それぞれの人には、それぞれ大切にしているものがある。所有者にとっては日々の心の糧ともなり、生活を豊かにする資源ともなる「大切なもの」は同時に、物品でも趣味でも概して「失いたくないもの」である。しかし過剰な保護や守ることに意識が偏り過ぎると、日常生活や行動に制限がかかったり、普段の能力が発揮されない場合がある。
13日、ホーム平塚で行われた第14節。2位湘南に対するは5位大分。勝てば首位に返り咲き、負ければ最悪のケースで7位、という大切な試合。「上位」を失いたくない試合。
前半、場内を沸かせるプレーはほぼなし。曺監督のハーフタイムコメントは「全く湘南らしくない 目を覚ませ」。後半、明らかに選手達の動きが変わる。絶対に負けない、という想いが伝わるプレーを展開し、64分遠藤の同点弾。試合は引き分けた。湘南らしくなかった前半を曺監督は「『安全に』という意識が働き過ぎたのか」と考える。
大事に、大切に、安全に守ろうとするがゆえ、パフォーマンスが落ちる。だが対象が「人」となると状況は一変する。親にとっての子ども、仲間や親友、サポーター。守るべきものがあるからこそ、生まれてくる力がある。
本紙編集部 櫻井雅之
写真 今井直司