インフォメーション｜2021.05.26

わが街のお医者さん健康ファイル Vol.01
知っておきたいワタシのカラダ

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地元企業平塚共済病院

健康への第一歩は、病気について正しい知識を持つこと。地域医療の中核をなす平塚共済病院が、身近な病気を予防したり重症化を防いだりするために必要な情報をお届けします。

呼吸器内科　小林亜紀子先生
呼吸器内科部長/健診センター長

さまざまな病気を合併するSAS その危険性を多くの人に知ってほしい

抗いがたい眠気に襲われる病気

睡眠時無呼吸症候群（SAS）は、眠っている間に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。充分な休息が取れないために、仕事中や運転中、授業中といった大事な時間であってもおかまいなしに強い眠気に襲われ、集中できなかったり居眠りをしてしまったりします。就業中、運転中の事故など、SASによる経済損失は年間３兆4,693億円。まさに社会的な問題です。　それほど大きな問題にもかかわらず、SASという病気はあまり知られていません。全国の患者数は300〜900万人と推計されるのに対し、治療を受けているのは50万人程度にすぎません。　SASは少しずつ重症化、慢性化するため、眠気やだるさがあっても無呼吸とは思わず、加齢や疲労のせい、で片付けられてしまうことがあるからです。そこで、県西最大のSAS専門外来として当院が力を入れているのが、スクリーニング検査の普及です。

スクリーニング検査の普及を目指して

SASのスクリーニング検査は、鼻の気流や血中の酸素飽和度を測定する装置をつけて眠るだけのもので、自宅で簡単に行なえます。検査のハードルを下げるために、検査費用はできるかぎり低く設定しました。　軽症のうちに見つけて治療するためには、健康診断に組み込んでいただくのがもっとも効果的です。運輸業界ではほとんどの企業がスクリーニングを実施するようになりましたが、さらに多くの企業が健診に採り入れてくださるよう、今後も働きかけを続けていきます（個人でも、人間ドックのオプション検査として提供）。

30分以上呼吸が止まっている人も!?

スクリーニング検査で10秒以上の無呼吸状態が１時間あたり６回以上認められると、陽性と判定されます。重症の方では１時間に40回以上、延べ30分から40分間も無呼吸や低呼吸状態になっていることも。起きているときなら苦しくて耐えられませんが、ご本人は眠っているので、そんな状態になっていることに気づかないのです。　ですから、最初にご紹介した日中の眠気などの症状がある方は、ぜひスクリーニング検査を受けてください。また、身近な人のいびきが大きいことや呼吸が止まっていることに気づいたら、スクリーニング検査を勧めてあげてください。　当院では、地域の医院との連携強化に取り組んでいます。地道な活動が実を結び、スクリーニング検査を実施してくださる医院が増えていますので、かかりつけの先生にご相談いただくのもいいでしょう。また、歯科との協力体制もできました。中等症の患者さんが使用するマウスピースは歯科で制作するため、対応可能な歯科医院をご紹介しています。

SASを広く知ってほしい

SASは多くの合併症を引き起こします。SASがあると心疾患リスクは３倍、脳血管障害のリスクは４倍に高まります。SASの関与によって、糖尿病や高血圧、高脂血症といった生活習慣病の薬がうまく効かないということも起こります。実際、SASの治療を始めて、高血圧が改善した患者さんが多くいらっしゃいます。こういったケースから、SASという病気を広く知ってもらうことがいかに大切かを、痛感しています。　子どもの場合は、アデノイド肥大が原因でSASを発症することがあります。本人に非がないのに、授業に集中できなかったり居眠りをしてしまったりという状態は、なんとかしたいですよね。教育の場でこの病気に対する理解を広めることも、私たちのミッションのひとつだと考えています。

臨床工学科梅田雄一主任

SASチームのメンバー

県西最大の専門外来
平塚共済病院ではこんな検査や治療が受けられます

簡易検査

鼻の気流や血中の酸素飽和度を測定する装置をつけて眠るだけ。自宅で簡単に行なうことができ、スクリーニング検査として活用されています。

終夜PSG検査

一晩入院し、呼吸の状態だけでなく脳波や胸の動きなどを測定します。当院では夕方入院、早朝退院が可能で、費用も他院より低く設定されています。

CPAP

鼻にマスクを装着し、気道が狭くならないように圧力を加えて無呼吸を防ぎます。この装置を使うことでぐっすり眠れて、体の負担が軽減できます。通常、CPAPの治療を受けるためには毎月の受診が義務付けられていますが、当院は装置の稼働データを使った遠隔診療に対応しています。多職種で患者さんをサポートすることによって最大で３カ月に１度の受診で済むようになり、多忙な方やコロナ禍で来院に不安を覚える方でも治療が受けやすくなっています。