カテゴリーから選ぶ
カテゴリーから選ぶ
ヘッドライン |2013.01.11

ベルマーレと共に〜あれから20年、この先20年〜

タグ


1993年、Jリーグへの加盟が決まり、このまちに生まれた「ベルマーレ」。今年で創立20周年を迎えるにあたり、湘南ベルマーレとSCN(湘南ケーブルネットワーク)、湘南ジャーナルでは、3者協力による合同企画として、紙面・番組連動の20周年記念座談会「ベルマーレと共に~あれから20年、この先20年~」を企画いたしました。パネリストには、ホームタウン7市3町(厚木/伊勢原/小田原/茅ヶ崎/秦野/平塚/藤沢/大磯/寒川/二宮)から行政代表として平塚市の落合克宏市長(55)に、地域経済界代表として平塚商工会議所の福澤正人会頭(70)に、サポーター代表としてサポーター団体「EL FRENTE SHONAN」の大久保祐三代表(39)に、クラブからは眞壁 潔代表取締役(50)にご協力いただき、行政、地域経済、サポーター、クラブ、それぞれの立場それぞれの視点からベルマーレのこれまでの20年を振り返り、この先20年のあり方を考えていただきました。

―まず始めに、ご自身のベルマーレとの関わりについて、
これまでのクラブの歴史の中で最も印象深い出来事や思い出などをお聞かせください。

落合市長 第74回天皇杯(1994-1995)で見事に優勝したことです。当時私は市の職員だったのですが、市役所全体、それから市民の皆様、街全体がとても活気づきました。我々もとても嬉しかった、という思いが残っています。
福澤会頭 昇格して1試合目の前日、記者の人から「明日の応援には何を持っていくのか」という質問を受けました。何も持っていなかったのでその夜、ミシンで旗を9枚縫い合わせ、大旗を作ったということを今でも鮮明に覚えています。ただその9枚の真ん中の旗だけ逆さまに縫ってしまっていて、後で皆さんに笑われた、ということも覚えています。

大久保代表
 僕の中では1998年のシーズンが印象深いです。中田英寿がブレイクして、フランスワールドカップがあった年。シーズン前から優勝候補とされ、序盤から優勝を争える位置で戦っていましたが、ワールドカップが終わり、日本中が「中田が移籍する」という空気に。実際に移籍してしまったんですが、そこから8連敗、一気に順位が下がってしまった。何とか建て直しましたが、今度は11月、某新聞の1面に、「ベルマーレ存続、危うい」と掲載され、ここから一転、存続問題というのが出てきて、99年の存続危機(メインスポンサーのフジタが撤退)へと流れていった。そういう意味で、98年は非常に印象深い1年です。
眞壁代表取締役 私の場合、一般的には、昇格を決めた水戸戦(2009年最終節)、町田戦(2012年最終節)と思われがちですが、一番の思い出というか、感動したのは去年の開幕、京都戦。ロスタイムに菊池が点を取った試合です。    今、皆様がお話されたように平塚時代の輝かしい成績から一転、存続危機になり、皆様のお力で再生しました。その歴史の中でベルマーレは、大きな2つの約束をしていて、1つが「J1復帰」、もう1つが「地域に愛されるクラブになる」というもので、その裏には、「地域の子をJリーガーに育てる」と。あの試合、スタメン11人のうち5人が育成から育った選手でした。最後の点を決めた菊池も、ユースで引き抜かれた選手です。
1つ目の約束は水戸戦(2009年)で果たせましたが、2つ目の約束は中々難しいなと、実は思っていました。その点で、あの試合で昇格を決めた訳ではないですが、皆様の支えで13年かけて、そういうチームになれたと。その瞬間だったと思います。
―2013年、「J1昇格」により予想されるメリット・地域効果は?
また、それぞれの立場から、準備すべきことや体制づくりなどがあれば教えてください。

落合市長 まず一番大きいのが、まちのイメージアップに繋がるということ。2つ目はやはり、アウェーのサポーターの方たちが平塚に来ていただけますので、まちの活性化、経済効果が図れるという点。3つ目は、子どもたちに夢を与えてくれる大きな存在になるであろう、ということ。子どもたちは、育っていくのに夢が必要です。J1の選手たちを目の前に、また、ふれあいを深めることで、ベルマーレの、Jリーグの選手になりたい、とますます夢が膨らむのではないかと。とても期待をするところです。
 市は、年間を通してベルマーレに援助させていただいておりますが、これからまた、Jリーグライセンスの中で、競技場含め、施設改善の話が出てくると思います。しっかりとそういった課題に対しても、対処していかなければならいと思っています。
福澤会頭 当然、平塚という名前もメディアから取り上げられる訳で、平塚市全体に対する無形の経済効果はある、と感じています。それとやはり「自分のまちにJ1のチームがある」という、誇りを持てるということは非常に、強い。以前は全国にベルマーレのファンがいましたが、今はチームも増え、全国的なファンは減少した。ですから、今こそ7市3町で「地元の、我々のチーム」という認識をもっと創る必要がある。県内では、政令指定都市にはJリーグのチームがありますが、政令市以外にはベルマーレのみ。そういう意味でも7市3町の人たちの応援をいただき、できるだけ平塚に来てもらえるような策を眞壁さんにとっていただきたい。そしてまちの経済効果が出るようなものも一緒に考えながら、1年間活動していきたいと思っております。
大久保代表 2010年、久々にJ1に上がったとき、僕も久々にJ1のチームと対戦して、結構色々なチームから、以前対戦したときとは違う空気、違う雰囲気を感じました。「あのチームのサポーターはあんなに少なかったのに、この10年でなんでこんなに増えたんだ」とか。ジャックされたという言い方は変ですが、そういう雰囲気を作られたこともあり、すごく悔しい思いもした。ですからまずは、どこが来ても「ここは絶対にベルマーレのホームスタジアムだ」という雰囲気を作る。その準備はもっと必要。相手サポーターが沢山来るのはもちろんメリットがあることとは思いますが、相手に頼らず、ベルマーレサポーターでスタジアムが埋まるぐらいになりたい。そういうきっかけになる1年、シーズンになってほしいなと、心から思っています。
眞壁代表取締役 我々の選手の馬場や猪狩、鎌田などは、小学生の頃に、ロペスや中田英寿を観て、サッカーを始め、ここまで来た訳です。そう考えると今シーズン、中村俊輔とか、中村憲剛らと戦ううちの選手たちを観て、「僕たちも頑張ろう、頑張ればJリーガーになれるんだ」という子が沢山できると思う。それによって地域の子どもたちを、一生懸命育成していく。そしてまた我々の夢が広がっていく。そういう意味で言うと、やはり地域の子どもたちの為に、どれだけ選手たちが頑張れるか、ということ。最近はJ1のオファーがあるのにベルマーレに入団する選手もいる。それは、「湘南は若い選手の育成に長けている」という評価が、業界内でもされているということです。もっともっと、そういった所にも力を入れていきたいと思っております。
―地域に愛されるクラブとして、20年後の理想的な在り方は?
落合市長 全国どこから見ても「元気で健康、それはベルマーレがあるから」というまちへ、一緒にまちづくりを進めていける関係ができていたらありがたい。今も小学生に教えてもらっていますが、高齢化が進みますので、介護予防ですとか、色々なベルマーレのノウハウをまちづくりに役立てていただけるような、そういうカタチができればいいなと思っています。既に地域貢献をしていただいておりますが、それをますます広げて、地域に根ざした、なくてはならないベルマーレになってもらいたいな、と思います。先ほども申し上げましたが、地元の子どもたちの「夢」ですからね。子どもたちに夢を与えてもらえる存在になってもらいたないと、思っております。
福澤会頭 経済的には、ベルマーレに元気になってもらって、まちも、他の都市に比べて元気になってもらいたい。まちのひとつの話題であり、宝物ですからね。それから、ワールドカップに出場するような選手がまた生まれてほしい。フランス大会のようにベルマーレから選手が出て、活躍していれば、我々もそこに観に行きたいという気持ちも出てきます。そして強いチームであっていただきたい。現在はJ1、J2、JFLがあって、下手すると町田みたいにJ2からJFLへ落ちてしまいます。長い間J1で活躍して、選手が育って、地元のサッカー少年たちが「将来はベルマーレで試合をするんだ」というようなチームに今後も育っていただきたいと思っています。
大久保代表 20年後、20年前の「今」をみんなが語れるチームになってほしいなと思っています。今、20年前の話をしても、話せる方というのはそんなに多くない現実があって。まあ途中からサポーターになってくださった方も多いんですが、途中でいなくなってしまったサポーターっていうのも多いんですよね。そういう増減が安定して20年後も、「20年前の町田で昇格決めた試合、すごかったよな」って誰もが話せるようなクラブになってほしいなって思いますし、あとは「メイドインベルマーレ」で、福澤さんもおっしゃっていましたけど日の丸背負ってワールドカップの舞台に立って、世界に羽ばたく選手が出てきてほしい、というのは本当に強く思いますね。
眞壁代表取締役 ベルマーレというのは40チームの中でも非常に特異な歴史を持ったクラブです。消滅危機を乗り越えた後、親会社なく、2回J1に昇格した。今でこそ親会社のないクラブは増えましたが、やはり中々J2から抜け出せない。その中で言うと、我々が「市民クラブ」と最初に言われ、今までやってきたその過程というのは相当難しいこと。これは日本のスポーツの歴史の中で、20年経ち、「先行して、地域でスポーツチームを支えるという成功例を作ったのはベルマーレ」と言われる時代が来ると思う。
 Jリーグの理念でもある「ヨーロッパ型のスポーツクラブ」。地域がクラブを支え、クラブが地域の元気を担う。そういうクラブになっていきたい。そのためには落合市長と色々お話しさせていただき、お互いギブアンドテイクで生きていく道を見つける。そういったことも7市3町の中で広く皆様とお付き合いをさせていただきたい。
ワールドカップには我々も送りたい。ただ、覚えておいてほしいのは、U-19日本代表のキャプテンは遠藤 航でした。その2年前は菊池大介でした。日本に40クラブあり、2回続けてうちの選手が日本代表のキャプテンを務めている。この世代は時代がずれると、オリンピック代表世代になる。つまり一歩手前に来ている。だから彼らがずっとベルマーレで活躍できて、ずっといようと思えるようなクラブにしなきゃいけない。そういう面でも皆様と一緒に、彼らが夢を見られるクラブにしていきたいと思っています。是非よろしくお願いします。
―最後に、それぞれ2013シーズンへの期待と、応援の誓いをお願いします。
落合市長 前のシーズンは本当にアグレッシブに戦っておりました。これを貫けば、J1でも旋風を吹き起こすことができると思います。昨シーズン、曺監督に「1年通して駆ける体力つけてくださいね」なんて生意気なこと言ったんですが、本当にその通りに動き回ってくれました。今年も是非恐れずに、J1で思い切って戦ってほしい。もちろん平塚の、湘南の宝ですから、我々はしっかりと応援させていただきます。是非頑張っていただきたいと思います。
福澤会頭 ここ1、2年、J1に上がったチームというのは、J1で割と活躍しているんですね。鳥栖にしても上位ですし。そういう意味ではJ1でも活躍できるんじゃないか、と思っています。昔は「湘南の暴れん坊」と言われてですね。各チームの強い所を食って、生き残ってきたチームですから、今年もですね、是非そういう「湘南の暴れん坊」と言われるような存在になっていただいて、戦って、まちに、市民にですね、嬉しさを届けてほしいと思います。
大久保代表 2010年、苦しすぎて、何がなんだか分からないまま降格してしまったという現実がありました。まずは定着する為に残留すること。そういう下の目標を先に掲げてしまうのが良くないのは分かっているのですが、やっぱりこの前の経験から行くと、まずそこ、と思いますし、その為に、もっと応援してあげなきゃいけないな、っていう気持ちが今はすごい強いです。なので、みんなで応援したいと思っています。皆様の力を貸してほしいと思っています。
眞壁代表取締役 皆様の期待はひしひしと感じまして、何とか応えなきゃいけないと、思っております。2010年は怪我人続出で、何しろ昇格争いをしたスタメンで1試合もできずに終わった。今年は若い、伸び盛りの子たちですから、怪我が出ないよう我々もコントロールしていかなければいけないと思っています。  また、27日には20周年記念試合を行います。中田英寿も来ます。OB現役混合の試合もあり、中田のパスを高山が受けてゴールとか、「この20年間の歴史」を若い選手にも知ってもらいたい。来場者にはマフラーをプレゼントします。これは「平塚」と「湘南」のダブルエンブレムで、今のオフィシャルグッズではなかなかOKにならない。多分ここでしかできない商品です。
司会:SCN村上アナ このマフラーがレアグッズとなり、また20年後にこういった機会を設けるとき、「20年前、この試合にいったんだよ」と語ってくれる方がいらっしゃるかもしれませんね。今日は、ベルマーレの20周年記念ということで、今まで、そしてこれからについてお話しいただきました。どうもありがとうございました。
 
プロフィール

落合克宏さん(55)【写真=左から3人目】
平塚市長 地域の宝「湘南ベルマーレ」をJリーグ加盟前(1992年)から支援してきた平塚市の市長。J1の舞台で再び「湘南のつむじ風」が巻き起こることを期待している。
福澤正人さん(70)【写真=右から3人目】
平塚商工会議所会頭 平塚にベルマーレが誕生した1993年より、市民応援団の団長として全国各地を飛び回り、現在も平塚商工会議所会頭や湘南ベルマーレの持株会の代表として支援し続けている。
大久保祐三さん(39)【写真=右から2人目】
EL FRENTE SHONAN代表 1994年から現在に至るまでゴール裏で拡声器片手に応援活動中。 勝利のダンス考案者。
眞壁 潔さん(50)【写真=右から1人目】
株式会社湘南ベルマーレ代表取締役 1999年にYEGの一員としてベルマーレの存続危機を救い湘南への移行を手がけた。2004年に代表取締役に就任し地域に根差したオンリーワン のクラブづくりのため日々チャレンジを続けている。
 

タグ
facebookシェア twitterシェア lineで送る
オンラインマガジン

湘南ローカル情報を日々更新中!

いますぐ使える 最新クーポン

色々な所で使えるお得なクーポンを発行中!

その他のクーポンをもっと見る
湘南ジャーナルDB 湘南のお店情報をまとめて掲載!
湘南ジャーナル まちナビ 最新情報

湘南のお店情報をまとめて掲載!

スタッフブログ

編集部情報を毎週更新でお届けします。

運営からのお知らせ

PAGE TOP