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ヘッドライン |2021.09.29

Ačiū! Lietuva
ありがとう!リトアニア

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交流の歴史を振り返ろう

リトアニアとの縁

世界的には大国とはいえないバルト三国の一国が、今や多くの市民が知る国となった。
2015年、当時の駐日リトアニア大使が黒岩祐治県知事を訪問した際、東京五輪に向けてキャンプ地を探しているという話がでた。そこで県内自治体のなかでも競技場・体育館・プールといった施設が充実している平塚市が話題に上がったという。
平塚市も当時は2020年に開催されるはずだった五輪に向けて、事前キャンプ誘致を考えていた。キャンプ地に選ばれる経緯はさまざまで、もともと姉妹都市や友好都市だった、特定の競技が盛ん、国際大会開催の実績がある……。そういった状況を生かして誘致することが多いという。平塚も当初は、ビーチスポーツが盛んなことを生かしたルートも探っていたそうだ。
同年行なわれた大使の視察では、東京へのアクセスの良さや、施設の充実度などに一定の評価を得たという。この頃、平塚もリトアニア共和国に対して事前キャンプ誘致を進めていく方針を固めた。こうして平塚とリトアニアの関係が始まった。 ホストタウンとして  東京五輪では、五輪に参加する国・地域と日本国内の自治体が、スポーツ・文化・経済などの多様な分野で交流し、将来的な地域活性化や五輪以降の交流を目的とする「ホストタウン」という制度が生まれた。平塚も2016年1月にリトアニアとのホストタウン一次登録を受け、ここから2者の交流が加速度的に進んでいった。
4月には同国のオリンピック委員会が初の視察に訪れ、その後も毎月のように農業省・経済省・外務省などの政府高官が平塚を訪ねてきた。平塚からもリトアニアへの訪問が実現。七夕まつりでは紹介ブースが設けられるなど、事前キャンプ地決定に向けての取り組みが加速していく。
こうした地道な取り組みが実を結び、11月にはオリンピックの事前キャンプ地として正式に協定が結ばれ、2018年5月にはパラリンピックの事前キャンプ地としても協定が結ばれた。その後も交流を重ね、2020年に向けて盛り上がりを見せるも、世界中を巻き込むコロナ禍により、多くの制限を受けることになったのはご存知のとおりだ。


リトアニアオリンピック委員会の初の視察


協定締結式。県と平塚市の共同での誘致となった


協定締結に伴うレセプション。この頃はまだ乾杯もできたが……

民間レベルの交流も多数

 2017年4月、平塚市にオリンピック・パラリンピック推進課が設置、同時に市民レベルでの交流に向けて、ひらつかリトアニア交流実行委員会(田中國義実行委員長)が発足した。
 プレキャンプに訪れたアスリートによる小中学校訪問や料理教室、市民講座の開催、リトアニアへの訪問団の派遣などさまざまな事業を精力的に行なっていった。


2018年、リトアニアトップアスリートとのふれあいフェスタでの一幕。 市内小学生ら約550人が参加し、オリンピアン・パラリンピアンと交流した


駐日リトアニア大使夫人らによる料理教室。 食生活改善推進団体などに向けて行なわれてきた


2017年の七夕に合わせて平塚を訪れたリトアニア共和国アリートゥス市の 公式訪問団。ステージにも出演した


2018年に平塚を訪れたアリートゥス市の音楽学校の生徒ら。 ステージに出演し、リトアニアの民族音楽などを披露した


2018年から販売されたリトアニアビール。 七夕などのイベントのほか、リトアニアフェアでは 市内飲食店でも取り扱われた


リトアニア語翻訳家の木村 文さん(左から2番目)は対訳詩集『あさはやくに』を市に寄贈。さらにこのたび、詩の絵本『ちいさなちいさな』を各小学校・図書館に寄贈した


2019年にはリトアニア共和国カウナス市パネムネ小学校訪問団が来平。習字やボッチャなどで港小学校の児童らと交流した

続く交流を願って

リトアニア料理の レシピブックが完成!


国を知るにはまず料理から……ではないが、料理教室やリトアニアフェア、飲食品の販売など、多くの食にスポットを当てたイベントが行なわれてきた。駐日リトアニア共和国特命全権大使のゲディミナス・バルブオリス氏(9月末で退任)の妻、ラサ・バルブオリエネさんは市内での料理教室など、食という面から2国間の交流を推進しようと粉骨砕身してきた。
 イベントは都度盛り上がりをみせたが、参加者からは「日本語でリトアニア料理のレシピを探そうとしても難しい」という声があり、ラサ夫人自身も日本語で情報を提供したいという思いから、このほどリトアニアの家庭料理73品目を紹介したレシピ本『リトアニアのおうちごはん』が完成した。リトアニア人にとってなじみ深いというスープや、乳製品を使用した料理は比較的簡単な調理ながらも食文化を知るのにもってこいだ。ラサ夫人は「日本と同様に、それぞれのレシピには家庭の味がある。本に載っているのは私が祖父母や両親から学んだもの」という。レシピの1つ、はちみつのケーキは大使のお気に入りで、「彼のお母さんから習って、誕生日には毎年作っているもの」なのだとか。
 レシピ本は9月29日から、各地区の公民館などで無償頒布されている。同書を手にとってリトアニア料理にチャレンジするとともに、各家庭ならではの味を探求し遠くリトアニアの暮らしに思いを馳せてみてはどうだろうか。


市内公民館で無償配布中!

ゲディミナス・バルブオリス大使(左)とラサ・バルブオリエネ大使夫人(中央)。 右は共同著者で在日リトアニア人コミュニティー代表の前川ダイバさん

落合市長「騎士(ナイト)」に!?

こうしたこれまでの取り組みに対して、落合克宏市長に「リトアニア勲功章ナイト」の勲章が与えられた。本来であれば五輪に合わせて来日予定のリトアニア共和国大統領から授与される予定だったが、長引くコロナ禍で来日が難しいため、9月15日にバルブオリス大使から渡された。
 リトアニア国家勲功章は2002年に制定されたもので、文化、科学、教育、スポーツなどの発展など、リトアニアに貢献した人物に授与される勲章。等級はナイト、オフィサー、コマンダー、グランドコマンダー、グランドクロスと5つに分かれており、日本では過去に7人が授与を受けているという。
 大使は「リトアニアの一番のプロモーターとして多くの力添えをいただくとともに、アスリートの夢をかなえてくれた。この関係性はこれからまだまだ育んでいける」と感謝を述べると、落合市長は「この勲章は交流に力を注いできてくれた市民みんなにいただいたもの。みんなで喜びを分かち合いたい。これまでの交流は未来を担う子どもたちにとって大きな財産になる」と話し、今後の更なる交流の発展を誓い合った。
 また事前キャンプをサポートしたボランティアチームに対しては感謝状が贈られた。バルブオリス大使は「東京大会は難しい状況で行なわれたが、最前で選手たちをサポートしてくれた。みなさんの支援がなければリトアニア選手団の参加は難しかったと思う」と労をねぎらった。 この先の交流は  平塚市は2002年、サッカーの日韓ワールドカップ開催時にナイジェリアナショナルチームのキャンプ地として選手を受け入れた。湘南ベルマーレとの親善試合には1万5,000人が集まるなど、街中も大いに活気付いた。だが、結果としてその後の交流は続かず、一過性の関係となってしまった。
 多額の税金を投入した事業だけに、このまま関係性がフェードアウトしてはあまりにもったいない。盛り上がりのピークをコロナ禍で逸しているのならなおさらだ。落合市長が勲章を授与された際に「これまでの交流を具体的につなげていくために友好都市締結などができれば」と話したように、この絆をどう生かしていくかが、何よりも重要だ。担当課では「コロナ禍で人的交流などは見通しが立たないが、ホストタウン交流は続けていきたい。年度末までには何らかの方向性が示せれば」としている。
奇しくも来年は日本とリトアニアの国交100周年の記念の年という(独立回復後は2021年が30周年)。同時に平塚市政90周年の年でもある。未来へ向けて、官民を問わず、さまざまなカタチで2者間の交流が活発化していくことに期待したい。



代表して感謝状を受け取ったボランティアチームの増谷栄伸さん(中央)と土屋美園さん(左)

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