをしていきました」。最初に手掛けたのはフィルムコミッション。「香取慎吾さん主演の『凪待ち』(2019年、キノフィルムズ)という映画のロケ地になったんですが、地権者と交渉したりエキストラを集めたり、警察と折衝したり、とにかくいろいろやりました」という。「石巻市が題材になったことで、時間とともに忘れられていくかもしれない街の面影を残したかった……という感じでした」。そのほか「いしのまき観光大使」を創設したり、海外のイベントに出展したり、「ツール・ド・東北」に携わったりとあらゆる業務に取り組んだ。
 そのなかで生まれた思いは。「国からの復興費でいろいろな取り組みが行なわれました。でも10年を機にそれが無くなってしまうかもしれない。有形のものであれば、これからは維持管理が大事になります。そんなときに、現地でお金を落とすっていうのが、やっぱり大事かなと思います」

 

平塚市民が主導した防災イベント「ひらつな祭」
コロナ禍逆手に「希望のオレンジマスクCP」展開

 

能勢康孝 実行委員長

 急激に高まった防災意識が市民活動につながったものの1つが、震災1年後から今日まで続く防災イベント「ひらつな祭」(能勢康孝実行委員長)だ。2011年に平塚で開催された防災講演会のなかで「お祭りなどの地域のつながりがあると、有事の際に初期行動が早く取れる」という話があったことからイベントを立ち上げ、「平塚」で「つながろう」という思いで「ひらつな祭」と名付けた。回を重ね10年が経つが、防災意識が定着したかといえば「実感しにくい部分もある」と本音を明かす。だが徐々に参加希望者や団体も増え、つながりは広がっていった。
 しかし、コロナ禍という新たな“災害”がそのつながりをも断ち切ろうとしている。昨年は開催10日前に中止を決定。そして今年も、緊急事態宣言下の今、人が集まるような大規模イベントの開催は難しい。
 そこで、コロナ禍を逆手に展開しているのが「希望のオレンジマスクキャンペーン」だ。赤い羽根共同募金のように募金に協力するともらえる、“ひらつな”のイメージカラーであるオレンジ色のマスクをみんなでつけて、被災地へ思いを馳せ、その輪を広げようという企画だ。商店街の協力店舗などで寄付できるほか、3月7日には街頭募金も計画中。東日本大震災に限らず、熊本地震の被災地も支援しようと、期間は4月14日までとした。目標金額は100万円。寄付金は全額が被災地に贈られる。
 現地を知ろうとすること、義援金を贈ること、一つひとつが防災意識の高揚につながるはずだ。ぜひ今一度、10年間の思いを感じてほしい。

オレンジマスクを着用し
「#remember311」をつけてSNSに投稿しよう!

詳細はひらつな祭HPで!
https://www.hiratsuna.com/

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