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ヘッドライン |2014.12.05

実を結ぶ、職員有志のプロジェクト県内初、庁内に知的障がい者作業場所を開設 平塚市

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 平塚市は先月27日、知的障がい者が庁内で「市の職員」(非常勤嘱託員)として働ける「ワークステーションひらつか『夢のタネ』」を来年2月に開設すると発表した。県内の自治体でも初の事例となるこの取り組みは、市の施策として計画されていたものでもなく、議員から提案されたものでもない。ごく一般の、けれども障がい者雇用に対する問題意識を持っていた平塚市福祉部障がい福祉課の有志の職員とOBによる勉強会から生まれたもの。プロジェクト名は「夢のタネ」。無私無欲の市民サービスとして地道に活動を続けてきた彼らの想いが今、花開く。

そもそもワークステーションとは、非常勤職員として採用される知的障がい者スタッフとジョブコーチ(福祉施設勤務経験者)が業務の拠点とするスペースのことで、市役所本館7階会議室に整備される。今年度はスタッフ2人とコーチ1人が採用される予定で、スタッフの業務内容としては文書のコピーやシュレッダー、会場設営、書類及び郵便物封入作業、文書集配などの軽易な事務作業。雇用期間を1年から最長3年と設けているのは、より多くの人に対し、ここで仕事のスキルや社会性を身に付けてもらい、一般企業などで働く「一般就労」へのステップアップを支援したいとの願いがあるからだ。
市役所で働く意義
 現実問題として、知的障がい者が労働できる環境は限られている。実際、平塚市の職員で障害者手帳所持者は35人いるものの、33人が「身体」で、「精神」と「知的」がそれぞれ1人という割合だ。
 そんな中、中々社会へ進出する機会に恵まれなかった知的障がい者に対してもハードルを下げ、門戸を広げるのが今回の取り組みだ。もちろん、正規職員と同レベルの業務とはいかないが、担当課では「市役所で働くこと」という点に最大の意義を見出している。
 これは決して理想論などではなく、実例に基づく見解である。それが、今回の「夢のタネプロジェクト」の職員グループも開設に尽力し、今年7月に本館1階でオープンを迎えた障がい者福祉ショップ「ありがとう」の成功例だ。
ありがとう
 昼の時間になると、商品を買い求めに市の職員を始め議員や来庁した市民で賑わいを見せる「ありがとう」。同ショップは、市内の障がい者団体や地域作業所など23団体から組織される協議会で運営されているもので、様々なお弁当やお菓子、手作りの雑貨品を取り扱っているブースだ。
 これまで同協議会が市役所ロビーで販売スペースを構えるものといえば、季節毎の展示即売会のみだった。だが今年から常設でも販売することになり、このことが障がい者の人たちにとっては「誇り」になっているのだという。そして相乗効果的に「市役所で販売する品物ということで意識も高まり、質の高いものを作っています」と平塚市地域作業所連絡会の髙橋眞木会長は語る。最近では認知も広まり、近隣の大手企業から大量受注などもあり、当初予測していた売り上げよりも2~3倍高いという。
花開き、実を結ぶ
 職員有志による夢のタネプロジェクトが始まってから、約2年半。「タネを蒔いた職員の夢が叶ってきたと思います」と話す市福祉部の髙梨秀美部長は、「障がい者の方々がスキル向上、社会性を身に付けて一般就労へのステップアップ支援ができるように、行政としてもぜひ成功させたい」と期待を寄せている。職員の良心から生まれた1粒のタネ。ここから、どれほどの笑顔が咲くだろう。
福祉ショップ「ありがとう」
◇営業時間:月曜日〜金曜日
      10時〜15時
◇問い合わせ:事務局☎35-3800
参加団体:平塚地域作業所連絡会、平塚市障がい福祉施設連絡協議会、平塚市障がい者団体連合会
【写真】
今年7月、平塚市役所1階にオープンした福祉ショップ「ありがとう」

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