ナチュラルワインって？

何をもって
“ナチュラル”なのか？

最近、よく耳にするようになった
「ナチュラルワイン」という言葉。
しかし、“ナチュラル”とは一体何なのかと
聞かれると、答えに詰まる人も多いのでは
ないでしょうか。
そこで今回は、湘南エリアを代表する
ワインショップのオーナーたちにお話を伺い、
この奥深い世界を探ってみました。
さらに、おすすめの飲食店や
ボトルショップもご紹介します！

自然の恵みを閉じ込めた一杯
ナチュラルワインの魅力に触れてみよう

　ブドウの栽培から醸造まで自然な製法を貫いて作られることで、添加物を使わずに、独特の風味と深みが生まれるナチュラルワイン。その味わいはまさに“自然の恵み”そのもので、飲むたびに新たな驚きと感動をもたらします。しかし、その魅力の裏には、保存や発酵における特有の難しさも存在するのだとか。
　一般的にナチュラルワインは、化学肥料や殺虫剤、除草剤を一切使用せず、病気の防除にも環境や人の健康に配慮した薬剤を厳選し、使用量を最小限に抑えて栽培したブドウから作られます。このブドウは自然と共生しながら栽培され、発酵はブドウに自然に付着した野生酵母によって進行。補糖や補酸、加熱殺菌などの処理を行なわず、亜硫酸塩も無添加またはごく少量しか使用しないため、ワインの個性と風味が際立つのが特徴です。
　「その製法の特性上、ナチュラルワインは温度や光に非常に敏感です。適切な環境で保管されていれば、そのまま熟成を楽しめますが、条件が整わない場合、味わいが変化してしまうこともあります」と語るのは、藤沢で２００７年から「ワイン＆リカーズ ロックス・オフ」を営む若林康史さん。彼はナチュラルワインの真の魅力を引き出すため、専用のセラーで徹底した保管を行ない、ワインが持つ本来の味わいをそのままに提供しています。
　平塚の老舗酒店「亀屋商店」のオーナー、猪俣光司さんは、ナチュラルワインについて「素材の風味を最大限に生かす点で、日本食と共通する部分が多い」と語ります。特に、出汁や発酵食品を用いて繊細な味わいを表現する和食文化との相性は抜群。ナチュラルワインが持つ“うま味”や“ミネラル感”は、日本の食卓にも驚くほどなじむそうです。
　添加物を極力抑え、野生酵母で発酵させるその製法は、「地域の風土や生産者の情熱をボトルに閉じ込めたものであり、その土地の味わいを感じ取れる点が本質です」と、猪俣さんは強調します。しかし、ナチュラルワインは数量限定であることが多く、好みのボトルを見つけるのは難しいケースも。「まずは信頼できるショップを見つけ、スタッフのオススメに耳を傾けてみると、世界が広がっていきますよ」と、初心者へのアドバイスも添えました。
　自然と調和しながら作られるナチュラルワイン。その一杯には、生産者たちの情熱と、その地域ならではの風土が見事に融合しています。それらとのつながりをワインを通じて感じられる点も、大きな魅力のひとつです。若林さんと猪俣さんが厳選した一本を飲んで、その奥深さをぜひ感じてみてください。

本特集のスピンオフイベント！
湘南ジャーナル × ロックス・オフ/月地堂

「ナチュラルワインをはじめよう」開催！

［日　時］11月10日（日）　10:30〜12:30
［場　所］藤沢商工会館ミナパーク
［参加費］3,000円（試飲ワイン３杯付き）
［定　員］40人（事前申し込み制・応募者多数の場合は、抽選）

藤沢ではじまる未来のワイナリー
●月地堂●

自家栽培・自家醸造を目指して
湘南の風土が育むナチュラルワイン

　湘南の豊かな自然の中で育まれるナチュラルワイン、その味わいはどのようなものでしょうか？
　「ワイン&リカーズ ロックス・オフ」のオーナー、若林さんは2021年１月に農業法人「月地堂」を立ち上げ、ブドウの植樹を開始。この藤沢の地で自家栽培・自家醸造（現在は委託醸造）を目指したワイン造りをスタートしました。
　彼が選んだブドウは「プティ・マンサン」。この品種は病気に強く、酸をしっかり保ちながら熟成する特性があり、若林さんは「富士山より南の緯度でのワイン造りの救世主的な品種」と自信を持って語ります。
　しかし、湘南の気候には独自の課題も。「寒暖差が少ない湘南では、赤ワインの製造が難しい」と若林さんは実感しており、その代わりに酸味がしっかりと残る白ワインが、特有の味わいを生み出すそうです。
　2023年には、「プティ・マンサン」をベースに、酸味が強くタンニン豊富な「サペラヴィ」をブレンドしたロゼ色のオレンジワイン「楽しい酒@藤沢2023」が誕生。このワインは2025年６月に180本限定でリリース予定で、現在はセラーで瓶熟成中です。
　若林さんの目標は、将来的に南関東を代表するワイナリーになること。「まずは2026〜2027年の醸造所完成を目指す。生産本数を増やして、多くの方々に気軽に楽しんでもらえるように、２千円台の“デイリーワイン”を作りたい」と、その意気込みを語りました。湘南の地に根付くナチュラルワイン、その味わいがあなたの手元に届く日も、そう遠くないかもしれません。

世界の酒カメヤ 猪俣さんに聞く！
ナチュラルワイン入門

創業から約100年。時代の変遷とともに培われたワインの知識と経験が、湘南エリアに特別なワイン文化を根付かせた……と言っても過言ではない!?　そんな「亀屋商店」のオーナーである猪俣さんに、初心者にオススメのナチュラルワインを４本ピックアップしていただきました！

黄金色のクリーミー泡。
桃シャーベットとスイーツ感覚で

クレマン・ダルザス

￥5,500　750ml　度数:12.5%
産地:フランス／アルザス
生産者:クリスチャン・ビネール

高樹齢のブドウを11カ月発酵・熟成させ、瓶内二次発酵で仕上げた白ワイン。クリーミーな泡立ちが特徴です。ハチミツや金木犀のような香りが広がり、やや辛口のアタックから酸味と果実味がじわりと広がります。桃のシャーベットにかけて食べると贅沢なデザートタイムに。

軽やかでエレガント。
南フランスのナチュラル赤ワイン

エスプリ・リーブル

￥4,800　750ml　度数:13.5%
産地:フランス／コート・デュ・ロー
生産者:ル・クロ・デ・グリヨン

ライトボディの赤ワイン。ほんのりオレンジがかったガーネット色と、白桃の甘さを感じさせる香りが特徴です。軽やかでエレガントな味わいに、どこかオレンジワインを思わせるニュアンスもあります。ペアリングするなら、肉吸いや牛すじ煮込みが合いそう。

飲むたびに広がる香り。
山梨生まれの人気ロゼワイン

K23NT_RZ

￥2,420　750ml　度数:11%
産地:日本／山梨
生産者:共栄堂

山梨県山梨市の共栄堂ワイナリーで造られたこのロゼワインは、ジューシーでアロマティックな香りが特徴。慣行農法で育てたブドウを使い、天然酵母でナチュール仕立てに。気軽に楽しめる軽い仕上がりで、ささみ梅和えなどといった酸味のある料理とマッチします。

玄人好みの濃厚ワインで、
味噌料理と楽しむ至福のひととき

ラ・リジュリー ピノー・ドニス

￥6,600　750ml　度数:12.5%
産地:フランス／ロワール
生産者: ヴィヴィアン･ペルティエ

発酵過程で果皮や種子を果汁に漬け込み、樽で16カ月熟成させたことで濃厚な味わいに仕上がった赤ワイン。チェリーリキュールや胡椒、動物的な香りが漂い、果実味と渋味のバランスが絶妙。ナチュラルワインらしい個性的な味わいは、味噌を使った料理と相性抜群です。

世界の酒カメヤ （株）亀屋商店

［住　　所］平塚市紅谷町18-14
［電　　話］0463-21-0220
［営業時間］9:30〜20:00
［定　　休］なし

［ナチュラルワインと料理］
ちょっと贅沢なペアリングを楽しむ

３種の小麦の風味豊かなピッツァと
厳選ワインに酔いしれる

茅ヶ崎駅北口から徒歩６分の本格ナポリピッツァ店。約800本のボトルが入るワインセラーと国内製の大きなピザ窯が自慢。ワインのインポーターとしての経験を持つ店主が厳選したワインと、３種の小麦を混ぜ合わせ、低温発酵から生まれる風味豊かなピザ生地が絶品。

Pizzeria Ottavo（ピッツェリア オッターヴォ）
［住　　所］茅ヶ崎市十間坂1-4-2
［電　　話］0467-40-4447
［営業時間］12:00〜15:00/L.O.14:00
　　　　　　18:00〜22:00/L.O.21:30
［定　　休］月・木曜・不定休

ナチュラルワインと食が持つ、
無限の可能性を追求

ナチュラルワインと自家農園野菜、地元産ジビエが織りなす、極上のマリアージュが魅力のワインバー＆ボトルショップ。野菜本来の味わいを引き出した季節ごとのメニューは、ナチュラルワインと相性抜群。手作りパテなどのおつまみとボトルをテイクアウトすれば、家飲みがもっと特別な時間に。

binot（ビーノ）
［住　　所］平塚市宮の前6-20 クリオ平塚七番館102
［電　　話］0463-79-8239
［営業時間］16:00〜23:00
［定　　休］水曜

海風感じるワインカフェで、
フレンチ＆イタリアンを堪能

大磯駅から徒歩７分。海沿いの絶好のロケーションに位置するカフェ・レストラン。パリやブルゴーニュ地方の星付きレストランで経験を積んだシェフが手掛ける、フレンチやイタリアンをベースにした料理や絶妙な焼き加減で提供されるロースト肉は絶品。ワインのセレクトもセンスが光る。

ワインカフェ水
［住　　所］中郡大磯町大磯1713-90
　　　　　　ロイヤルテラス201
［電　　話］070-2377-0303
［営業時間］12:00〜15:00/L.O.14:00
　　　　　　16:00〜20:00/L.O.19:00
［定　　休］日曜

”混醸ワイン×創作イタリアン“の
　至福ペアリング！

店名のとおり、複数のブドウ品種をタンク内で同時に発酵させる「混醸ワイン」をプッシュ！　単一品種にはない奥深い味わいにマッチする、イタリアンをベースとした創作意欲にあふれる料理を提供。サクサクのフリットにクミン香るフムスを乗せて口に運べば、ワインが進むこと間違いなし！

ナチュラルワイン 混醸

［住　　所］藤沢市鵠沼石上1-3-10
　　　　　　添田土地藤沢ビル1F
［電　　話］0466-47-4842
［営業時間］15:00〜24:00/L.O.22:30
［定　　休］水曜・不定休

鎌倉野菜とナチュラルワインの
絶品マリアージュ

ヴィーガン料理とナチュラルワインを豊富に取りそろえたワインバー。“野菜のみでもワインを楽しめる”をコンセプトに、無農薬野菜の仕入れは主に「鎌倉市農協連即売所」で。自家製リコッタチーズや赤ワインソルトを生かしたマリネと厳選ワインのマリアージュは、ここでしか味わえない至福。

野菜と自然派ワイン食堂 harukucchii

［住　　所］藤沢市鵠沼花沢町3-22
［電　　話］0466-90-4554
［営業時間］火・金 17:30〜23:00
　　　　　　水・木・土 11:30〜14:00／
　　　　　　　　　　　 17:30〜23:00
［定　　休］日・月曜

スパイスを引き立てる
ワインの新世界を発見

辻堂駅西口から徒歩約５分に位置する隠れ家バー。店名の“Kaplja”はスロヴェニア語で“雫”を意味し、マスターが愛するワインの銘柄が由来。アンティーク調の店内で、ウイスキーやカクテルなども楽しめる。オープン直後から提供を続ける熟練スパイスカレーの豊かな味わいをワインがグッと引き立てる。

wine & bar Kaplja
［住　　所］茅ヶ崎市浜竹2-2-51
［電　　話］0467-57-0019
［営業時間］月・火・水・土 17:00〜24:00
　　　　　　金 17:00〜26:00／日 11:30〜15:00
［定　　休］木曜・不定休

詳しくなくても大丈夫！
自分にあったワインが見つかるかも
厳選！ ナチュラルワインを
取り扱っているお店

希少ブドウから生まれる、
こだわりのオレンジワイン

ブランク・ヴィ・ナチュラル・ブリサット

￥3,960　750ml　度数:12.5%
産地:スペイン／カタルーニャ
生産者:ヴィンズ・ペッチーナ

カタルーニャの地場品種「チャレッロ・ヴェルメル」使用し、亜硫酸塩を添加していないオレンジワイン。淡いサーモン色とライチやグレープフルーツのようなジューシーなアロマが特徴で、長期の瓶内熟成によるトーストの香りがあり、和の食卓にもすんなりとなじむ。

［住　　所］中郡大磯町高麗1-3-23
［電　　話］0463-68-6210
［営業時間］木・金 13:00〜19:00／土・日 11:00〜18:00
［定　　休］月・火・水曜

クリーミーな泡が楽しい、サーモンピンクのスッキリ微発泡

ペットナット・ロピット

￥5,280　750ml　度数:11%
産地:フランス／ルーション
生産者:トゥティ・フルッティ・アナナス

オレンジがかったサーモンピンクが美しい微発泡ロゼ。マンダリンやカリンなどを思わせるフルーティーなアロマに、キリッとした酸味が特徴。秋の味覚と合わせるならサンマがおすすめ。ワインの柑橘香が塩焼きのおいしさをグッと引き立ててくれる。

［住　　所］茅ヶ崎市常盤町6-44
［電　　話］0467-59-4193
［営業時間］10:00〜21:00
［定　　休］なし

自然派の極み、亜硫酸塩ゼロの微発泡ワイン

ルナーリア・ペコリーノ・アンセストラル・ブリュット

￥2,398　750ml　度数:12.5%
産地:イタリア／アブルッツォ
生産者:カンティーナ・オルソーニャ

原料はブドウのみ。発酵中に発生する亜硫酸塩すらも検出されない、完全ナチュラルな濁り微発泡ワイン。レモンやスパイス、ドライフラワーを彷彿させる香りが広がり、魚介類や塩味ベースの料理と絶妙にマッチする。まさに自然のままの味わい！

［住　　所］藤沢市鵠沼石上2-11-16
［電　　話］0466-24-0745
［営業時間］12:00〜19:00
［定　　休］月曜（10/6～9臨休）
※秋はワイン造り等で臨時休業や開店時間変更あり
　来店時はホームページをご確認ください