記紀などで語られる日本神話において、天岩戸に隠れた天照大神を外に出させるきっかけとなったのは、外の神々が「楽しんでいること」だった。楽しさが興味を引く、惹き付ける、そして会場へ―。そのロジックは神代に限らず、現代でも適用できる場面が多々ある。
4月15日のJ2第8節、対横浜FC戦。これまで7戦無敗の首位湘南。「サッカーを楽しんでいること」が観る側にも伝わらんばかりの躍動感あるプレーを続けている。それは得点直後、勝利直後などに爆発させる喜びの表現にも表れる。そしてこの日、8戦無敗となった。
とにかく強い。多くのサポーターから「今年は観ていて楽しい」と声を聞く。支持クラブの勝ち試合が「楽しい」のは火を見るよりも明らかだが、「勝てなくても楽しめた」とも言う。選手が試合を楽しみ、観客を楽しませる。スタジアム全体が「楽しんでいる空間」となっている今年、昇格の年以来の顔も観客席で見かける。
今季のベルマーレは一味違う。試合内容然り、イベント然り、応援衝動を刺激するオーロラビジョンの「煽り映像」然り。湘南を支持する誰もが楽しめる空間。参加したくなる場所。今、新たなベルマーレ神話の序章は綴られた。
本紙編集部 櫻井雅之
写真 今井直司