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ヘッドライン |2021.06.23

未来へ伝えたい七夕

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新型コロナウイルスの蔓延により、平塚が誇る一大イベント「湘南ひらつか七夕まつり」は今年も中止が決まった。

平塚のシンボルともいえる七夕まつりと、それに携わる人々の思いを、コロナ収束後の日常へ伝えようという動きがある一方、人々が集う“まつり”ならではの伝統行事のなかには、苦境に立たされているものもある。

七夕を彩る伝統は今

七夕の象徴でもある豪華絢爛(けんらん)な飾りや七夕おどり、歴史の中で新たに生まれた七夕太鼓といった伝統は、光の当たる機会を奪われている。それぞれの団体に話を聞いた。


この記事は湘南ケーブルテレビ局(SCN)との共同企画により制作しました。湘南チャンネル(CATV002ch)で放送中の「情報カフェ! 湘南館ワイド」では永野アナウンサーの現地レポートをお送りします。今回の番組は6/28(月)まで放送中(12時〜12時40分、19時〜19時40分ほか)。

飾りは“点”ではなく、 “線”じゃないといけないんです

湘南七夕の会
根岸 理裕(まさやす)さん


七夕といえば中心街にそびえる豪華絢爛(けんらん)な大型飾り。中心商店街のまつりが平塚の七夕のルーツなだけに、今なお手作りの飾りを作る店舗や企業もあるなか、ものによっては業者に委託しているケースも少なくない。  およそ50年前、まだ通り沿いの商店が自前の飾りを自店舗の前に揚げる形が主流だった頃、飾り作りをサポートすべく生まれたのが「湘南七夕の会」だ。だが20年ほど前から店舗が主導する飾りが減り始めた。そこで「市民飾り」という有志団体が大型飾りを掲出できる仕組みが生まれ、一昨年まではそのサポートに尽力してきた。毎年30本以上の飾りが紅谷町駐車場に設けられる作業場から生まれている。  根岸さんは1989年から同会に携わり、数々の飾りを送り出してきたベテランメンバーの1人。今は主に「飾りの基本となる材料の調達や、作り方の指導」をしているという。飾りで大切なことを聞くと「飾りは“点”ではなく、“線”じゃないといけない。大きいのがドーンとあるのもいいけど、並んでいるっていうのが大事なんです」という。目抜き通りが明るく照らし出される夜景の写真を見たことがある人も多いと思うが、それも飾りが“線”であってこそというわけだ。  2年連続の中止については「まあ、仕方ないよね」と一言。「やっぱり、見にきてくれるお客さんがいてのものだからね。でも例年のようにできる日が来るといいね」。飾り作りから撤退する店舗も増えるなか、それでも飾り作りを続けるのは来場者に平塚の七夕を見てほしいから。「自分で作ると、飾りの見方が変わるでしょ。比較して、また作りたくなる。そうやってたくさんの飾りが出続けて平塚の七夕が盛り上がってほしいね」

七夕は大勢の お客さんがいる特別な日

相州平塚七夕太鼓保存会
代表世話人 今井裕久さん
世話人 中谷啓秀さん
菅俣花香(はな)さん


左から中谷さん、今井さん、菅俣さん

七夕といえば太鼓も欠かせない伝統の一つ。相州平塚七夕太鼓は、1979年に現在の公益社団法人平塚青年会議所が創立20周年の記念事業として「平塚に新しい文化を」と提唱して生まれた創作太鼓だ。曲目はすべて七夕にちなんだもので、『上を向いて歩こう』や『明日があるさ』『笑点のテーマ』を作曲した中村八大氏(1931〜1992)が手がけている。そのため「祭囃子でありながらも音楽的な、唯一無二の楽曲になっている(今井さん)」という。  七夕まつりの喜怒哀楽を表現した『組曲七夕』、織姫に対する彦星の思いを表現した『織姫賛歌』などの楽曲は、その一つひとつをつぶさに知らずとも、七夕に限らずいろいろな場面で見かけることも多かった。七夕期間中は言わずもがな、初日の出を見る会、湘南ひらつか花火大会、行政や市内企業の式典やイベントと枚挙にいとまがない。  ところが、コロナ禍でその活躍の機会の大部分が奪われた。「依頼があればどこにでも行っていましたが、それがほぼゼロになった(中谷)」というように、昨年から今年にかけての活動はごくわずか。昨年の民間有志による七夕イベント、元旦の2回だけだった。月に2度の練習も丸一年止まってしまった。メンバーの中には活動から離れてしまった人も少なくないという。  中学生の菅俣花香さんは小学校低学年のころから保存会に参加している。「父が保存会で活動していて、カッコいいなと思って始めた」そうだ。活動のなかでも七夕は「特別な日。大勢のお客さんの前で演奏できるのは楽しいし、反応があるとうれしい」という。一方で半活動休止状態にはフラストレーションも溜まった。「そもそも友達の家に遊びに行くのも遠慮しちゃう。普段の練習もできないし、同い年ぐらいの子が辞めてしまうのはつまらないです」という。  「早く終息してほしい」という彼女に「来年は大勢の人の前で演奏できるといいね」というと、満面の笑みで「はい!」とうなずいてくれた。

海外での公演も数多い

元々あった七夕おどりは なくなってしまうかも

平塚レクリエーション協会
阿部貴江子さん


阿部さん(中央)とレクリエーション協会のみなさん

七夕といえば「見るより聞くより踊るもの〜♪」で有名な『七夕おどり』。踊っている人を見かけなくても、自分では踊れなくても、会場にいれば嫌でも耳にするし、これがないと七夕まつりも画竜点睛を欠くと言っていい偉大な伝統の一つだ。ご存知の人も多いだろうが、歌うのはあの都はるみ。1970年に七夕まつりの20周年を記念して制作された。  そんな踊りの伝統を守り続けてきたのが平塚レクリエーション協会だ。歌が生まれるよりさらに古い1954年に発足し、七夕はもちろん、緑化まつりや福祉まつり、各地区の盆踊りなどに市からの要請を受けて踊りに行っていたという。七夕の華でもある織り姫らに踊りの手ほどきをするのも彼女らの役割。千人踊りパレードを先導する、井桁絣の黄色の着物には見覚えがある人も多いはずだ。だが以前は50人を超えた会の規模も、ここ2〜3年で大幅に縮小。現在はイベント時のみ、阿部さんら数人のみが協力しているという。  「踊る人は減っちゃったわね。もしかすると正規の踊りを踊るのは私で最後かも」とポツリ。みんなで踊るものなのでわざわざ言うことは少ないが、踊りも徐々に変化していっているという。「総合公園で盆踊りをやっていたころはみーんな知ってたわね」と懐かしむ。彼女らの踊り姿は、ただ動きがわかる人とは段違い。手足の運びだけでなく目線や体の使い方まで、所作の一つひとつが凛として優雅だ。  そんな彼女らだが、踊りから離れればとても明るく元気。指導するときも冗談を交えながら和気あいあいと和やかな雰囲気だ。だが、ここ数年の活動の縮小は、そんな阿部さんらの明るさにも影を落としている。「これで(中止になって)2年でしょ。仕方ないけど、断ち切れちゃうものもあるかもね。七夕踊りはみんなで踊ってこそだから、前みたいに踊れるようになるといいわね」。最後はにこやかに語ってくれた。

 

見るより 聞くより!
踊ろう! 七夕おどり


1.前に進みながら下から前に、3度手拍子をする。

2.両手を前に伸ばし、足を運びながら左手を前・後・前後前のリズムで動かす。右手を同様に動かす。


3.前進しながら腕を体の正面で一回転させ、右前でキメ。左側にも同様に動かす。


4.進みながら額の前で両手をハの字にひらひらと動かす。右手のひらを最初に前に出し計4回。


5.左腰の下に手を落とし、頭上で大きく弧を描く。足は3歩前進し4拍目でそろえて爪先を立てる。

昨年平塚JCが制作した動画もチェック!

湘南ひらつか七夕まつり2021

再び中止となった第70回開催に代わり、今年は「湘南ひらつか七夕まつり2021」が開催される。  紅谷町まちかど広場への装飾、湘南スターモール・紅谷パールロードへの飾りの掲出のほか、七夕飾りミュージアム(ひらつか市民プラザ)や市民団体等への七夕飾り掲出支援などのほか、SNSなどを利用したオンラインイベントも企画されている。今年は市外へのPRが盛んで、6月23日からは横浜高島屋の店舗1階正面口に飾りが掲出される(7月7日まで)。オリンピック会場である江の島・宮ヶ瀬湖・相模湖などにも掲出予定だという。学生団体「日本伝統文化研究会」が企画・運営する増上寺七夕まつり(東京都港区、7月6日・7日)への協力も決まっている。  16日には有志団体・七夕飾り空いっぱいプロジェクトによって、スターモールや、JR平塚駅のみどりの窓口に飾りが掲げられた。同プロジェクトの小林誠さんは「コロナ禍によって今も先が見えない状態が続いている。にも関わらず、多くの企業が声をかけてくれたり、協賛に協力してくれたりした。前向きな思いがすごく伝わってきた」と話す。市民有志が懸命に七夕を残そうと取り組み、直接は関わらない人も協賛など形を変えて何かしらの思いを発信している。

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