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ニュース |2023.05.31

新スタジアム提案を平塚市へ提出
クラブと市の温度差浮き彫りに

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 湘南ベルマーレは5月25日、スタジアム新設に関する事業を担う関連会社「湘南メディアスタジアム」(佐藤倫明社長)から5月17日に平塚市に対して提案を行ったこと、またその内容を明らかにした。

次世代の総合公園を提案

 同社は昨秋、平塚市に対して素案を提出。平塚市総合公園を予定地にしたことから主に建ぺい率と予算の問題が懸案として挙げられていたという。
 これまで具体的になっていなかった候補地は平塚総合公園の敷地内、南東部のエリア。現在の南第1駐車場、野外ステージを含む平塚のはらっぱの一部、レストラン大原、日本庭園の一部などにまたがるという。また、第2案として市内の民有地への建設も提案には含まれている。建ぺい率の問題は、民有地を取得して公園に編入するか、基準緩和によって回避できるという。
 例として兵庫県西宮市の西宮中央運動公園では、体育館、陸上競技場、民間提案施設などを緩和要因に20%まで、横浜市の横浜公園では横浜スタジアムを緩和要因に38%まで建ぺい率を引き上げている。

 予算についても一定の道筋を立てた。事業規模は最低限で約142億円。そのうち半分を、スタジアム建設募金団体を立ち上げて集めるとし、残りの半分は平塚市への負担を求めた。民間主導での建設後に新スタジアムを市に負担付寄付、同社が指定管理を受託し運営していく提案だ。市の負担、すなわち税金の拠出額が70億円程度になる内容だが、これは市を中心とした「スタジアム改修検討会議」が2015年に出した報告書の「必要最小限の改修」の工事費53億〜86億の間に収まっている。同報告書では現在の陸上競技場(レモンガススタジアム平塚)の全面改修には130億円がかかるとし、改修の方向性としてJ基準を最小限満たす改修を着実に実行、としていた。また、市の負担額について佐藤社長は「民間のお金の集まり方によっては割合が変わることもある」とした。

 株式会社フィールドマネジメントが算出した新スタジアム建設による経済波及効果は、着工から開業後15年間の累計で4,300億円程度、そのうち平塚市への経済効果は3,800億円程度を見込み、税収ベースでは開業後15年間の累計で110億円超の税収増が見込まれるとしている。

 今回の提案では平塚市として2023年度夏には取り組み検討可否の判断をしてほしいと求めた。あくまで「(市が)検討のテーブルにつく」ことを、半年と決めた期限までに求めた形だ。合わせて「スタジアム建設に向けた検討委員会」の設置と、「企業版ふるさと納税受入窓口の開設」も協議したいとしている。単純な球技場というだけでなく地域防災・イベント・平和教育といった複合的な要素を実現する「多機能複合型スタジアム」の提案ということを踏まえ、佐藤社長は「次世代の総合公園を作りたい」と力強く語った。

提案のうちの1案、総合公園内の計画(湘南メディアスタジアム資料より抜粋)

平塚市長「驚いた、困惑している」

 落合克宏平塚市長は5月30日の定例会見のなかで、今回受けた“提案”についての所感を述べた。「内容はレモンガススタジアム平塚とは別にもう1つ“専用サッカー場”を作ってほしいというもの。ベルマーレが作りたければベルマーレやそれを応援する商工会議所が整備するのが常識的道筋」とこれまで市として取り続けてきた姿勢を改めて強調した。
 提案内容についても「具体的には今回、“事前相談”ということで2案をご提示いただいたが、率直なところ『驚いた』。理由は何度も『困難』と伝えてきた総合公園のはらっぱや駐車場を潰す案だったため。公園は市が最も力をいれる子育て支援のシンボルで受け入れることはできない。また、(湘南ベルマーレ)眞壁会長は再三『税金でなんとかしてくれとは思っていない』という発言をしていたにも関わらず、約70億の負担を求める内容だった」と続けた。
 もう1案についても「詳細が不明で困惑している。2案のどちらも民有地の取得が必要な内容だったが、(所有者に)話をしているのか、買うのか借りるのか、その主体は誰なのか、周辺整備の費用や建設・維持管理費はどうするのか」と語った。

 市側は今回の提案について「(眞壁会長が)事前相談(と言っていた)」と強調。本来は公にする話ではないがベルマーレの会見を受けて所感を発表するに至ったという。その一方「ベルマーレは市の宝。民間が主体となって作るのであれば、市として協力する姿勢に変わりはない。引き続きベルマーレと一緒になって考えていくようにと担当課には指示した」とした。今後は今回の“所感”の内容、つまり「(現在の)総合公園内への新設は不可」という前提のもと、各課で問題点等を再度洗い出し、ベルマーレ側へ正式な回答をする予定だという。

 ベルマーレ側が「(協議の)テーブルについてもらいたい」と話す一方、市側は「無理な提案を一方的に突きつけられた。これが協議なのかと思うと残念」と話すように、両者の視点・温度感には相当なギャップがある。ベルマーレ側の「提案」に対する、市側の受け止めは「事前相談」であり、この認識の違いを埋めなければ話は前に進まない。
 スタジアム建設を求める署名活動は、ネット・直筆合わせて50,000筆を超えたという。落合市長は「公園内の計画なら署名しなかったという声も聞いている」というものの、署名には少なからず民意が込められている。まずはクラブ・市の両者には互いの現在地を再確認し、同じテーブルに着いてほしいが果たして。

 

これまでの経緯
2013ー14年
サポーターズ協議会がスタジアム改修に向けた署名活動を実施。14年6月に34,000筆を平塚市に提出

2014年7月〜
平塚市を中心とした「スタジアム改修検討会議」での協議検討

2015年3月
同会議が報告書を提出
・全面的な改修(観客席2万人、全面屋根、諸室改修、メインスタンドに個室、バックスタンドに2階席)
概算工事費130億円
・必要最小限の改修(観客席1万7,000人、観客席1/3以上に屋根、書室改修、バックスタンド増設)
概算工事費53億〜86億
・改修の方向性として、平塚市の財政規模をもとに判断し、J基準を最小限満たす改修を着実に実行

2017年1月
ホームタウン内有識者による「湘南スタジアム研究会」発足

2019年4月
「一般社団法人 湘南グリーンスタジアム」設立、ホームタウン内の複数候補地を比較検討

2022年11月
スタジアム建設計画の推進を担う「株式会社 湘南メディアスタジアム」設立

2022年12月
(一社)湘南グリーンスタジアムから(株)湘南メディアスタジアムへ、平塚市の候補地を第一優先とする答申

2023年5月
17日:湘南メディアスタジアムから平塚市へ「新スタジアム計画」提案書の提出
25日:湘南メディアスタジアムが記者会見で提案内容の一部を公表
30日:平塚市定例記者会見で落合市長が所感を示す

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