緑と青の旅
|2018.06.02
緑と青の旅:vol.1 50年前、始まりの物語
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1968年、今からちょうど50年前に湘南ベルマーレは「藤和不動産サッカー部」として誕生しました。積み重ねてきた歴史を本に残そうと、ベルマーレでは4月に50周年史を発行しました。50年前から現在まで、クラブに関わった多くの人に話を聞き感じたことは、今、こうしてクラブがあるということは当たり前のことではないんだということ。クラブが誕生したことも、存続し続けているということも奇跡なのかもしれない。「あの人がいなければ」「あの出来事がなければ」ということの連続で、多くの人の想いによって紡がれたクラブなのだと感じました。50周年史の制作にあたり、まず栃木県の那須へと向かいました。サッカー部が誕生したのは、実は今の那須ハイランドパークがある場所なのです。待ち合わせのホテルで強風吹く寒い中駐車場まで出て待っていてくれたのは、初代監督を務めた黒木芳彦さんでした。「まさかベルマーレから電話があるなんて思わなかったよ」「不思議だね、こうして50年前の話をしていることが」――そう何度も繰り返して50年前のことを教えてくれました。オーナーである藤田正明さんの「3年で日本リーグに上げるチームをつくれ」という指令を受け、選手が1人もいない状態からチームづくりが始まりました。無理難題に挑戦し言葉では尽くせぬ苦労を重ねたはずですが、当時を思い出しながら話す表情は笑顔で「正明さんは何年も先の考えをもつ人でした」と誇らしく語っていました。実際、アマチュア全盛の時代に芝生のグラウンドや料理人常駐の寮を完備し、セルジオ越後さんらブラジルから選手を呼び、さらにユースチームを作るなど、10年どころか20年、30年先の考えを示す藤田オーナーのもとそれを実行に移していく難しさと面白さを感じていたようです。破竹の勢いで勝利を重ね3年とはいかずとも4年で日本リーグへ。50年前、「そんなの無理だ」と周囲にどれだけ言われても歯を食いしばって挑戦を続けた黒木さんの努力がなければ、今はないのです。
グラウンドは当時のまま残っている。那須にて黒木芳彦さん
TEXT:遠藤さちえ(湘南ベルマーレ)
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