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ヘッドライン |2013.11.01

湘南の“水”を支えて80年県営水道施設群が土木遺産認定

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 遥か昔より人が生きる上で欠かせない「水」。平成の現代でこそ安心・安全な水は家庭でも公共の場でも簡単に手に入り、コンビニにはミネラルウォーターが並ぶ。湘南地域で水道が整備されたのは昭和8年。全国で初めてとなる県営水道としてであった。今もなお湘南地域の水を支える県営水道は今年4月に80周年を迎え、この度、公益社団法人土木学会(東京都新宿区)による土木学会選奨土木遺産の認定を受けた。
 県営水道の誕生は昭和初期までさかのぼる。都心部からほど近い湘南地方は住宅地、観光地、保養地として発展し、それに伴い水の需要も増加していった。当時は民間の水道会社がわずかにあったものの、多くは井戸水を飲用に利用しており、水質や水量に問題を抱えるものもあった。当時の上水道経営は市町村単位で行うのが基本だったが水源の開発、財政上の困難により、地元市町村は県営上水道事業の要望をあげた。県は全国に例を見ない事業に当初は難色を示したものの、ついには相模川下流の寒川地区に新規水源を設け、1市9町を給水エリアとする水道事業を開始。これが全国でも初となる県営広域水道の始まりとなった。現在ではエリアを12市6町に広げ、県民の生活を支えている。
土木遺産認定
 こうして整備された県営水道施設群が平成25年の土木学会選奨土木遺産に認定された。同認定は幕末から昭和20年にかけて完成した建造物の中から技術的・デザイン的に優れたものや、由来やエピソードが豊富なものを対象として全国から選ばれるもの。県内ではこれまでに横須賀市の猿島要塞など10施設が認定を受けている。県営水道施設群は、水道記念館(寒川町・旧送水ポンプ所)、大磯配水池、茅ヶ崎配水池、藤沢配水池、鎌倉配水池、逗子配水池の6施設からなる。スクラッチタイル貼りの記念館は昭和初期の官庁建築の特徴が保たれており、高台を掘削して設けられた各配水池の建物には「滾滾不盡(こんこんふじん:水が盛んに流れ尽きないこと)」という水道創設当時の人々の思いを刻んだプレートが埋め込まれている。そういった建造物自体の価値や、今なお続く全国初の県営水道という歴史的価値が認定の理由になった。
大磯配水池
 施設群の1つ、大磯配水池(大磯町大磯)は現在も現役の配水池として活躍している。当時は長さ24m、幅24m、深さ4mの鉄筋コンクリート造の池に2,248㎥の水を湛え、大磯町内一円に配水をしていた。現在、池は7,424㎥に増設されており現代の基準に合わせた水質管理システムや計器類が並ぶ。配水池の隣には小さな公園が整備されている。名前は「水道山公園」。名前から町民の生活を支える水道や配水池への愛情が窺い知れる。
 県営水道の歩みは湘南の水を、人々の生活を支え続ける生きた歴史を刻んでいる。これまでも、そしてこれからも。
【写真左から】
大磯配水池に建つ受水井上屋/近代設備が並ぶ現在の施設/水道山公園全景/旧字で書かれた「弁」の字に当時の面影が残る/水道記念館。27日には遺産認定の受賞式が行われた

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