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ヘッドライン |2014.11.28

未来へ繋ぐ、「町工場」の心意気3Dプリンターを続々導入、老舗の印刷業(株)精美堂

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 読書の秋も、もう終盤。ペーパーレス化が進む近年では、タブレット(携帯情報端末)で読書する人を目にする機会も増えてきた。そんなペーパーレスの社会になればなるほど、必然的に淘汰されゆく宿命にあるのが「紙媒体」に携わる産業だ。今週紹介するのは、そんな変わりゆく世の中で、昔ながらの印刷工場を継承しつつも最先端技術である3Dプリント事業に積極参入している地域の企業、株式会社精美堂(石川史朗代表取締役、平塚市東八幡)。未来の分野を開拓するその理由━━。それは、生き残るためだけではない。
この記事は湘南ケーブルテレビ局(SCN)との共同企画により制作しました。同局で放送中の「情報カフェ!湘南館ワイド」では最新3Dプリンターによる造形中の様子、造形された数々の作品が映像でご覧になれます。※放送日程は文末に記載
創業は昭和12年。77年前と変わらず東八幡の地で操業している同社は、元は写真製版業として設立し、その後はマイクロ写真業務や大判のカラーコピーなど各種印刷サービスを手がけてきた、昔ながらの町工場的な会社である。平成の時代になると文書の電子化にも参入するなど、時代に即した業務を取り入れてきた。また近年では、平塚商工会議所主催の産業フロンティア賞で最優秀賞を受賞したオリジナル商品「名前入りカレンダー」(今年6月に特許取得)がヒットし、好調な売れ行きを見せているという。
 このように比較的順風満帆に思われる同社ではあるが、石川代表(66)=写真右=が「金食い虫」と自虐するほど赤字覚悟で参入している分野がある。
黒字にならない事業
 それが、プラスチックやアクリルなど液状の素材を積み重ねることで、金型も使わず、切削や組み立てもなく1回の工程で複雑な造形を完成させることのできる未来の技術、3Dプリンターだ。
 同社が子会社として運営する株式会社タイムトゥデイ(同)では、これまでに20台以上のプリンターを導入し、中には最新型の国産3Dプリンターも稼働している。実演も含め、営業は品川区の商業ビル内にあるショールームを中心に行われており、医療や農業、建築分野での試作品などを制作しているが、今現在、3Dプリント出力サービスの需要は少ないそうで、石川代表は「利益を生んでいるわけではないです」ときっぱり。それでも続ける理由がある。
未来への投資
 もちろんその1つには、経営的観点から「今後市場が拡大することを見込んでの先行投資」という理由もある。「そのうちに普及するものだとは思いますが、その時になってからでは遅いですからね」と経営者の眼差しで語る。ただもう1つは、採算度外視の考え方だ。
 「もうこの年になるとね、社会的な貢献をする仕事ができているかどうか、そんなことを考えるんですよ。66歳で新しい商売始めるなんて驚かれますけどね、普通は」と笑う。「でもね、我々が投資することで未来の技術が普及する。その一翼を担えるんじゃないかと。普及すれば、例えば子どもたちは自由なアイディアを簡単に実現することができる。そうすれば日本の製造業、ものづくりが変わってくるんじゃないでしょうか」
 だからこそ、石川代表は地域の子どもたちに向け、公民館等で子ども向けの無料体験事業なども積極的に実施する。そんな町工場の社長からは、企業規模より懐の大きさが時代を生き抜く力、と言わんばかりの粋な心意気が滲み出る。
◇問い合わせ:同社☎21−0094
湘南チャンネル(CATV002ch)「情報カフェ!湘南館ワイド」は12/1(月)まで放送中(12時~12時40分、19時~19時40分ほか)。

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