前線からボールを追い掛け、素早い攻守の切り替えでゴールを奪う。今年を象徴するようなゴールで山形、岡山を下し、3連勝。躍動する湘南ベルマーレが帰ってきた。勝利から遠ざかっていた間、自信を失うこともあっただろうが、相手チームに対策されても、次のステージへのステップとして、自らのスタイルを崩さずに貫いたがゆえの成長が着実に見られる。
この2試合でビックセーブを連発したGK阿部伸行だが、実はこの3連勝を遂げる前、6月頭の北九州戦で自らのミスで失点しており、敗戦を喫していた。雪辱に燃えていた彼の「次やらなきゃいけない」という思いは、山形戦でのPKストップ、終了間際のビッグセーブに繋がる。そして、岡山戦でも決定機をしっかり抑え、流れを呼び込んだ。試合後の挨拶で深々とお辞儀をする彼の表情は、いつもの謙虚さと守護神としての自信に満ち溢れていた。
また、岡山戦ではチームとしての新たな成長も見られた。湘南の弱点と言われる両サイドハーフの裏を相手FWに突かれる場面に対しても、ポジショニングを修正することで対応。坂本が「ピッチの中でそうした修正が素早くできたことが今日の勝因」と語るように、練習してきた戦術や与えられたスカウティング情報と、実際ピッチ上で起きていることのギャップに対して選手間のコミュニケーションで対応できるようになったことは、チームとして確実に成長していることの現われだ。シーズン序盤で控えに甘んじていた在籍13年目の坂本がその中心において、自身の存在意義を見せる役割を果たし、再度ポジションを勝ち取っているという事実は、若いチームに再度競争意識を植え付けるいい刺激になるだろう。
自信を取り戻し、一回り成長した彼らは今週末、千葉に乗り込み、再びその姿を魅せる。
本紙 濵田拓郎
写真 今井直司