コロナ禍で地元再発見
大磯で里山歩きマップ誕生
もう1年以上続くコロナ禍は人々の暮らしを大きく変えた。
仕事はテレワーク、外食の代わりにテークアウトが当たり前になり、都心からの人の流入も進んでいる。
外出もままならない状況が続く一方、家の近所を出歩く機会が増えた人も多いのではないだろうか。
そんなごく身近な新しい発見をイラストにしマップにしたのが、大磯町在住のイラストレーター、オダギリミホさんが手がけた「大磯丘陵里山歩きマップ」だ。
コロナ禍はオダギリさんの生活も変えた。子どもの学校は休校になり、夫は時短勤務になった。そんな夫が早朝に山歩きをするようになり、そこで撮った写真には幼少期から大磯に住んでいたオダギリさんも知らない場所がたくさんあったという。昨年の緊急事態宣言時は、近所の公園に行くのも後ろめたさがあったころ。子どもと共に山歩きを始め、そこで出会ったものを記録していった。それを友人に話したところ、もっと多くの人に見てもらおうと輪が広がっていった。もともと運動公園周辺だけだったエリアも拡大し、生沢を流れる谷戸川を中心としたマップも作り出した。「谷戸川は不法投棄なども問題になっていて。目を向けることで環境保全につながるといいなと思います」。さらに話は大磯町役場の知るところになり、関連団体から印刷製本の話もまとまった。3月末には運動公園エリア編と谷戸川エリア編の2つをセットに大磯町内に全戸配布された。
歩いた人ならではの着眼点
マップには100年前まで縦横無尽にあった山道の面影が垣間見られる。その多くは分断されているが、「それらがつながったら楽しいかなと思ってます。すでに地主さんにやぶ払いの許可をもらって進めている場所もあります。いつかは本郷山の尾根沿いに散策路ができたらいいですね」。オダギリさんのお気に入りのスポットは新楽寺跡。北条政子が神馬を奉納したエピソードなども伝えられる場所で「その周辺で当時歩いた道のりがなんとなくわかるんです。当時と変わらないであろう自然も多く残っていて大磯の豊かさが伝わってきます」という。
裏面には里山歩きの作法や、出会ったものを記録できるビンゴカード、人に害を与える可能性のある生き物への対策、歴史コラムなども掲載されている。ちまたに多数ある観光マップとは一線を画す、大磯に実際に住み、歩いた人ならではの視点が随所に盛り込まれている。
コロナ禍で生まれた価値
オダギリさんは幼少期を大磯で過ごしたのち、大学進学を機に大磯から離れた。就職や結婚などを経て、7年前に大磯に戻って来たという。とはいえ大磯暮らしを楽しんでいたかというとそういう訳でもなく、家がある場所くらいの認識だった。だがその感覚をコロナ禍が変え、大磯の再発見につながった。マップを作ったことを縁に、このほど大磯が更新したまちづくり基本計画の表紙などのイラストも手がけた。大磯の形をハーフブーツになぞらえた子どものエピソードがイラストの元になっている、水彩画タッチの可愛らしいイラストだ。
コロナ禍は変わらず世の中に暗い影を落としているが、新たな価値を生み出した。私たちの暮らす半径1km以内にも、まだまだ知られていない可能性があるかもしれない。
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