オーレ！ベルマーレ：#862　Raise your flag, SATOSHI!!

　C大阪に無得点、東京Vに16年ぶりのJ1勝利を献上しての連敗。この紙面が発行される頃には敵地広島から勝点３を持ち帰っていることを期待しつつ、今注目すべき選手の話をしたい。
　今季、スタジアムのあちこちから聞こえてくる「聡すごい！」の声のとおり、今季の田中聡は本当にすごい。中盤でボールを刈り取る姿はさることながら、攻撃面での意識の変化も。すでに昨季のシュート数を超え、1G1Aを記録。ゲームの中でベテランで形成されるCBへの配球やポジショニングの要求もチームを背負う旗頭としての自覚の表れと見て取れる。パリ五輪を目指すU-23日本代表にも復帰し、強化試合では途中出場ながら代表初ゴール。カタールで行なわれる最終予選のメンバーに選ばれ、広島戦後に約1カ月間チームを離れる。
　昨季、初の海外挑戦から湘南復帰をしたのは挫折とも取れる決断だったが、“湘南から世界へ”と、再び物語の続きを紡ぎに行くチャンスを自ら得た。サポーターが声の限り叫ぶ、彼のチャント(応援歌)も「聡らしくやればいいんだ」と背中を押してくれている。
　何度くじけ迷えど、反撃の狼煙を上げ、湘南そして日本の絶対的存在に成長して戻ってきてほしい。

トップ写真：攻守の要となっている田中聡。中盤の底が主戦場だが、東京V戦ではセンターバックを務めた

TEXT：濵田拓郎（本紙編集部）　写真提供：湘南ベルマーレ