9節以来、9試合ぶりの勝利を得た9日、カターレ富山戦。この日風は強く吹き、霧雨、空は薄暗い雲で覆われていた。湘南はここまで8戦勝利なし。4月末の2連敗から5月の全5試合連続ドロー、6月に入り前節の1敗と、内容云々ではなく結果だけを見れば風向き雲行きは良くない。
キックオフから最後の最後まで、試合は動かなかった。チャンスは相手よりも多く得るものの点を得るには至らない。90分が過ぎ、前々節のスコアレスドローが頭を過る。
心に残らない坦々とした物語―。に、なりかけた。急展開を迎えたのはロスタイムの1分。このまま面白みに欠ける結末で終演か、というところで中村が面目躍如のヘディングゴール。急に湘南劇場へと昇華し勝利で終える。途中交替でベンチに下がっていた馬場は、前に倒れ込みながら泣き崩れた。気が付けば雨は止み霧は晴れ、雲間から光が射している。
待ちに待った勝利。だが曺監督は平静。「僕は1試合1試合を通じて勝とうが負けようが『選手が次に向かってエネルギーを持ってやっていく』ということがお金を払って観に来ているお客さんのためには絶対大事だと思っています」とプロとしての高い意識を垣間見せた。
本紙編集部 櫻井雅之
写真 今井直司