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ヘッドライン |2014.07.18

博物館のきのこ標本、新種と認定アマチュアの発見が実を結ぶ

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 シイタケ、エノキ、ナメコなど人々の食生活にも馴染み深い「きのこ」。この度、平塚市博物館で保管していた標本の1つが新種のきのことして認定された。新種を発見したのは研究職につくプロフェッショナルではなく神奈川キノコの会(城川四郎会長)というアマチュアきのこ愛好家らが活動する団体。決してそれを仕事にしている訳ではない一般人のきのこへの愛着が、きのこ史に名を残す新発見を生み出した。
新種に認定されたのはトゲミフチドリツエタケという名のきのこ。生体の柄の長さは15cmほどで傘の直径は8cmほど。胞子に突起があり、ひだに茶色い縁取りがあるのが特徴だ。毒性の有無や食用に適するかは不明だという。このきのこは1995年、清川村での同会の活動で初めて採集された。城川さんは97年に同会報の中でこれにトゲミフチドリツエタケと仮称をつけ報告、きのこを標本にし同館に保管していた。99年には相模原市でも同種のきのこが採集され、同じように標本となり同館に眠っていた。同館には他に約6500点のきのこの標本があり、そのほとんどは同会の活動で見つかったものという。
新種認定へ
このきのこに光があたったのは2012年。会報の中に記録されたきのこが鳥取大学農学部付属菌類きのこ遺伝資源研究センターの牛島秀爾助教の目に留まった。牛島助教は平塚に調査に訪れると今年5月に日本菌学会の学術誌に論文を提出。晴れて新種のキノコとして認められ、トゲミフチドリツエタケは正式な和名となった。論文によると同きのこが属するダクティロスポリナ属の正式な記録は日本のみならずアジアでも初めて。これまでには欧州と南米で2種ずつの報告があっただけだった。また、同館に保管されていた標本のうち99年に採集されたものは同館で初めてのホロタイプ(正基準標本)として指定され、館の歴史としても大きな出来事となった。
博物館の活動
牛島助教は今回の発見について「多くのデータが蓄積されていたことで、新種と認めることができた。残された(他のきのこの)標本の中には貴重な種類が存在するかも」と同会の活動を評価。同館の澤村泰彦館長も「アマチュアの活動が成果を生んだことが嬉しい。アマチュア研究者と地域博物館の可能性を示すもの」と話す。同館ではアマチュア団体と共同での活動を1つのテーマとしており、今回の発見はこうしたアマチュア研究者らの活動の結実でもある。それは同時に、今後アマチュアの活動から、新たな発見が生まれる可能性があることを意味する。
新種となったきのこは9月15日まで同館で標本として展示される。また、8月31日には牛島助教と城川さんによる講演会が行われる予定だ。
◯標本展示
9/15(祝)まで展示中。博物館2階展示室
◯講演会「きのこの話〜新種ってなあに?」
8/31(日)13時〜15時、平塚市博物館講堂(定員50人、当日先着順)。講師:牛島秀爾助教授、城川四郎さん

【写真トップ】
標本を手に解説をする城川さん(左)と澤村館長

【写真左から】
トゲミフチドリツエタケの正基準標本/生体のトゲミフチドリツエタケ/標本を手に笑顔の城川さん

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