「7」の継承者
田中 聡選手 インタビュー

【田中 聡/たなか さとし】長野県出身。19歳。2018年に湘南ベルマーレU-18に加入し、2019年にはトップチームに２種登録。2020年にJデビューを果たし、2021年にユースからトップ昇格。2019年U-17日本代表、2021年U-22日本代表。

──まずはルーキーシーズンの1年を振り返ってもらえますか？
　いろいろなことが起きた１年でした。悲しいこともうれしいこともありましたが、人生のなかで一番濃く、成長できた１年でした。

──昨シーズンはアンカーポジションでの出場が多かったですね。
　対人は自分の強みなので、「真ん中に来たら絶対にやらせない」というところでは良さが出せたかなと。ただ、ボールに行きすぎて空けてしまうことも多々あるので、状況にあった守備を追求していかなければと思います。

──永木亮太選手や米本拓司選手といった近いポジションのベテラン選手との関係はどうですか？
亮太くんはまだ一緒にやれていないんですけど（１月20日時点）、ヨネくんはすごく湘南にあった選手で、かついろんなチームでやってきた経験を感じます。僕は感覚派で、ヨネくんを見ていると「こんなに考えてやってるんだ」と思うので、もうちょっと考えてプレーしたいです。

──彼らから学んで成長できそうですね。
　プレー中は感覚でやっている部分が多いですが、頭を使うことでより楽にプレーできるかもしれない。思考が感覚に追いついてくれば、もっと成長できると思うので、感覚も大事にしつつ、考えながらやっています。まだまだ未熟で先輩たちから学ぶことは多いです。

──今年から背番号が７番になりました。
　最初は「7番はどうか」とクラブから提示してもらったんですけど、まだ２年目ですし簡単につけていい番号だと思っていないので断ろうと思ったんです。でも素直にうれしかった。つけることで責任やプレッシャーを感じて、さらなる成長につながるとも思い、選ばせてもらいました。32番も好きでしたけど、いつかは若い番号をつけたいとは思っていたし、重みのある番号に相応しい選手になりたいと思っていました。それならタイミングは早い方がいいなと。

──山口監督は５位以内という順位や得失点数など、具体的な数字で目標を示しました。
　「去年残留争いしていたチームが何を言ってんだ？」と言われるかもしれませんが、いい選手が入ってきて、残った選手も多い。簡単ではないですが狙えない順位ではないと思っています。去年のスタイルに、新加入の選手たちの良さが加わって面白いサッカーができると思っているので、早くシーズンが開幕してほしいと思っています。

──個人での目標はありますか？
　去年は２ゴール１アシストでしたが、小・中学校のころは前線でプレーしていたので点を獲ることは好きですし、自分の点でチームを勝たせられる選手になりたいと思います。遠くからでもゴールを狙えることで相手にとって嫌な選手になれるので、練習後のシュート練習もしています。
　守備的な面では、昨シーズン序盤は90分間出場できる選手ではなかったですし、自分のことで精一杯でした。今年はフル出場はもちろん、周りの選手のカバーなど、真ん中のポジションとして気を配ってプレーしたいと思っています。

──年齢的にも、パリ五輪やＡ代表への思いがあると思います。
　第一はベルマーレで結果を出すこと。それからその先の道を目指していきたいです。ただ、僕の１個上の選手もＡ代表になりましたし、刺激になっています。オリンピックには（谷）晃生くんが出ていて、あんな活躍してすごくうらやましくて、自分も出たいと思いました。

──海外クラブへの展望もありそうですね？
　小さい頃は「バルセロナでプレーする」とかはありましたけど、バチバチやるのが好きというか、燃えるタイプなので、自分のスタイル的にはブンデスリーガが合ってるかなと。それこそ遠藤 航選手ぐらい活躍できれば日本代表にも選ばれると思うので。いつかはドイツのクラブを目指したいです。

──好きな選手や憧れの選手はいますか？
　みんなそうですけど（リオネル・）メッシ選手とか、スター選手ですね。日本だと中村俊輔選手とか「すげぇ上手いなー」って……全然プレースタイルは違いますけど（笑）
　実際に参考にしてるのは遠藤 航選手や田中 碧選手です。彼らのように守備も攻撃もできる現代的なボランチになりたいと思っています。

──コロナ禍でサポーターの声援があるスタジアムではありませんでした。ただ、それでも多くのエールが届いていると思います。その力はどう感じていますか？
　まだ、今まで一度も声援の中でプレーしたことがないんです。でもどの試合もたくさんの人が見てくれていて、それだけでも興奮しているしモチベーションも上がっています。これに声援まであったらどうなるんだろうというワクワクはすごくあるので、早くそうなってほしいです。ベルマーレのサポーターはハリセンとか太鼓とか工夫してくれて、プレーしていて聞こえてくるし、あと一歩を頑張れるのはサポーターがいてくれるからこそだと思います。

──街中でサポーターから声をかけられることも増えてきたのでは？
　それが全然なくて！
　プロになったら「街中で声をかけられるのかな？」と思っていたんですが全然なくて寂しいです（笑）

──難しいご時世というのもありますね。
　でも晃生くんとご飯に行くとすごい声をかけられるんです。僕はついでで「あ、いるんだ」みたいな（笑）もっと頑張って有名になりたいです。

──休みの日はどんな過ごし方をしていますか？
　1日だけのオフだったら家で映画を見たり、TVゲームしたりですね。買い物とかはたまに行きますけど。

──インドア派なんですかね？
　インドアなんですかね？
　でも小さい頃はずっと外にいました。あの頃が一番楽しかったです（笑）

──趣味やハマっていることはありますか？
　趣味かぁ……。高校時代からずっとサッカー漬けで遊びに行けなかったので、私服を持っていなくて。私服の買い物に行くことですかね。

──ファッションに興味があるんですね。
　いや、ないです（笑）
　でも練習に行くと先輩に「パジャマで来るなよ」とかいじられるんです。僕自身「あ、これはパジャマなんだ……」というレベルで。だんだんマシになってきたと言われるので、服のセンスも少しずつ成長できればと思っています。

──街で声をかけられたときのためにもですね。
　大体スウェットやジャージなので……今思えば確かにパジャマですね（笑）

──湘南ならではのサーフィンや釣りに興味はありますか？
　長野時代はスノーボードをかなりやっていたので、サーフィンはやってみたいです。僕は待つのが苦手なので、釣りは向いてなさそうです。

──湘南の好きなスポットとかはありますか？
　高校のときから友達とゲームセンターにはよく行ってました。あとは湘南の選手もよく行く海鮮料理屋の眞鶴。家族のように接してくれて、居心地がいいですね。

──湘南の生活は満喫できていそうですね。
　家族と離れるときは不安もあったんですが、こっちはこっちでめちゃめちゃ楽しいです。長野に帰る時も逆に神奈川が恋しいぐらい生活は充実しています。

──最後に、開幕に向けてサポーターへメッセージを。
　チーム全員でいい競争ができています。誰一人、試合に出れる保障はないので、僕もまずは試合に出られるように日頃の練習を頑張っています。試合に出たら、全力で90分間戦いたいと思います。応援よろしくお願いします！

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