湘南生まれの“日本代表”
From SHONAN to the WORLD
もうすぐはじまるサッカーワールドカップ。湘南ベルマーレから「日本代表」に選ばれるのは誰なのか。という話はさておき、このエリアにはもっとたくさんの「一流」や 「プロフェッショナル」「ほかに負けないもの」があるはず。そんな地元の隠れた、でも広く知ってほしい人・もの・ことを、湘南ジャーナルが勝手に「日本代表」に認定します!
イラスト:sekiyumi
“サッカー日本代表として 世界と戦うということ”
湘南ベルマーレ 町野 修斗・谷 晃生
選手写真提供 湘南ベルマーレ
湘南ベルマーレから2人の日本代表候補
今年のサッカー界は4年に1度のビッグイベント、ワールドカップが控えている。11月21日からカタール大会が開幕し、湘南からはGK谷晃生、FW町野修斗の代表メンバー入りに期待がかかる。サッカーにおいて、国別の対抗戦ではこのワールドカップが最高峰。よく聞かれる「代表を目指す」という言葉は「ワールドカップに出場する」ことだとも言える。
本戦に先駆けて、9月にはドイツでアメリカ代表・コスタリカ代表との国際親善試合が行なわれた。代表選手26人決定前の最後の2試合は事実上の“最終面接”。2人にとっては“内定”に向けた絶好のアピールチャンスだった。アメリカ戦後半から出場した町野は惜しくもゴールに絡むことはできず、交代選手としての主役は三笘薫(イングランド・ブライトン)に譲ったか。谷は権田修一(清水)の負傷を受けてチャンスをつかみたいところだったが、代わりを務めたのはシュミット・ダニエル(ベルギー・シントトロイデン)。2人とも今後のベルマーレでの試合のなかで、最後のアピールを果たしたい。
世界で戦うとは何か 若武者の現在地
谷は昨年の東京五輪にも出場するなど、年代別の代表に呼ばれ続けた選手の1人だ。一方の町野は、日本代表となったのは今年のE-1選手権が初めてと、その道のりは対照的。夢の舞台を、代表入りを2人はどのように捉えているのだろうか。代表を意識し始めた時期について谷は「アンダー代表に入り始めた頃」、町野は「サッカーを始めた頃から」と語る。2人にとっては、物心ついた頃からワールドカップは日本中が応援する舞台だった。テレビ越しに感じていたその熱気の中心には“日本代表”がいた。
欧州遠征を振り返り、「大会に向けての準備や確認すること、緊張感を感じることができました。何か突出するもの、長所にできる部分を磨いていきたいです(谷)」「上には上がいると実際に体験することができました。全てにおいて意識を変え、違いを出していかなければと思っています(町野)」と代表候補としての自覚を口にする2人。2026年の北中米大会にも十分なチャンスはある。だが、夢の舞台がもう目の前にあるのだ。
「今までと変わらずに成長、進化することを止めずに1日1日を大切に、上を目指してやっていきたいです(谷)」「遠征を通じて世界への思いも強まりましたし、一層成長していくしかないと思うので、自分らしく頑張っていきたいです(町野)」と意気込みを語る2人。メンバー発表は11月1日(火)14時。湘南から2人の若武者が、世界に挑もうとしている。
僕たちにとって 「湘南生まれの日本代表」とは。
日本人にしか作れない “香り„で世界に挑む
高砂香料工業株式会社 石井 美波留
食品の「香り」をつくる スペシャリスト
日常は想像以上に多くの“香り”にあふれている。香りを有する食品、化粧品などの多くには「香料」が使われており、その香料を作るメーカーのなかで、文字どおり日本のトップカンパニーが「高砂香料工業株式会社」だ。平塚には国内唯一の研究開発本部があり、ここから日夜、多種多様な香りが生み出されている。
研究開発本部には8つの研究所があり、フレーバー研究所は主に食品向け香料を開発する。石井さんは主にカレーやシチュー、カップ麺など、“塩気のあるもの”に使われる香料を手がけている。
香りの研究について「視覚や聴覚と比べると嗅覚は分かっていない点が多いんです。そんな分野で新しいものを見つけられるところは面白いですね」と語る石井さん。クライアントのイメージを目に見えない香りで表現するのは簡単なことではない。「例えば同じカレーの香りでも、お客さまによって大事にしているポイントが違うことがあります。どう表現するかとても気を使っています」。普段何気なく感じている“あの香り”も、彼女が苦労した末に生み出したものかもしれない。
年間につくる香料サンプル数は300ほど。「製品の経時変化で異臭がでるという課題を香料の観点からご提案して解決したときは達成感がありました」と振り返る。香りの世界では「欧米のトレンドが日本に入ってきやすい」そうだ。一方で「例えば“ダシ”や“コク”みたいな繊細な感覚は世界に通用すると思います」。文学のなかに香りの話が出てきたり、香道という香りを“聞く”文化もある。日本人であることが世界で戦う武器にもなると信じている。
「最近は代替肉などに使う香料の研究も進めています。香りが食糧危機や環境問題の解決の一助になれば」と大きな希望も抱いている。食品における香りは「おいしさを決めるといっても過言ではない要素」だという。香料はいわば名バイプレーヤー。「目に見えてわかるような仕事ではないですが、私の作ったもので笑顔になってもらえたらうれしいですね」
福祉業界の“できない”を “できる”に変えていく
TANOTECH株式会社 三田村 勉
福祉ソフト「TANO」の 生みの親
平塚駅前のオフィスビルにある「TANOTECH株式会社」。ここで開発される「TANO」が多くのナショナルカンパニーの注目を集めている。TANOはモーションセンサーを利用した福祉・介護・教育現場向けのテクノロジー。体をコントローラーとした200種類以上のシンプルなゲームを通じて運動・脳活性化トレーニングなどができる。介護・福祉分野での活用に、多くの大企業が熱い視線を送っているのだ。
「TANOが売れること以上に、関心を持ってくださった方同士の“つながり”が生まれているのが重要です」と三田村さん。未来を作るパートナーとして、イノベーションを生むきっかけとして、TANOが媒介になっており、活躍の領域はプロスポーツなどの世界にも広がっている。
「TANO」開発のルーツはどこにあるのだろうか。「祖母があるとき、外出先で迷惑をかけたくないからと散歩に行かないと駄々をこねたんです。であれば室内で散歩できるものを、というのが始まりです。同時に介護現場の課題、人手不足や理解不足をテクノロジーで変えられるのではと考えました」
とはいえ「最初に発表会を行なった時は、近隣の300事業所にDMを送りましたが来場はゼロでした。市や県の担当課に売り込みもしましたが難しかったですね」と振り返る。そこでマーケットを世界に向けた。今では中国、香港、台湾、韓国など、アジア圏を中心にTANOが広がっている。そして今年、大阪府の「いのち輝く未来社会をめざすビジョンにおける『10歳若返り』プロジェクト推進事業」にも、同社とレノボ・ジャパン合同会社が代表構成員を務める「Team TANO共同企業体」が採択された。
「テクノロジーで、誰もがもっと気軽に介護業界に関われるようにしたいんです」。平塚で生まれたTANOが社会を変えるかもしれない。
まだまだあるぞ!
湘南エリア自慢の“日本代表”
“地元のお団子やさん”から
日本ならではの四季を味わえる店に
新たな看板商品 栗蒸し羊羹とくずバー
「三秀堂といえばお団子」。そう言われるほどの看板商品を持ちながら、3代目の加藤賢太さんは「和菓子は四季がある」と日本ならではの視点を見直す商品づくりで、季節ごとに楽しめる新たな和菓子店に生まれ変わらせる挑戦をここ数年続けてきた。
“映え”を意識した夏の「くずバー」は年間7万本も販売する大ヒット商品になり、笠間の栗をふんだんに使ったねっとり食感の「生栗の栗蒸し羊羹」は、秋の風物詩としてまさに今が旬。蒸す前にしっかり熱を入れながら練る工程がここでしか食べられない、ねっとり感を生み出すのだという。
「あの人に食べてもらいたい」と贈り物需要が増えたのもお客さまの「おいしい」に応えるための惜しみない努力とこだわりが故。70年の歴史にあぐらをかかない、攻める3代目が平塚の「三秀堂」を全国に発信していく。
Information
電話:0463-31-6120
住所:平塚市見附町17-21
営業時間:8:30~18:45
HP:https://sanshudo.thebase.in/
日本屈指の技術を持つはんこ職人。
全てはお客さまの信頼と喜びのため、日本一を目指し続ける
人生で一度きりのモノは、 一画一画を大切に
明治42年創業の東曜印房4代目店主の水嶋祥貴さんは、厚生労働大臣認定の一級印章彫刻技能士の資格を持つ日本を代表するはんこ職人の1人。今から8年前、2年に一度開催される「全国印章技術大競技会 木口密刻の部」で最高賞を受賞した。1つの目標として掲げていた賞ではあったが、水嶋さんの修行はここでは終わらなかった。今でも欠かさず、出品をし続け、技術を磨き続けている。
そんな水嶋さんのこだわりは“絶対に手を抜かず、全て心を込めて作ること”。何百回彫った字であっても、同じようには彫らず、その人らしさを字で表現する。水嶋さんは「人生に1回のモノを作らせていただけることが誇らしい」と笑顔で語る。
東曜印房では今日も心を込めて、人生に寄り添うはんこを作り続けている。
Information
電話:0463-21-0181
住所:平塚市明石町1-5
営業時間:10:00~18:00(土曜のみ13:00~18:00)
定休日:日曜日
LINE:https://page.line.me/915sqjsv?openQrModal=true
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100年企業を目指し
日本を代表する 洋菓子店「葦」に
「おいしい」は 人づてに伝わる
創業から60年を超え、地域の人々の人生に寄り添う商品を作り続けてきた洋菓子店「葦」。さくっとした食感が“食べたら止まらなくなる”と、いまや芸能人も御用達で、全国区の商品となった「湘南チーズパイ」もその一つ。年間65万箱を販売する今も、原材料に妥協せず、パイ生地とサブレ生地を交互にサンドし、エダムチーズを入れて焼き上げていく“手作り”にこだわり続ける。
創業家の3代目である芦川功さんは「お客さまの『おいしい』が人づてに伝わってくれたことが、ここまで続いてきた理由」と地域への感謝を忘れない。「先代会長・社長、副社長がこの地で続けてきたことを日本中の人に伝えていけるよう、スタッフと一緒に新たなチャレンジをしていくのが自分にとっての使命。平塚発の企業として100年以上続けていきたい」と未来を見据えている。
Information (平塚⻄⼝本店)
電話:0463-22-1102
住所:平塚市八重咲町12-28
HP:https://shop.ashi-cake.com/
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