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ヘッドライン |2021.09.15
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湘南のアート発信地
平塚市美術館が30周年

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まだバブルの残り香が漂う1991年3月26日、平塚市に待望の美術館が産声をあげた。 美術を求める市民の声が生み出した同館は以後30年にわたり、メインテーマでもある「湘南の美術・光」を発信し続けている。

 

「ギフト」に彩られた美術館の歩み

 戦後間もない平塚。戦災からの復興という意味では人々の暮らしや経済はもちろん、文化的振興をどのように成し遂げるかも大きな課題だった。戦災からの復興とその後の成長は目覚ましく、平塚は昭和期をかけて都心のベッドタウンとして発展していく。そんななか、市域周辺に美術に携わる人々も居を構えるようになっていく。そういった人々が独自の展覧会などを開くなかで美術館を求める機運が高まり、美術館設立の礎が作られていくことになる。
 国立美術館であれば国宝や重要文化財などが、大企業などの私立美術館であれば収集品が主な展示物となるが、平塚市美術館にはそういったコレクションの母体がなかった。そこで1960年半ばから一作家一点寄贈運動という収集活動が始まり、1963年から1975年まで市長を務めた加藤一太郎氏も自ら、平塚市出身の洋画家・鳥海青児に作品の寄贈を依頼するなどして熱心に収集に取り組んだという。
 1976年に平塚市博物館が開館するとその動きはさらに加速していく。井上三綱や二見利節の作品などが収蔵され、美術館が開館を迎える1991年には6,000点を超える寄贈品を所蔵するようになった。
 2000年から同館で勤務し、現在いるスタッフのなかでは一番の古株という勝山 滋学芸員は「寄贈されたもの、購入したもの、寄託(美術館が作品を預かること。作家は美術品に適した環境で作品を保存できる一方、美術館は自由に展示や研究ができる)の品なども含め、現在は約1万3,000点の所蔵品があります」という。
 いわゆる、歴史的な価値の高い作品は、より大規模の美術館などに比べれば多いわけではないが、湘南エリアのアーティストたちの思いが込められた珠玉の作品群は、平塚市の美術館ならではの宝物というわけだ。


工事中の美術館。シンボリックなアーチ状の屋根が見える

建設前のイメージパース。実際に建てられたものとは差異もある

テープカットの様子

展覧会に込められた思い

 そんな同館では現在、「開館30周年記念 The Gift 寄贈を受けた作品選+新収蔵品展」が開催中だ。
 2018年の「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」では観覧者数6万6,372人を数え、企画展歴代1位となった。2位が「わたしがえらんだ いわさきちひろ展」(2009年)の3万9,844人、3位が開館記念(1991年)の「スイス プチ・パレ美術館名品展」の3万8,911人ということを考えると、30年を経てなお、意欲的な企画が打ち出されている証しでもある。
 これらの企画展に比べるといささか地味にも感じる収蔵品展だが、これこそが美術館を作り上げてきた人々の思いだ。ギフトというタイトルからは、今回展示されている作品が「市民が美術館に贈ったもの」である以上に、「今、美術館が市民に贈りたいもの」であることが伝わってくる。
 「正規の学芸員は現在5人います。企画は代理店のパッケージを買うこともできるのですが、それはしないで汗を流して知恵を絞ってやろうと思っています」と勝山さん。いろいろな思いが詰まった場所だからこそ、そこで働く人々の熱量も高い。企画展では毎回、記者向けの発表会が行なわれるのだが、担当学芸員の思いは相当なもので、取材時には実際の記事の何十倍ものメッセージを伝えてくれる。展示はもちろん、関連事業やワークショップが充実しているのも魅力の1つだ。
 そんな施設が地元にあることは誇らしい。遠出もできない今、改めてこの地の美術に触れる機会にしてほしい。


二見利節『集い』1940年


井上三鋼『駆けだした牛』1956年


鳥海青児『石だたみ(印度ベナレス)』1962年


田澤 茂『365日』1970年

開館30周年記念
The Gift 寄贈を受けた作品選+新収蔵品展
会 期:10月24日(日)まで開催中
観覧料:一般200円/高大生100円ほか

開館30周年記念
物語る 遠藤彰子展
会 期:10月2日(土)〜12月12日(日)
観覧料:一般800円/高大生500円ほか
休館日:月曜
問い合わせ:平塚市美術館 ☎︎0463-35-2111

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