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ヘッドライン |2012.04.27

開拓したピアニスタブラジル音楽ピアノ奏者 今井亮太郎さん

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 サンバやボサノバ、ショーロなどのブラジル音楽。今にも踊り出したくなるようなノリの良いリズム、それら心弾むメロディーを奏でる楽器のひとつにピアノがある。平塚市内在住の今井亮太郎さん(33)は日本では希有とされる「ブラジル音楽専門のピアニスト」。都内をはじめ、全国各地で演奏し活躍する今井さんは、その業界では「国内ブラジルピアノの第一人者」とも呼ばれている。だが「1番になりたいわけではない」と本人は言う。もちろん明確な目標はある。それは別の次元に。
現在は演奏家として、また作曲家、編曲家、音楽プロデューサーとして活動している今井さんも、最初は楽譜が読めなかったという。「『バイエル』(入門書的な教則本)も終わらなかったんですよ」と明るく過去を振り返る。小さい頃はゲームの音楽など耳から聞いただけのメロディーを適当に弾いて遊ぶ程度。楽譜は読めない。正しい弾き方も知らない。その後も「何となく弾ける」レベルだった。あくまでも自己流で。
転機
県立大磯高等学校を卒業し、音楽とは関係のない一般の大学へ進学した。そんな学生時代のある日、とある小さなバーで自分が弾けるジャズを2、3曲演奏したことがある。すると「明日から来てほしい」と頼まれた。ここから、ミュージシャンとしての人生が始まった。
お客さんを飽きさせないためにも、多くの曲を覚える必要があった。当然、楽譜の読み方も学んだ。当初はジャズのみだったレパートリーも必然的に広がり、ブラジル音楽も弾くようになっていた。そんな中、感じていたひとつの感覚。「ジャズピアニストが弾くボサノバ」と「ブラジル人が弾くボサノバ」では何かが違う、という感覚。
ノリ
聞いている時の気持よさ、心地よさ。その違いは演奏者が持っている「ノリ」。生まれ育った国や地域の違いで、体で覚え、身に付くリズム感は全く異なる。「逆に、日本人が宴会とかでやる『手拍子』とか、向こうの人はできないんですね。そういったノリは譜面上で分かるものでもないし、技術として教えてもらえるものでもない」
卒業後もピアニストとして生きようと決めていた今井さんは「やるからにはここまでやらなきゃなと思ったんです。本場の人と対等にならなきゃ、と」。そして海を渡る。リオデジャネイロで生活し、音楽を学び、ダンスも始めた。現地のノリを体得し、磨きをかけていった。
未開の領域
これまでに今井さんは、ブラジル音楽の「大御所、巨匠、神様」と呼ばれるような著名なアーティストたちと全国をステージにまわってきた。気が付けばブラジルピアノでは国内における「先駆者」だった。今まで誰も開拓してこなかった道。「だから全てが新しく、楽しい。生きている感じがする」と言う。「別に『一番』とかはどうでもいいんです。ただ僕はブラジルの人に『上手いね』って言ってもらいたい。それが最低ラインだと思っています」。目標はそこにある。
今ではソロ活動がメインとなり、毎日のようにバーやレストラン、ライブ会場で演奏する多忙の日々。ブラジル音楽の魅力を「楽しく、元気になれる音楽。みんなが笑顔になれる音楽」と語る今井さん。今日もどこかで本物のブラジル音楽を奏で、多くの心を弾ませる。
▽ライブ等の問い合わせ
ryotaro_pianista@yahoo.co.jp

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