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ヘッドライン |2022.03.16

選択肢が広がる花粉症治療
適切な治療で重症化させないことが大切

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耳鼻咽喉科 部長 森 牧子 先生
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本鼻科学会会員/日本耳科学会会員/難病指定医/身体障害者福祉法15条指定医/専門研修指導医

 

花粉症患者は増加の一途

花粉症に悩む患者さんは非常に多く、現在10歳の3人に1人、20歳では2人に1人がスギ花粉症と言われています。1960〜1990年代に植林されたスギの花粉生産量が最大に達していることや、地球温暖化、食習慣の変化などが関係しているともいわれており、患者数は増える一方です。自分から症状を訴えることが難しい小さなお子さんの発症も増えていますので、目を頻繁にこする、寝ている時にいびきをかく、鼻づまりでよく眠れていないようだと感じられたら、専門医にご相談ください。

幼いお子さんがお薬を飲み続けることに、不安を覚える親御さんもいらっしゃるでしょう。今は眠気などの副作用が出にくいお薬があり、服用は花粉が飛ぶ期間だけですから、用法容量を守ればご心配には及びません。それよりも、よく眠れない、頭がぼんやりするといった状態が、お子さんの心身に及ぼす影響の方が問題です。きちんと治療することで、重症化のリスクも抑えられます。

花粉症シーズンの過ごし方

 花粉症のシーズンは、できるだけ花粉を体に取り込まないようにしましょう。効果が最も高いのはマスクで、花粉用(隙間が少ない)メガネも有効です。鼻うがいも効果があります。花粉を家の中に持ち込まないことも大切です。洗濯物は部屋干しにする、外出から戻ったら家に入る前に花粉を払うなどして、花粉にさらされる機会を減らします。

お薬は、花粉が飛びはじめる1週間程前から始めていただくのがいいでしょう。飛散開始時期は、天気予報や花粉症情報サイトなどで調べられます。鼻がむずむずする方は、早めに点鼻薬を使って鼻の敏感さを抑えておくといいですね。

飲み薬や点鼻薬を使っても症状が改善しない方には、別の治療法もあります。スギ花粉症の重症・最重症の方には「生物学的製剤」という新しい注射薬がありますし、手術で症状を軽減することもできます。また、症状が出ない「寛解」の状態に持っていくための「舌下免疫療法」という治療もあります。当院は、これら全ての治療に対応しています。

オフシーズンにできること

 鼻の粘膜をレーザーで焼いたり一部を切除したりする手術は、花粉症の症状が出ていない時に行ないます。手術後1カ月程度は鼻に違和感があり、効果が出るのも1カ月ぐらい経ってからなので、症状が落ち着く初夏から11月までが適期となります。

スギ花粉症(およびダニアレルギー性鼻炎)を対象とする舌下免疫療法は、微量のアレルゲンを含んだタブレット錠を舌の下にしばらく含んでから飲み込み、体をアレルゲンに慣れさせていく治療です。3年は続ける必要がありますが、この治療によって8割程度の方で有効性が期待できます。対象は5歳以上で、軽症から最重症まで全ての方が受けられますが、お子さんの場合は決められた方法でお薬を服用できることが前提になります。はじめのうちは親御さんが見守って、副反応の有無などを観察できるよう、夏休みに開始できるといいでしょう。次のシーズンを楽にしのぐためには、遅くとも10月には始めたいところです。

自分の症状を把握しておく

手術や舌下免疫療法は症状が出ないシーズンに行ないますが、治療を受けるにあたっては、症状がどの程度かを知っておかなくてはなりません。アレルギー性鼻炎は、「くしゃみ・鼻水型」なのか「鼻詰まり型」なのかという症状のタイプや、はなをかんだりくしゃみをしたりする頻度によって重症度が明確に定まっています。症状が出ている時に、下欄に掲載した「アレルギー性鼻炎症状の重症度分類」を元に、ご自身の症状のタイプと程度をチェックしておき、その情報を持って受診するとスムーズです。

つらい花粉症の症状をお薬で適切に抑えることももちろん大切ですが、次の花粉シーズンへの備えとして、オフシーズンに行なえることがあるのだと、多くの方に知っていただけたらと思います。花粉症でお悩みの方は、ぜひ専門医にご相談ください。

 

マスクにプラス!
花粉症対策グッズを活用しよう!
鼻と目を両方ケアするのがコツ


●鼻うがい器
鼻うがいはコップでもできますが、写真のようなうがい器があると便利です。洗浄剤は生理用食塩水で十分なので、外出から戻ったらこまめに洗浄しましょう。


●花粉用メガネ
コンタクトや裸眼の人には縁のついたメガネ、メガネをかけている人は隙間を覆うタイプやメガネの上にかけるゴーグルタイプが便利です。目から入った花粉も鼻炎を引き起こす元なので、しっかりガードしましょう。

アレルギー性鼻炎症状の重症度分類

症状と重症度によって適切な治療法が決まります。一番ひどい時の症状を確認し、受診の際に医師に伝えましょう。


※1日の平均発作回数、※※1日の平均鼻かみ回数(日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2020年版)

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