カテゴリーから選ぶ
カテゴリーから選ぶ
ヘッドライン |2012.06.01

市民を主役に就任から1年2カ月、落合市長に聞く

タグ

 平塚市役所3階市長室。今年2月14日、ここに全部局20人の部長が招集される。そこで市長は全部長に対し、伝えた。「管理職手当を下げる」。対象職員数、298人。一律10%の削減(平成24年4月1日から1年間)で効果額は2995万9千円。「なんとか頑張って、みんなで一丸となって困難な局面を乗り越えるため、理解をしてほしい」。異論は出なかった。翌々日に記者発表、3月議会で提案は可決された。自身の給与半減に続き、その後の副市長や教育長らの給与削減、管理職手当の削減。歴代市長では実現に至らなかった改革を着々と、静かに推し進める落合克宏平塚市長。本紙では昨年4月の就任から1年2カ月が経過した落合市長へインタビューを行った。これまでの1年とこれからの展望。―就任から1年以上経ちましたが、現時点までの総括をお聞かせください。
1年を振り返り
「やはり選挙前に起きた3・11、東日本大震災が行政、まちづくりのあり方を考える上での大きな要因となっていると思います。どの自治体でもそうだと思いますが、市民の方たちの命と財産を守るということを改めて認識し、課題として捉え、どういう施策を打っていったらいいか、というのが中心となりました。平塚は海に面しているということもあり、津波対策を中心とした防災対策を特に力を入れてやってきたというのが現実です」
節目
「しかしそういう中でも、できるだけ色々な各分野の方に会い、様々なご意見をいただきながら防災対策以外の分野も進めてきました。七夕まつりを中止するという意見もありましたが、七夕は『平塚の顔』ですから、縮小してでも、そして主体を民間に移しながら開催できたことは良かったと思います。また『節目』も色々ありました。競輪グランプリや、市制80周年など、たまたまの巡り合わせですけれども、市長として取り組めたのはありがたく思います。この1年を振り返ると、無我夢中で突っ走ってきた、というのが実感です。『市民の力、地域の力』を強く伸ばしていくのが私の仕事と考えています。1年、本当にあっという間でした」
―「落合カラー」としてこの1年、防災対策以外で力を入れてきたことを教えてください。
産業活性へ
「この平塚を次の世代へ持続可能なまちにしていくには、産業の活性化は欠くことのできない施策ですので産業関係に力入れをしよう、と動きました。例えば企業や農業、漁業など産業への訪問を通じた実力ある企業のPRですとか、全国に誇れる産物のPRに努めています。平成24年度の予算にも力を入れました(新規事業/産業間連携促進事業=169万5千円、起業家支援事業24万円。拡充事業/中小企業金融支援事業=10億3781万2千円、企業立地等促進事業=3695万3千円など)。産業は教育と似ていると思います。土台から具体的に進めないとなかなか伸びないものです。平塚は先達が築いた実力のあるまちです。今までのものを持続させながら、より発展させるため、行政として支援していかなければ、と思っています」
ゴミ処理広域化、 小児医療費拡大
「広域行政という点では、ゴミ処理の広域化の基本協定を結びました(今年3月、平塚市・大磯町・二宮町で締結。施設の集約化による費用の削減や環境負荷の低減を図るための基本協定)。今後大きな枠の中で有効的な行政を進め、環境に配慮したまちづくりを、これから各自治体が考えていく必要があります。またゴミの減量化、資源化にも取り組んでいきます。さらに子育て・福祉に関しては、これまで『小学3年生まで無料』としていた小児医療費を、6年生までに対象を引き上げました(小児医療費助成事業=8億3192万円)。今後も子育て支援に関し、施設の充実を図っていきます(民間保育所施設整備支援事業=1億8884万9千円)。
地域自治へ
「地域自治の推進に向けて、市民主体で地域課題の解決ができるような仕組みづくりも具体的に進めています。平塚はそれぞれの地域で歴史や文化、素晴らしい人材など、貴重な資源が沢山あるんですね。市民の方たちが主役となり、自分たちの地域の課題を捉え、問題解決していける仕組みづくり。それぞれの地域が輝けば、『集合体としての平塚』が輝く、とずっと思っていました。そして、全国でもトップレベルのきめ細かさで設置されている平塚の公民館をその拠点にしたい。また町内には福祉村(概ね小学校区単位、市内23地区に順次設置予定)もあります。公民館、福祉村をそれぞれの地域づくりの地域の拠り所として展開していってもらえるような仕組みづくりをしていきます」
「効果としては来年、再来年でなければ出てこないかもしれませんが、特徴としては以上のような点を強めました。もちろん3大ハード事業(新庁舎建設、次期環境事業センター整備、市民病院整備)も着実に進めております」
―これまでの市長では実現されなかった「削減」ができた理由は。
「3・11があり防災に関しては緊急にやらなきゃいけないと。ただしお金が必要なので思い切って市長給与を半減して防災に使わせてもらいたいと昨年9月の議会に提案し承認をいただいた」(市長給与の50%分は、津波避難ビル対策470万、防災行政無線整備に520万、避難ビルのステッカー等に充当)
市民への説明
「私は、職員は一生懸命やってくれていると思っています。ですから働くからには待遇は確保してあげたいのだけれども、市民の皆さんに市役所の姿勢を理解してもらうことが必要と考えました。5年前に比べて職員数が80人以上減り、一人 当たり給与費を70万円以上削減するなど厳 しい状況の中で、生活者である職員には辛い思いをさせてしまうが、なんとか頼むよ、というのが私のお願いでした。『みんなで一緒になって市民の方たちの為に働こうよ、頑張ろうよ』という気持ちを理解してもらったのかな、と思っています」
現場の声は(個別取材)
「厳しい景気動向ですので、当然の取り組みだと思います。我々も姿勢を示さないと、市民の皆さんの理解も得られません。待遇は厳しくなりますが、不安定な時代では至極当たり前のことと考えています」(財政課 石田課長)
―期間終了後、継続の可能性は。
「またその時点で、財政状況等を見て判断していきます。ただ市長給与については、50%を戻して丸々頂こうなどとは考えておりません。何らかの形でカットして財政的な寄与をしたいと思っています」
―公用車の運転手が民間委託に完全移行したとのことですが。
「公用車運転手は、多い時には10人以上いました。自分に近いところから民営化を図りたいという思いから、退職後の人員補充をせず、民間委託に移行する中で今年、全員が民間委託となり、経費も削減されました」(約850万円・市職員3人だった平成21年度推計額と委託業者3人になった平成24年度の予算額を比較した場合の削減額)
―外郭3団体のトップに市長が推薦した民間人が就任されたとのことですが、期待することを。
※平塚市社会福祉協議会(金田和子会長・平成24年3月就任)
※平塚市生きがい事業団(成瀬正夫理事長・平成24年4月就任)
※平塚市文化スポーツまちづくり振興財団(伊藤 裕理事長・平成24年4月就任)
「これまでの慣例として退職した副市長が就任してきました。ただ、今まで方の功績を否定するわけではなく、重責を果たしていただいたことに感謝申し上げます。一方で、外郭団体は外郭団体として力を持って動いていただきたい。自主性、独立性を尊重したいと思いましたので、思い切って民間の方を推薦しました。民間でご活躍された見識、視点で組織を、より一層ステップアップさせてほしいと願っています」
―その他、経費削減に関し取り組まれたことは。
「昨年は節電などの電力制限、残業手当を抑さえる出勤時間の工夫など。現在も経費削減への取り組みを進めています。一方で、削減だけでなく確保も必要です。おかげさまで競技場のネーミングライツでは、3年間で6000万円、その他バナー広告でも収入を得ています。またパークゴルフ場も使用料を改定し、昨年4月が約2600人の利用だったのですが、今年4月は約4100人に使っていただき、単価を減らしたにもかかわらず、収入金額も増加しました」
―今後の経費削減に関しての考えをお聞かせください。
職員手当
「管理職手当、住居手当は削減しました。地域手当を一気に落とすことはなかなか難しいかもしれませんが、十分な説明をしながら着手していきたい。ただし、締めるだけはなく、頑張ったら評価されるシステム作りを進めていきます」
事業絞り込み
「経費削減にも取り組みますが、事業を絞り込むことも必要です。市債を増やしてでもやらなきゃいけないのか、それとも市民の皆さんに説明をして、我慢していただかなければいけないのか、そんな場面も出てくると思います。今年夏には構想日本と、公募による市民を交えた、いわゆる『事業仕分け』を実施します」
「施策にはメリハリが必要です。削るだけではなく、付けなければいけない所は付ける。バランス良く。ですから今回医療費など思い切って上げさせていただきました。特に子育てに関しては、この先5年後10年後、より魅力ある平塚にするための投資だと考えています」
―今後、出していきたい「落合カラー」は。
「平塚は可能性を持っているまち。産業もバランスよく発達しています。今後、圏央道や新東名が通り、134号線が4車線化するなど、人の動き、物の動きが高まってきます。企業立地に関しても、その点を考えるとポテンシャルが高まるのでは、と思います。できれば、今のこういった時期を逃さずに湘南新道の延伸や、ツインシティのまちづくりですとか、西部地区の道路整備とか、将来に向け、まちの広がりをはかる動きをここでしていかなくてはならないのかなと思います。産業の活性化を着実に行い、そして、高齢者や障がいをお持ちの方に優しいまち、子どもを住ませて育てたい、生きていきたいまちづくりを進めていきます」
―最後に、市民の皆さんへメッセージをお願いします。
「今年来年で全27地区を回る『ほっとミーティング(対話集会)』では、皆さんのお話を聞いています。皆さんそれぞれ、地域に愛着を持ち、素晴らしい活動をしていられるんですね。私は、市民の方が主役の地域づくり、まちづくりが進んでいくことがこの平塚を発展させるより良い方法ではないかな、と考えています。行政としての仕事はしっかりと責任は果たしますが、そういった市民の方たちが活動でき、市民の方たちが主人公、主役になって、伸ばせるまちづくり、というものをしっかりと支援していきたいと思います」

タグ
facebookシェア twitterシェア lineで送る
オンラインマガジン

湘南ローカル情報を日々更新中!

いますぐ使える 最新クーポン

色々な所で使えるお得なクーポンを発行中!

その他のクーポンをもっと見る
湘南ジャーナルDB 湘南のお店情報をまとめて掲載!
湘南ジャーナル まちナビ 最新情報

湘南のお店情報をまとめて掲載!

スタッフブログ

編集部情報を毎週更新でお届けします。

運営からのお知らせ

PAGE TOP