セットプレー2本で東京ヴェルディを撃破し、2位に勝点差6をつけたこの試合だが、キックオフ前に届いたメンバー表を見て正直驚いた。ここまで全試合に出場している高山、古林の名前がどこにもない。しかし、「全員を戦力として考える」という曺監督の方針の下では、メンバー入りを約束される者はいない。常に全員が競争して、勝利に一番近い選択を取る。それを今季初先発のキャプテン坂本と副キャプテン猪狩がここまで出場できなかった悔しさを爆発させ、証明してみせた。また、19歳の遠藤がPKを蹴る際にベンチメンバーが肩を組んで祈る姿は、チーム全員が同じベクトルで進んでいることが表れた印象的なシーンだ。総合力を表現し、好調の要因が「若さ故の勢い」だけではないことを示した試合となった。
自分のことを「若輩者」と謙遜する曺監督も試合を重ねるごとにマネージメントや采配に幅が出てきている。驕らず、謙虚に選手・スタッフ全員と共に成長していこうとする姿勢がチームの風通しを良くし、一体感を生んでいるのだ。
次節は10戦無敗の掛かった試合だが、あくまで目の前の勝ち点3にこだわり、湘南の総合力サッカーをブレずに続けていって欲しい。
本紙 濵田拓郎