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ヘッドライン |2015.03.06

J1リーグ開幕直前!スペシャルインタビュー 湘南ベルマーレ曺 貴裁(チョウ キジェ)監督×大倉 智社長に聞く

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いよいよ今月7日、J1リーグ2015シーズン1stステージが開幕する。開幕を直前に控えた本紙今週号では、湘南ベルマーレ曺 貴裁監督(46)と大倉 智取締役社長(45)の特別インタビューを掲載。チームと経営という異なる立場で指揮を執る2人の重なる共通点、それぞれの想いとは─。(今週号4・5面でベルマーレ特集)

――まずは昨年、取締役社長に就任されました大倉さんに伺います。これまでに強化部長からGM(ゼネラルマネージャー)、そして社長と、役職が変化してきましたが、チームとの関わりはどのように変わっていったのでしょうか。
大倉 強化部長というのはチーム作りの責任者ですから、当然グラウンドに行く時間、監督と話す時間も長く、現場のことにタイムリーに介入していくという仕事でした。GMと社長については、一言で言えば「全体を見る仕事」です。収支の数字全体を把握し、会社を運営していくわけで、もちろん強化も含め、アカデミーなどその他の事業全てに関与します。役職が社長に変わっても仕事的にはほぼ変わらないのですが、意思決定は速くなったのかな、とは感じます。
――ちなみに大倉さんの経歴は早稲田大学から柏レイソル、セレッソ大阪と、曺さんと共通する点が多いのですが、お2人はどのようなご関係だったのでしょうか。
大倉 曺さんは早稲田のサッカー部の先輩ですよ、1こ上の。僕が後輩として入部して、一緒の寮で。
 寮と言っても合宿所みたいな少し汚い3畳位の部屋ですよ(笑)。
大倉 その時初めて曺さんに会ったんです。もう27年前の話ですが。大学2年、3年と同じ部屋でした。
――同じ部屋だったとは驚きです。
 学生時代ネタだったらもっとありますよ。
大倉 書けないですけどね(笑)。
――では書ける範囲で聞きたいと思いますが、大倉さんから見た当時の曺さんはどんな選手でしたか。
大倉 クレバーな選手でしたね。体がしっかりしていてヘディングやキックも上手く、技術のあるDFでした。欠点は何だろう。あぁ、よく曺さんには「前からディフェンスしろ!」とか言われてムカついていた、という記憶はありますね。「うるせえよ」って(笑)。
 ははは。
――では一方で、曺さんから見た当時の大倉さんの印象は。
 それはもう「FW」ですよ。当時は3トップが主流の時代。そのセンターFWです。左右には良いクロスを上げる上手な良い選手がいて、相馬(直樹)もいた。そこから左足で決めるシュートが凄い上手かった、という印象ですね。
――後輩としては?
 1年の時から試合に出ていたのであまり後輩という感覚はなかったですね。試合に出るのと出ないのとでは、扱いが全然違うので。多分、雑用とかやったことないよね? グラウンド整備とか。
大倉 いやいや、ありますよ(笑)。
 自分は2年でもまだ雑用やらされていた感覚があるけど。
――厳しい世界なんですね。
大倉 どちらかと言うと曺さんの方が苦労されていて、ずっと先輩から「可愛がられ」ていた。本当は1年がいじられるんだけど、曺さんはずっといじられていて(笑)。
 ホントそうですよ。ヤバいっすよ、僕のいじられかたは(笑)。
――そんなに、ですか。
大倉 逆に「この人の懐の深さ、すごいな」って思っていました。
 懐とか関係ないでしょ(笑)。可愛がってもらっているからいいんだけどさ。
――そして大学卒業後、日立製作所サッカー部(現・柏レイソル)で同僚の社員選手となるんですね。
 自分はタツマ(柏レイソルの吉田達磨監督)と同じ宣伝部で。
大倉 僕は資材部でした。曺さんの奥さんは、その時の総務部にいた人ですからね。
 そう、だから西野さん(名古屋グランパス監督)の交通費とか清算していたんだよね。 大倉 ははは。僕が大学出る時のスカウトが西野さんだったんです。
――意識的に、曺さんを追いかけるという思いはあったのですか?
大倉 そうですね。僕の入団はJリーグができた年で、誘いが凄かったわけですよ。でも沢山あった中で最後に日立を選んだのは、やっぱり曺さんがいたから。同じ部屋でしたし、仲が良かったので。
――柏の「Jリーグ初ゴール」を決めたのは大倉さんなんですよね。
大倉 そうね。それだけだったけどね(笑)。
――ベルマーレ相手にはハットトリックも決めたんですよね。
大倉 ナビスコカップ(’93)でね。
――同僚の社員選手として、何か記憶に残るプレー等はありますか。
 一緒に試合に出たという記憶自体、あまり無いかなあ。やはり早稲田の時の方がありますね。議論も沢山重ねましたから。
大倉 気が付けばサッカーの話になっていて、いつもみんなで「ああでもないこうでもない」って論じ合ってましたね、延々と。
 曺 思えば、「理屈で人は動かない」とか「理屈だけ並べて質が伴っていない」とか、今も昔も同じことを言ってるなって(笑)。
大倉 曺さんの選手に対する接し方も昔から全く変わらないですね。「情熱的で、かといって話せば論理的」みたいな所は。原点は大学時代にあるのだと思います。
――曺さんから見て、大倉さんは何か変わったのでしょうか?
 大倉さんも変わっていないけど、雰囲気で誤解しちゃう人がいるかもしれない。ちょっと論理的で、ちょっと英語も喋るので(笑)。インテリ風に見られるかも。本当は全然そんな感じじゃないのに。
大倉 ははは。
――大倉さんの性格を簡潔に表現すれば?
 「フェアーな人間」じゃないですか。僕、トルコキャンプで「クマ理論」て発明したんですけど、その理論でいうと……。
――ちょっとすみません、その理論とは?
 ホントすごい理論なんですよ僕の中で。
大倉 説明したほうが良いよ(笑)。
 例えば何か悪さをして、怖いクマに「何やってるんだ!」と怒られたら謝りますよね。でも相手が怖くないリスだったら謝らない。これ、実は多いんですよ。でも本当は、相手がクマだろうがリスだろうが悪いものは悪い。正しいものは正しい。ですから僕の「クマ理論」というのは「相手によって態度や言動を変えるな」ということ。大倉はそういう所ができる。だからアメリカ…アメリカ人です大倉は。もうちょっと言いますと、アメリカン…ドリーム? 違うか。
大倉 そのクマ理論をスタッフにも伝えるのですが、「それはそうですけど言えません」って、その時点で萎縮しちゃう(笑)。
 だからクマ理論は当たってるんですよ。
――キャンプの成果、クマ理論というのも新情報でした。話を戻しますと、お2人は大学時代から長いご関係があったのですね。
 嬉しかったのは、僕が指導者として煮詰まっていたフロンターレ時代に、大倉さんからセレッソの話をもらったこと。引き出しがないから大阪に行っても大変でしたが「俺自身が変わらなきゃ」と思えた。その後湘南に呼ばれ、子どもたちを教える中で、1からやりなおそうと思った。それを気付かせてくれたのが大倉さんでした。
――そんな経緯があったのですね。
大倉 全部誘っていますからね。指導者というのは先生と一緒で選手、子どもを導く仕事。気持ちを変えたり人間を変えたりという点でいうと、自分にはできない。でも曺さんには、僕も影響を受けたし、良い意味で変わっていった自分がいるのも分かっている。フロンターレ時代の保護者からの評価が高かったのも知っているし、選手を変えることに情熱的、心も持っているということで、確信があったんです。
――そして2012シーズンには自身初の監督に就任、そのままJ1へと昇格しましたね。
 指名してくれた大倉と眞壁(会長)さんには「絶対に応えなければいけないと思っている」と言ったんだけど、やることは育成の時と変わらなかった。「負けた時に何を伝えるか」しか考えていない。とはいえ、勝たなきゃいけない現実もあって。でも勝てると思ってやっている監督っているのかなと思って。だから選手と一緒に1つ1つ突き詰めていこうと。今でもそうです。
――今年の湘南スタイルは。
 最近、ベルマーレは湘南スタイルで「走る」と言われますが、ヨーロッパでは当たり前のことで、走るなんてことがキーワードにはならないんです。だから僕はこの言葉、実は怖いんですよ。選手がそれに安住しちゃうと「俺らは走ってるから大丈夫」となってしまう。去年のチームはそれがなかった。走ることで満足するのではなくて、どう走ったら勝てるか、ということに彼らが興味を抱いたから、去年の結果が出たのだと思っていて、今年もそうならなければいけないと思っています。
――今季のテーマは「証明」としましたが。
 単に、15位で残留したら証明できて16位なら証明できない、ということを言いたいのではありません。そもそも湘南には「上手くなりたい」、もっと言えば「良い人間性を備えたい」という欲求を強く持つ選手たちが集まっているんです。その彼らが本気で1つのボールを追いかけ、そのエネルギーが勝ち点3に繋がったら観ている人に伝わりますよね。そして「お金を払ってまた観に来よう」と思ってもらう。それが僕の言う証明なんです。このサッカーを観て何も感じない、勝ったけどつまらない、それで3位になったって証明じゃないですよ。ですからこの言葉は根本的な話。降格した2013年も、ある意味証明できたと思います。形はいびつで綺麗な円で証明できたわけじゃないですが、彼らが徐々に上手くなっていって、シーズン後半に強豪相手に立ち向かっていった姿には僕も自信をもらえたし、彼らの顔色も表情も変わったわけですよ。落ちちゃったけど、それと去年は絶対にリンクしている。だからそれを単純に証明したいです。開幕の浦和相手に勝ち負けを恐れるんじゃなくて、自分たちはここまでやれるんだってね。もちろん勝ちたいけどさ。
――では最後に大倉さんと曺さん、それぞれが最終的に目指す所とは。
大倉 会社としては、今、年間予算13億のクラブなので20億のクラブにしたい、というのがあります。では7億どう埋めるんだと。それにはスタジアムの収容人数等様々な課題がありますが、そこの夢みたいなものを諦めではいけない、というのは社内で共有しています。で、夢も見ながら現実を見て、しっかり目の前の数字を追って行きましょう、という話は常々しています。
個人的にはもっと日本サッカー界のために働かなければ、と思います。それにはベルマーレで証明をしなければいけない。
 今年に関しては、未来にどう繋がるか、という所を含めて言うと、先ほど言った証明が目標になります。そして、このクラブから代表選手を出したい。このサッカーから選んでもらえる、というのは証明の1つの材料ですからね。最終的な個人の目標というのは特にないですね。
大倉 だから毎年、契約更新の時の「目標探し」みたいなものが大変なんです(笑)。あの手この手で、どういう風に話そうかなって結構難しいんですよ。
――本日は、他では聞けない貴重なお話を有り難うございました。
大倉 お疲れさまでした。
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湘南ベルマーレホームゲーム 対ヴァンフォーレ甲府・ 対ベガルタ仙台 観戦チケット 曺貴裁監督著書 『指揮官の流儀 直球リーダー論』
①3/18(水)19時キックオフ「2015Jリーグヤマザキナビスコカップ 予選Aグループ 湘南対甲府」②3/22(日)16時キックオフ「2015明治安田生命J1リーグ1stステージ 湘南対仙台」のM自由席のチケットをそれぞれ2組4名様に、③曺貴裁監督の著書(サイン入り)を2名様にプレゼント。
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ハガキまたはメール本文に ①〒住所②氏名③年齢④性別⑤購読されている新聞名⑥本紙の入手先⑦希望のプレゼント⑧本紙へのご意見を明記の上、ハガキは【〒259-1217平塚市長持203-4㈱湘南ジャーナル社「湘南ベルマーレプレゼント」係】まで、メールは【toko@shonan-journal.com】までご応募下さい。(件名に「湘南ベルマーレプレゼント」を明記ください)ハガキ・メール共に3/12(木)必着。 ※個人情報は本プレゼント企画以外に使用致しません。当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。チケットの発送は3営業日以内を予定しています。
 

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