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ヘッドライン |2014.02.14

特集 シリーズ対談 「スタート!~平塚の未来へ~」 落合克宏 平塚市長×大藏律子 前平塚市長

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周辺道路の整備完了やツインシティ計画の事業着手などが予定されている2014年度。平塚市が大きな変化を迎える、そのスタートとなる今年、本紙では特集企画としてシリーズ対談「スタート!~平塚の未来へ~」(不定期連載)を掲載しています。第2回は、平塚市長の落合克宏さんと前平塚市長の大藏律子さん。まちが大きく変わろうとしている今、求められているのは何か――。 

落合 本日はこのような機会を頂き有り難うございます。お蔭様でバトンを渡して頂いてから3年経ち、これまで取り組んできたものがある程度、形になってきたと思います。特に3大事業(環境事業センター、新庁舎、市民病院)も進捗し、繋がりをもってやらせていただいていることに大変感謝をしています。また福祉関係、子育て支援など大藏さんが培ってきたベースは崩したくないという想いでこの3年間私なりにやらせて頂きました。今日は忌憚のないご意見を伺えれば有り難いと思います。
大藏 行政は継続だと思っていますから、企画立案の時に市民が良いと判断したことをその時々の情勢を考慮して、実践することは大事ですね。同じ人が市長をずっとやれるわけではないので、想いを共有し、繋いでくれて嬉しく思います。例えば市内小中学校への図書館司書の配置です。私の任期ではまだ10校ほど残していましたが、落合市長が繋いでくれて今、全校に配置されました。これは全国でも先駆けだと思っています。図書館学会でもかなり評価されました。
教育は未来への投資

落合 大藏さんには司書の配置をはじめ、お辞めになってからも理科教材への寄附、美術館をサポートする「湘南フレンズ倶楽部」など、子どもたちをどう育てるか、行政がどう関わって次の世代を創っていくかという点で大変ご苦労頂きました。将来への投資という意味での子育て、教育に対する想いを私も引き継ぎたいと思っています。
大藏 「教育は未来ヘの投資」とは、まさにその通りだと思います。まちは「人」のためにあるもの。その「人」が、精神的にも経済的にも豊かに暮らせる環境を、どう作るかがまちづくりです。それを繋いでいくのが子どもたちですから、どう心豊かに育てていくか、とても大切なことですね。
落合 以前から県の制度としてサンサンスタッフ(学習支援補助員)がありましたが、引き続き市費で充実させ、今では100人体制になりました。司書の全校配置に関しても、現在は図書室が常時開放され、何年生にはこんな本といったように体系的に本への誘いができて素晴らしいと思います。また、家庭と子どもたちが抱える問題を解決するため、スクールソーシャルワーカーも配置し、家庭と一緒に考えながら支援をできるような仕組みを作らせて頂いています。
大藏 関わる人が増えれば、それだけきめ細やかな子育て・教育になりますので良かったと思います。特に小学生には先生の影響が大きいですが、近年は実験が苦手で、理科を教えるのが不得意な教員が多いそうです。人間、生きていく上で「科学する目」は大事です。何かをする時、次の一歩、次の手段をとったらその先どうなるかを秩序だてて考えることができる。危険予知や回避など、自然に力が備わるのが、理科教育だと思っています。
落合 専門誌『化学と工業』の巻頭に寄稿された記事も拝見しました。学者が書かれたような内容で理科に対する造詣の深さを改めて知りました。理科教材費に対する寄附(約1500万円)も有り難く使わせて頂いています。
大藏 嬉しかったのは、全校の先生が集まって寄附金をどう活用しようかと議論してくれたことです。寄附金や補助金は、現場の教師が本当に使える、子どもたちに有用なものに遣うのが好ましいです。私は、感覚感性を学ぶ国語と同様に理科教育は重要だと思っています。
落合 英語教育にも力を入れていきたいと思っています。オリンピックが2020年に東京で開催されることが決まり、キャンプ地の誘致などにも取り組みたいと思いますが、グローバル化した今の世の中で、低学年から英語に接しやすい環境を作るのもひとつの教育だと思います。
大藏 国際的な子どもが育つには日常の遊びや教育現場などで、耳から入る「英語」教育も必要ではないでしょうか。
まちづくりの主役は市民

0214 1面左市長落合 大藏さんは自治基本条例の制定にあたり、まさに「まちづくりの主役は市民」という体系を作られました。今は、条例をより具現化していく時期だと思っています。一番良いのは、各地域で住む人が地域の課題を捉え、まちづくりを進めていくこと。決して行政がやらないというのではなく、市民と行政ができることを見極めたうえで市民参加で地域づくりができる環境づくりを進めます。
大藏 「福祉村」も条例の体現のひとつですね。地域内で支え合い、若い人から高齢者、障害のある人ない人含めて快適な地域を作ろうという条例の精神が活かされました。できる人ができる時にできることで力を出し合い、助け合うという関係を作る。そうして自立した市民が増えていくということが、自治力を高めていきます。
落合 その為に私は、公民館の活用を促進しています。小学校区に公民館がひとつあるという平塚は、全国でもあまり例がない恵まれた環境です。地域の情報を集約、発信し、まちづくりをまとめる核となり得るので、現在公民館を核とした仕組みづくりを進めています。
大藏 行政はそういう仕掛けも必要です。さらに、投げかけるだけではなく、皆さんがしていることはこんな役割を果たしているということを数値化、文章化して、結果を示すことが大事だと思います。意図したものと違ったとしても成果や課題を示し、長期的に地域を見て、総括する。そうすれば次なる目標も見えます。結果が見えないと人は離れますし、先が見えない行動はしたくないですよね。「もしかしたらやらされてるのかしら」と思ったら自治ではありませんので。
落合 大事なポイントだと思います。私も実際に自治を続けられている市民の研修会に参加しましたが、各地域が課題を持ち、どんな取り組みで解決するのか、と話し合いをされていたのは本当に素晴らしいことでした。行政サービスで片付ければいいというものではない、自分たちが関わって良くするんだと。そんな意見が至る所から出ていました。
大藏 自治基本条例の精神が浸透しているということですね。今、市長が評価したように、やっていることが認められるというのは生きがいに繋がります。無視されることほど生きがいをなくすことはないですね。私たちの行動は評価されているんだと思えると次の飛躍を目指せる。条例によってまちが急に変わることはあり得ませんが、どの地域からでも、どんな小さな課題ででも、自治の心が地域に浸透していくなら、平塚が条例を制定した意味があり、まさに自治力のある市民の住むまちになると思います。
選ばれるまちになるために

0214 1面右元市長落合 最近よく人口問題の話が出るんですが、一番多い時で平成22年の26万800人でした。ここから微減傾向にあり、現在は約25万8000人。少子高齢化で全国的に減少しているのですが、それでも茅ヶ崎、藤沢周辺が発展していくという予測もあるようです。その中で、平塚を選んでもらうためには、発信できる魅力が重要となってきます。
大藏 そうですね、住民がいかに充実感を持てるまちか、ということが重要ですね。市民が求めることにきちんと応えられるまちづくりをすれば、市民が自信を持って外へ発信することで、人が来たくなり、さらに魅力的なまちづくり計画をお示しすれば、人がやってくるでしょうね。そこで平塚の売りとは何かを考える必要がありますね。
落合 発展的持続可能なまちをつくるためには産業経済の活性が必要だと考えます。日産車体第一地区の跡地開発、それから圏央道ができますので、内陸から人を呼ぶための海岸線の開発、そしてツインシティのまちづくりを着実に進め、居住人口、交流人口、雇用といった広がりを作ることが必要だと思っています。
大藏 子どもを育てやすい環境というのも魅力のひとつですね。海、山、川の自然に恵まれ、ホタルや大タカの棲む里山も十分PRできます。それだけでなく、さらに仕掛けが必要です。例えば成人になったら働く所があるとか、公民館が、ヤングアダルトたちにとっても魅力的な社会教育の場として利活用されるとか、それらも平塚らしさになるよう期待します。
落合 大藏さんの「子育てするなら平塚で」は素晴らしいテーマでした。新年度は認定子ども園など子育て支援とともに、特養ホームの充実など高齢者対策にも力を注ぎます。天沼や大神地区のまちづくりもそこで生活する人が心の豊かさを実感できるような魅力付けをしていきたいと考えています。
大藏 平塚のまちづくりには、3つの拠点(駅周辺、西部、大神ツインシティ)がありますね。特に大神はツインと言うから寒川と一帯じゃないとできないという印象がありますが、必ずしも新幹線新駅のためではなく小田急線や新東名、圏央道、首都高など様々な幹線網へのアクセスが良い場所に1つのまちができる、ということと私は捉えています。農業を衰退させるのではなく、集約的な優良農地の振興などしっかりと農業施策をする。そして地主さんたちに「後世に残るまちづくりに英断をお願いします」と、胸襟を開いて話し合い、お願いすることが大事です。なぜ大神が重要なのかという意識を、もっと深い所で共有できるように努力してほしいと思います。
落合 負担ばかり増すといった認識は正しいものではありませんので、しっかり説明をしていきたいと思っています。私は農家の育ちでもありますが、ツインシティは大きな農業施策に繋がるものでもあると思います。都市近郊農業で大切なのは強弱をつけ、「農」を生き残らせること。現在、集落営農という取り組みもありますが、生産すべき所はしっかりと生産し、利用できる所についてはまちづくりとして展開していく。それから日産車体跡地、海岸の開発もそうですが、地元の物を使って頂くなど、しっかり連携ができるようなまちづくりをお願いしています。
大藏 地元が潤うことに繋がらない限り、地元の人はOKを出さないでしょうね。現状ではマイナスが大きいとの判断からNOとの結論を出す人たちがいるのだと思われますが、長いスパンで見たときにプラスかマイナスか、色々なデータも示して考えて頂くことが必要だと思います。
理想の実現を

落合 本日は忌憚のないご意見を有り難うございました。
大藏 落合市長には、私がやれずに積み残したことを共有して、やって頂いていると思っています。それをやっているからには、できるところでは力になりたいと思います。
落合 市民が主役、自治、というのは大藏さんが道筋をつけてくれましたので、具体的な施策、事業として展開していくことが私の役割だと思っています。私も、市民参加が良いまちをつくっていくと思いますので、賛同という意味も込め、引き継いで、と言ってはおこがましいですが、今後も具現化していく立場でありたいと思います。
大藏 自治の理念を形にしていくのはとても大変なことです。是非とも頑張ってほしいと思います。
落合 今後とも色々ご指導頂きたいと思います。本日は有り難うございました。

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