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ヘッドライン |2012.07.20

受け継がれる平和へのメッセージ演劇集団群生プロデュース平和公演2012 

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 昭和20年7月16日、太平洋戦争末期の平塚市に降った鉄の雨は、わずか一夜の間に市域の半分以上を焼き尽くし、300人前後の市民の命を奪った(調査により異なる)。それから一月も経たないうちに、日本は敗戦国として混沌とした戦後の時代を迎える。激動の昭和時代を経て平成の日本は先進国といわれるまでに発展した。終戦後、何もかも失った焼け野原の中、ただ一つ失わなかった明日への希望。未来への想い、人としての幸せとは。演劇を通して問いかけ続ける人々がいる。
 演劇集団群生は平塚市を中心に活動する劇団で、平塚で毎年平和公演を行っている。今年の演目は「てのひらの幸せ」。戦後5年に開催された、今の七夕まつりの原点である「復興まつり」などをベースに、まだ国全体が貧しかった時代に幼少期を過ごした女性の心の葛藤や、逞しく生きる人々の姿を描く。
この芝居を手がけるのは同劇団の妹尾江身子さん。役者でありながら今回は作・演出も自ら行う。その根底にある想いは空襲・戦争が風化してしまうことへの危惧。過去の体験を次の世代へつなげていくことを、演劇を通して実践している。
子どもたち
登場人物の幼少期を描くにあたり妹尾さんは自身が勤める学童保育所の子どもたちに白羽の矢を立てた。宮田 葵さん(10)、川本 愛さん(11)、西口 拓実君(10)、池谷 柊君(10)ら4人が本作には出演する。最初は朗読劇で演劇の世界の門戸を叩いた彼ら。全員が学校の勉強やクラブ活動以上に芝居が楽しいと即答。演劇に対する熱意や想いは大人顔負けだ。舞台の上ではドキッとするような表情を見せる一方で、普段は至って普通の小学生。「せのちゃん(妹尾さん)に褒められると嬉しい」と子どもらしい純粋さも垣間見せる。妹尾さんは「普段は学童で小さい子の面倒をみてくれる、本当に明るくていい子たち」と笑顔。一方で「芝居に関しては巡り会えて幸せ。大人は芝居をしてしまう。子どもたちは生きた人間の生々しさがある。芝居を通して人間としても成長している」と話す。
戦争を知らない世代
当然ながら彼らはいわゆる「戦争を知らない世代」だ。むしろこの芝居に携わる人々全員が、直接戦争を体験している訳ではない。何かを伝える時に体験はそれだけでリアリティを生む。だが体験していないことだからといって、伝えられない訳でも演じることに臆する訳でもない。出演者の一人、佐々木悠佳さんは「芝居で何かを伝える時、ともすれば責任が伴う。演じることをおこがましいと感じることもある。だけど、ただ演じることに、それだけで意味があるのではないか」と言う。戦後間もない時代を生き抜いた人々の姿を、ただ演じる。知らないからこそ、ただ真っ直ぐに、正直に、純粋な想いを乗せる。そこから舞台上と受け手側の間に生じる「何か」が、リアルへと昇華する。
もちろん、演劇はリアリティだけを追求するものではない。だが戦争を知らない世代は、何を想い、何を表現するのか。平和を希求する彼らの演技の中に垣間見えるモノが、そこに生じる次世代へのリアルが、あの日の雨のように心に降り注ぐ。
▽日時 8月5日 昼の部14時、夜の部17時
▽会場 平塚市勤労会館3階大会議室
▽入場料 無料
▽問い合わせ 平塚市勤労会☎32‐3355

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