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ヘッドライン |2013.03.16

時を超え、心を繋ぐ校歌額が紡ぐ絆 神明中学校

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 時代を超えて人々の心に刻まれる歌がある。有名な歌手が歌った流行の歌ではない。ミリオンセラーでもなく、権威ある賞を受けたわけでもない。体育館の壁面にかかる「あの歌」は、一人一人違うが今も鮮やかに心に刻まれ、口ずさめばあの頃のままにメロディが紡ぎだされる。それぞれの青春の想い出と共に。

今年、創立35周年を迎えた平塚市立神明中学校。同校の体育館、舞台右側の壁には他の学校にあるように、校歌の詩が刻まれた校歌額がある。高さ2.3m×幅4.25m、456枚の銅板からなるこの額は、昭和57年、当時の卒業生が卒業記念に制作したもの。設置以来、同校とその生徒達とともに30年の時を過ごしてきた。
しかし、変わらず在り続けると思われたこの額は、今年度行われた体育館の耐震工事の際にその扱いが問題となった。損傷が激しく、新体育館への移設が難しい。専門業者が補修や取り外し、再設置の見積もりを取ったところ、その金額は85万円。ただでさえ体育館を工事中の学校にそんな大金はなかった。大高幸二校長は同校の同窓会会長・柴田邦雄さんに相談。2年前まで活動が止まっていた同会には、今まで積み立てられ、本来なら同校30周年の際に使おうとしていたお金が残っていた。想い出の校歌額をこのまま破棄させない。役員全員の賛成を得て、費用の負担を決めた。
8日、同校35回目の卒業式、校歌額は再びその姿を公の場に現した。来賓として列席した人々の中には多くの卒業生の姿。当時、額を制作した第4回卒業生、山本信也PTA会長は「校歌額を作った自分が今、PTA会長。運命を感じますよ」と笑う。彼の娘は現在、同校の2年生。父が作った校歌額を見て、学校生活を送る。市議会議員佐藤貴子さんの父は、校歌額を発案し、その設置に尽力した当時のPTA会長・佐藤 宏さん。「父は『愛おしい』とよく言っていた。感無量です」と額の姿に亡き父を偲ぶ。大高校長は「学校の象徴である校歌。それが刻まれた校歌額もまた、シンボルでしょう。卒業生が作った伝統を見てほしい」と7291人の卒業生を送り出してきた学舎の気持ちを代弁した。
来賓が集まった中「校歌って絆だよね」と誰かが一言。刹那の後、「覚えてるもんだよね、歌を」「あの時誰々先生がさ…」「そうだっけ?」「そうそう!」堰を切ったように想い出話に花が咲く。新しく生まれ変わった場所、変わりゆく日々の中、変わらない校歌額が、静かにそこに佇む。

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