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ヘッドライン |2019.01.21

聖火が繋いだ陸上との絆55年前に聖火ランナーを務めた新藤 忠さん

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 2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと1年半ほどとなった。開会式の前に全国を回って盛り上げに一役買うのが、聖火リレーだ。1964年、前回の東京オリンピックで、平塚市在住の新藤 忠さん(74)は正走者を務めた。その経験を糧に今も陸上に関わる新藤さんに、当時の様子を聞いた。
走ることが子どもの頃から好きだったという新藤さんは、高校に入って陸上を始め長距離の選手になった。市の代表として県内の駅伝大会に出場するなど活躍し、卒業後は横浜ゴムに入社。平塚製造所で3交代の勤務をしながら陸上を続けていた。
19歳だった1964年夏、平塚商工会議所から推薦され、自分が聖火リレー隊員に選ばれたとの知らせが。市内の各地域や企業・学校などから19歳以下の男女46人が集まる練習に行ってみると、自分が、先頭を走る正走者の1人と分かった。それでも最初は「そんなにすごいことだと思っていなかった」という新藤さん。しかし、2カ月に渡ってトーチの持ち方や隊列の組み方など細かい点まで練習を続け、また当時の市長らが出席する壮行会で「皆さんは19万市民の代表です」と言われたことで、大役を担う自覚が生まれ「プレッシャーがかかって大変でした」と振り返る。
長い陸上人生の契機に
前回の東京オリンピックでは、聖火は4コースに分かれて全国を回り、地上リレーの総距離は計6,755㎞。そのうち第2コースは10月6日、静岡県から神奈川県に入った。7日に二宮町と大磯町を通過し、平塚市では四ツ角(東横INN前の交差点)までの1.9㎞が第一隊、四ツ角から茅ヶ崎市境までの1.9㎞が新藤さんら第二隊の担当。トーチは台座が鋳物製でずしりと重い。火を消してはいけないと緊張したが、これまで続けてきた練習通りにやろうと走った。
沿道には一目見ようと大勢の人が詰めかけ、中には建物の屋根まで登る人も。みな拍手しながら見送ってくれたと言い「スムーズにできて、責任は果たしたのかなと思いました」とホッとしたことを覚えている。
その後横浜ゴムから不二家に移り、働きながら競技を続けた。仕事との両立がきつい時もあったが、市内の駅伝大会実業団対抗の部での連勝を目標に、仲間と練習した日々を「走ることが本当に好きだった」と思い返す。現在も平塚市陸上競技協会の一員として大会で審判を務め、正月の箱根駅伝でもコースの安全を守る走路員を毎年続けていて、陸上との関わりは約60年にもなる。それにはあの日、聖火ランナーとしてたくさんの人から拍手を受け応援してもらったことが大きかった。だから「これからも体が動くうちはお手伝いしようと思います」と話し、特に子どもたちにスポーツの楽しさを感じてもらいたいと考えている。
2020年のルートは今年発表
次回オリンピックの聖火リレーは、2020年3月26日に福島県を出発し約4カ月かけて全国を回る。神奈川県内は6月29日から7月1日の3日間で、詳細なルート案は今年発表される予定だ。新藤さんは「前回の時はもう日本にオリンピックは来ないと言われていた。次回はどこを走るか分からないが見に行きたい」と楽しみにしている。ランナーの選定にあたっては、「この経験があったから、長く陸上を続けてこられた。だから若い人に大いにチャンスを与えてほしい」と強く願う。
この地に再び聖火がやってくるかもしれないし、知り合いが走者になるかもしれない。そう思うと、オリンピック・パラリンピックがより身近に感じられる。ぜひ、東海道を行く聖火を目にする興奮を、多くの人と分かち合いたい。
【写真】
1)当時勤務していた横浜ゴムの社員が撮影(新藤さん提供)
2)現在は市内の幼稚園バスを運転する新藤さん
3)トーチ台座には五輪マークと「TOKYO 1964」の文字が
4)リレー隊員の選出を伝える「広報ひらつか」1964年6月10日号

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