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|2024.03.28

落合市長がJリーグチェアマン訪問を報告
「Jが目指す未来とのギャップ大きい」

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 落合克宏市長は3月27日(水)、市長定例会見のなかで3月12日に公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の野々村芳和チェアマンを訪問したことを報告した。

 今回の訪問の主な目的は、Jリーグの求める理想のスタジアムとクラブチームを支える地方自治体の実情にはギャップがあるということについての課題提起。チェアマンからはJリーグの理念、また目指す方向性についての話とともに、平塚市の現状への一定の理解があり「課題解決に向けてJリーグも一緒に考えていきたい」という言葉もあったという。

なぜスタジアムが必要か

 平塚市は昨年、スタジアム建設を目指す新会社「湘南メディアスタジアム」(事実上の湘南ベルマーレ)から新スタジアム構想の提案を受けた。しかしながら140億規模(当時)の予算の半分を市が負担するような内容だった点、建設予定地が総合公園内だった点からこれを強く拒否。両者の溝が埋まらないなか、昨年11月には湘南ベルマーレ眞壁 潔会長は「ゼロベースで市と協議したい」と市に伝え、今年から両者での勉強会を設置するなどの動きを見せていた。

 ベルマーレが新スタジアムを求める背景にはJリーグ(J1リーグ)のライセンス基準への未充足があり、これは平塚市も認識している。現在のレモンガススタジアム平塚(平塚競技場)はJ1ライセンス基準を満たせず、制裁を受けている状況だが、財政面をはじめとした諸々の問題をすぐにクリアできる状況でもない。
 そこでこの度、そのライセンスを定めているJリーグ本体に、実情を知ってもらうべく足を運んだというわけだ。

現状を知ってほしい

 前述の通り、今回の面会で落合市長が最も強調したかったことは「Jリーグの求めるスタジアムと、クラブチームを支える地方自治体の実情にあるギャップ」だ。
 プロサッカークラブの多くはホームタウンとする自治体(県や市)の所有する球技場・競技場をホームスタジアムとして“借りて”おり、J1からJ3の60クラブのうち、自前のスタジアムを持つケースは片手で数えられるほどしかない。新スタジアムが欲しければホームタウン行政やスポンサーなどに出資をしてもらうことがほぼ必須となる。
J1リーグの多くのクラブが都道府県単位の自治体、あるいはバックアップしてくれる親会社をもつなか、ライザップ傘下といえど市民クラブとしての歴史を色濃く残す湘南ベルマーレは、主にホームタウンからの出資に頼ることになる。

 ここで、「Jリーグ制度上のホームタウン」と「スタジアムの所有者」の問題がでてくる。
 湘南ベルマーレは神奈川県西を中心としたの9市11町をホームタウンとしており、人口規模で言えば200万人以上と、J1でも多い部類になる。しかしスタジアムを所有しているのは平塚市であり、スタジアムを支えるのは26万市民からの税金になる。
いくら「ホームタウンなんだから他の市町もお金を出してよ」と呼びかけても、住人からの大切な税金を他市に使う自治体がどれだけあるだろうか。これが「Jリーグの求める理想のスタジアムとクラブチームを支える地方自治体の実情のギャップ」というわけだ。

共有された事例をどう活かす?

 落合市長の訴えに対し、Jリーグからは他の市町(のスタジアム建設について)の事例共有などを約束されたという。また、ベルマーレとの勉強会にもスポットでJリーグが参加する可能性もあるという。
 平塚市の人口規模は、スタジアムを所有する56自治体中下から6番目だという。人口規模=財政規模ではないが、J1ライセンスを充足させるスタジアムを建てることを即断できる財政状況の自治体ば多くはないはずだ。そもそも「スタジアムの必要性」について懐疑的な人もいるだろう。

 今季、広島に新スタジアム「エディオンピースウイング広島(広島サッカースタジアム)」が誕生した。周辺整備を含めた約286億の事業費のうち、広島県と広島市の実質負担額は約31億円ずつだという。
 平塚とは自治体規模やスタジアム規模、まちのなかでの位置づけなど大きく状況が違うのでこれだけを参考にはできないが、さまざまな補助金などの活用によって平塚市の負担額を半額の70億から圧縮できる可能性を示してくれている。

何をもって「問題解決」とするか

 今回の訪問の目的は「課題提起」だ。
 「訪問に際して、Jリーグ側に期待することはあったか」という質問に対して、落合市長は「正直、期待していなかった」と述べた。「私が訪問したからといって『今のスタジアムでいいよ』となるかといえば、そんなことはまずない」と冷静に現状を見ている。それでもチェアマンに現状を知ってもらう必要はあった。その点では大きな一歩だ。しかしJリーグ側への期待はなかったと言われてしまうと、平塚市側が何を目指したのかという点には疑問が残る。

 そして訪問した以上、平塚市も今まで以上に課題解決に本腰を入れなければならないはずだ。
 平塚市は「総合公園以外の場所にベルマーレなどが主体となって民間の資金で作るのであれば協力する」という姿勢を崩していないが、リーグ側の「課題解決に向けてJリーグも一緒に考えていきたい」という言葉には「答えを出すのは平塚市(とベルマーレ)だ」というメッセージがあるはずだ。
 平塚市が課題としているのは「建設の是非」ではなく「ギャップ」であり、ギャップがなくなることイコール「スタジアムの建設(改修)」に結びつくわけではないが「市の姿勢は譲れないからJリーグさん何とかしてください」という丸投げではないと信じたい。

 いち首長自らが出向いて、チェアマンに面会するのは大きな出来事だ。平塚市も真剣に課題の解決に向けて歩んでいく必要があり、その中心となるのが勉強会になるはずだ。今後の勉強会が出す「答え」、何をもって「問題解決」とするのか、相応の覚悟が求められる。

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